令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.42は、テレビ共同受信設備の分岐器・分配器における電気的特性に関する記述として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、分岐器の2つの損失をどちらの経路に当てるかを分かっているかを問うものです。入力から分岐へ曲がる分が結合損失、素通りする分が挿入損失です。
問題文は名前を取り違えています。
正解:選択肢1(入力→分岐間を挿入損失という)
> この論点をやさしく解説:分岐器の入力から分岐までは挿入損失か結合損失か?条件欄の数値が答えを決める
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 分岐器の入力→分岐=挿入損失 | 結合損失。不適当 |
| 2 | 分岐器の分岐→出力=逆結合損失 | 逆向きの経路。適当 |
| 3 | 分配器の入力→分配=分配損失 | 分けた分だけ減る。適当 |
| 4 | 分配器の分配→別の分配=端子間結合損失 | 出力どうしの回り込み。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、挿入損失も結合損失もどちらも分岐器の特性として実在するので、名前だけ入れ替えても違和感が出ないところです。
分岐器は、幹線を通る信号から一部だけを取り出す器具です。入り口が1つ、出口が2種類あります。
| 経路 | 損失の名前 | 内容 |
|---|---|---|
| 入力 → 出力(素通り) | 挿入損失 | 幹線に器具を挿入したことで減る分。小さい |
| 入力 → 分岐 | 結合損失 | 取り出した側で減る分。大きい |
| 分岐 → 出力 | 逆結合損失 | 分岐側から回り込む分。大きいほど良い |
挿入=そこに器具を挿し込んだせいで減る分という意味です。幹線を素通りする信号は、下流の部屋へも届けなければならないので、この損失は小さく作られています。
取り出す側の結合損失は、逆に大きい値になります。分岐器を通るたびに幹線の信号が使い果たされては困るので、取り出す量は少なめに設計されているためです。
この2つが別物であることは、過去問の条件文からも分かります。令和元年度 1級 No.42、令和3年度 1級 No.41、令和8年度 1級 No.39はいずれも損失を計算させる問題で、条件に「分岐器の挿入損失」と「分岐器の結合損失」が別の値として並んでいます。
選択肢2の逆結合損失は、分岐側から入った信号が幹線の出力へ漏れる量です。テレビ端子から出た雑音が他の部屋へ回り込むのを防ぐ指標なので、値が大きいほど性能が良いことになります。
選択肢3と4は、分配器の話です。分配器は入ってきた信号を等しく分ける器具で、分岐器のような素通りの経路がありません。
| 器具 | 出口の扱い | 使う場所 |
|---|---|---|
| 分岐器 | 幹線と分岐で扱いが違う | 幹線の途中。各階へ少しずつ落とす |
| 分配器 | すべて同じ | 幹線の終点。等分して配る |
2分配なら信号は半分ずつになるので、理論上の分配損失は約3dBです。実際にはもう少し大きくなります。
選択肢4の端子間結合損失は、分配器の出力どうしの間の遮断の度合いです。ある部屋のテレビが出す雑音が、隣の部屋の画面を乱さないようにするための指標で、こちらも大きいほど良い値です。
分岐器の挿入損失はどの経路の損失か。
入力から出力へ素通りする経路です。器具を幹線に挿入したことで減る分なので、値は小さく作られています。
端子間結合損失は大きい方がよいか、小さい方がよいか。
大きい方がよい値です。ある出力から別の出力へ信号や雑音が回り込みにくいことを表すためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月