令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.16は、汽力発電と比較したコンバインドサイクル発電に関する記述として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、ガスタービンが空気をどう使うかを分かっているかを問うものです。大気を直接吸い込むので、外の気温に出力が左右されます。
影響は汽力発電より大きくなります。
正解:選択肢4(大気温度の影響が小さい)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 熱効率が高い | 排熱を2段目で使う。適当 |
| 2 | 始動用電力が少ない | 大型のボイラを持たない。適当 |
| 3 | 起動・停止時間が短い | 短時間で立ち上がる。適当 |
| 4 | 大気温度の影響が小さい | 大きい。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、選択肢1〜3が全部コンバインドサイクルの長所なので、選択肢4も長所の書き方(影響が小さい)にすると自然に読めてしまうところです。これは短所のほうです。
ガスタービンは、空気を圧縮機で吸い込んで燃料と混ぜ、燃やしたガスでタービンを回します。吸い込むのは外の空気そのものです。
気温が上がると空気の密度が下がります。同じ体積を吸い込んでも入る空気の量が減るので、燃やせる燃料も減り、出力が落ちます。夏場は定格より出力が下がります。
汽力発電はボイラで水を沸かすので、外気温が変わっても燃焼に必要な空気は送風機で押し込めます。だから影響が小さくなります。
| 項目 | コンバインドサイクル | 汽力発電 |
|---|---|---|
| 熱効率 | 高い(50%以上) | 40%台 |
| 起動・停止 | 短い | 長い |
| 始動用電力 | 少ない | 多い |
| 大気温度の影響 | 大きい | 小さい |
| 部分負荷での効率 | 落ちにくい(軸ごとに止められる) | 落ちる |
同じ問題は令和元年度 1級 No.16と令和8年度 1級 No.13にも出ています。どちらも選択肢に「大気温度の変化が、出力に与える影響が大きい」を置き、公表正答は別の肢(起動・停止時間が長い)でした。つまり「大きい」が正しい肢として2回確定しています。
選択肢1の熱効率は、2段構えの構造から来ています。
| 段 | はたらき |
|---|---|
| 1段目 | ガスタービンで発電する |
| 2段目 | その排ガスの熱で蒸気をつくり、蒸気タービンでも発電する |
捨てるはずの排熱をもう一度使うので、同じ燃料からより多くの電力を取り出せます。
選択肢2と3は、大きなボイラを持たないことから来ます。汽力発電は缶水を温めるところから始めるので時間も電力もかかりますが、ガスタービンは点火してすぐ回り始めます。
コンバインドサイクル発電が大気温度の影響を受けやすいのはなぜか。
ガスタービンが外の空気をそのまま吸い込むためです。気温が上がると空気の密度が下がり、吸い込む量が減って出力が落ちます。
コンバインドサイクル発電の熱効率が高いのはなぜか。
ガスタービンの排ガスの熱で蒸気をつくり、蒸気タービンでも発電するためです。捨てるはずの排熱をもう一度使えます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月