令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.41は、マイクロホンの選定に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、両指向性が何方向を拾うかを分かっているかを問うものです。両指向性は前と後ろの2方向で、左右は拾いません。
すべての方向を拾うのは全指向性です。
正解:選択肢4(すべての方向のため両指向性)
> この論点をやさしく解説:マイクロホンの選定とは?種類・指向性・出力方式の見分け方を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 講堂のスピーチにダイナミック形 | 丈夫で扱いやすい。適当 |
| 2 | ピアノ録音にコンデンサ形 | 感度と音質が良い。適当 |
| 3 | 目的外の音を避けるため単一指向性 | 前だけ拾う。適当 |
| 4 | すべての方向のため両指向性 | 全指向性を選ぶ。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、「両」という字が「両方=すべて」のように読めてしまうところです。ここでの両は前と後ろの2方向という意味です。
| 指向性 | 拾う方向 | 向く用途 |
|---|---|---|
| 全指向性(無指向性) | すべての方向 | 会場全体の音、周囲を囲んだ収録 |
| 単一指向性 | 前だけ | 目的の音だけを拾う。ハウリングに強い |
| 両指向性 | 前と後ろ | 向かい合った2人の対談 |
両指向性は、マイクを挟んで向かい合う2人の声を1本で拾うときに使います。左右の音は入らないので、横からの雑音を避けられます。
この用途は2つの年度で確定しています。平成27年度 1級 No.42と令和8年度 1級 No.38は、どちらも「対談の収録に使用するため、両指向性マイクロホンを選定した」を正しい肢として置き、公表正答は別の肢でした。
平成27年度の正答は3で、そこは「残響の多い部屋で使用するため、全指向性マイクロホンを選定した」でした。残響が多い部屋では、壁からの反射音まで拾ってしまう全指向性は向きません。単一指向性で目的の音だけを拾います。
選択肢3の単一指向性は、その考え方です。前方だけを拾うので、スピーカから出た音を拾い直して起きるハウリングも防げます。
選択肢1と2は、変換方式の選び分けです。
| 方式 | 電源 | 特徴 |
|---|---|---|
| ダイナミック形(ムービングコイル) | 不要 | 丈夫で湿気に強い。屋外や講堂のスピーチ向き |
| コンデンサ形 | 必要 | 感度が高く周波数特性が良い。録音スタジオ向き |
ダイナミック形は、振動板に付けたコイルが磁界の中で動いて電圧を生みます。構造が簡単で電源が要らないので、落としても壊れにくく屋外でも使えます。
コンデンサ形は、振動板と固定電極の間の静電容量の変化を電気にします。わずかな音も拾えますが、電源が必要で湿気に弱いので、室内の録音に向きます。
エレクトレット形は、あらかじめ帯電させた材料を使って電源を小さくしたコンデンサ形です。
両指向性マイクロホンはどんな場面で使うか。
マイクを挟んで向かい合った2人の対談です。前と後ろの2方向を拾い、左右の雑音は入りません。
屋外での使用にダイナミック形が向くのはなぜか。
構造が簡単で電源が要らず、湿気や衝撃に強いためです。コンデンサ形は電源が必要で湿気に弱くなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月