令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.47は、マイクロ波通信に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、マイクロ波が電離層でどうなるかを分かっているかを問うものです。周波数が高すぎて反射されず、そのまま突き抜けます。
反射して遠くへ届くのは短波です。
正解:選択肢4(電離層と大地の間で反射して伝搬する)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 広帯域伝送が可能で伝送品質が良い | 周波数が高い分だけ帯域が取れる。適当 |
| 2 | 波長が短く鋭い指向性のアンテナ | パラボラアンテナ。適当 |
| 3 | 他回線との混信や干渉が起きにくい | 指向性が鋭いため。適当 |
| 4 | 電離層で反射し中継なしで遠距離 | 突き抜ける。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、電離層反射という現象が実在するので、どの電波でも起きると思ってしまうところです。反射するかどうかは周波数で決まります。
| 電波 | 周波数 | 電離層での動き |
|---|---|---|
| 短波(HF) | 3〜30MHz | 反射する。地球の裏側まで届く |
| マイクロ波(SHF) | 3〜30GHz | 突き抜ける。反射しない |
電離層は、太陽の紫外線で大気の分子が電離した層です。周波数の低い電波は跳ね返されますが、高い電波は素通りします。衛星通信が成り立つのは、この素通りのおかげです。
だからマイクロ波は、地上では見通しの届く範囲でしか伝わりません。山や地平線の向こうへは回り込まないので、途中に中継局を建てて何度も受け渡します。
| 項目 | マイクロ波通信 |
|---|---|
| 伝わり方 | 見通し内伝搬。直進する |
| 遠距離へ送るには | 山の上などに中継局を建てて数十kmごとに受け渡す |
| 弱点 | 降雨で減衰する。障害物に遮られる |
選択肢2の鋭い指向性は、波長の短さから来ます。
アンテナの指向性
同じ大きさのアンテナなら、波長が短いほど指向性は鋭くなる
マイクロ波の波長は数cm程度なので、小さなパラボラでも細いビームが作れる
電波を細く絞れば、同じ方向へ強く飛ばせるうえ、他の方向へは漏れません。これが選択肢3の混信の少なさにつながります。
選択肢1の広帯域は、周波数が高いことの利点です。搬送波の周波数が高いほど、その周りに広い帯域を取れます。多くの情報を一度に送れるので、テレビ中継や大容量の通信に使われます。
マイクロ波通信の性質は、次の1本の筋でつながっています。
| 周波数が高い | 結果 |
|---|---|
| 波長が短い | 鋭い指向性 → 混信しにくい |
| 帯域を広く取れる | 広帯域伝送ができる |
| 電離層で反射しない | 見通し内しか届かない → 中継局が要る |
選択肢1〜3が長所として並んでいるのに対し、選択肢4だけが同じ原因から来る短所です。そこを長所のように書き換えてあります。
マイクロ波が遠距離通信に中継局を必要とするのはなぜか。
電離層で反射せず突き抜けるため、見通しの届く範囲しか伝わらないからです。山の上などに中継局を建てて受け渡します。
マイクロ波で鋭い指向性のアンテナが使えるのはなぜか。
波長が数cmと短く、同じ大きさのアンテナでも細いビームを作れるためです。混信が起きにくい理由でもあります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月