令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.17は、固体高分子形燃料電池に関する記述として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、一酸化炭素が燃料になるかどうかを分かっているかを問うものです。固体高分子形では、一酸化炭素は燃料ではなく毒です。
白金の触媒に吸い付いて、はたらきを止めてしまいます。
正解:選択肢1(一酸化炭素を燃料に使用できる)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 一酸化炭素を燃料に使用できる | 触媒を被毒させる。不適当 |
| 2 | 電解質にイオン交換膜を用いる | 高分子の膜。適当 |
| 3 | りん酸形より作動温度が低い | 約80℃対約200℃。適当 |
| 4 | 固体酸化物形より起動が早い | 温度が低い分だけ早い。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、一酸化炭素が燃えるガスなので、燃料電池でも使えそうに見えるところです。燃料電池は燃やすのではなく、触媒の上で反応させて電気を取り出す装置です。
固体高分子形の触媒には白金を使います。一酸化炭素は白金の表面に強く吸い付いて離れず、水素が反応する場所をふさいでしまいます。これを被毒といいます。
作動温度が低いほど吸い付いた一酸化炭素が離れにくいので、80℃前後で動く固体高分子形はとくに影響を受けます。数ppmでも性能が落ちます。
| 種類 | 作動温度 | 電解質 | 一酸化炭素 |
|---|---|---|---|
| 固体高分子形 | 約80℃ | イオン交換膜 | 毒。数ppmでも影響 |
| りん酸形 | 約200℃ | りん酸水溶液 | 毒。ただし1%程度まで許容 |
| 溶融炭酸塩形 | 約650℃ | 溶融炭酸塩 | 燃料として使える |
| 固体酸化物形 | 約1,000℃ | セラミック | 燃料として使える |
一酸化炭素を燃料にできるのは、高温で動く溶融炭酸塩形と固体酸化物形です。この2つは白金を使わず、温度が高いので一酸化炭素も反応に加わります。
選択肢3と4は、この作動温度の表がそのまま根拠になります。固体高分子形は約80℃と4種類のうちいちばん低いので、りん酸形より低く、固体酸化物形より起動が早いという2つの記述はどちらも成り立ちます。
選択肢2のイオン交換膜は、水素イオンだけを通す高分子の膜です。液体の電解質を使わないので、傾けても漏れません。この扱いやすさから、自動車や家庭用に使われています。
固体高分子形燃料電池で一酸化炭素が問題になるのはなぜか。
白金の触媒に吸い付いて水素が反応する場所をふさぐためです。作動温度が低いほど離れにくく、数ppmでも性能が落ちます。
一酸化炭素を燃料として使える燃料電池はどれか。
溶融炭酸塩形と固体酸化物形です。高温で動き、白金を使わないためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月