令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.72は、変電所に施設するメッシュ接地工事の電圧降下法による接地抵抗測定に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、メッシュ接地の抵抗がきわめて小さいことを分かっているかを問うものです。小さい抵抗を測るには、大きな電流を流す必要があります。
1Aでは電圧降下がほとんど出ません。
正解:選択肢3(接地電流値を1Aとした記述)
> この論点をやさしく解説:接地抵抗の測定方法は?補助接地極の配置と測定前の確認点を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 測定電圧は誘起電圧の影響を受けやすい | 適当 |
| 2 | 電流回路は交流によるものとした | 適当 |
| 3 | 電流回路の接地電流値は1Aとした | 不適当。20A以上の大電流が要る |
| 4 | 電圧回路用の補助接地極を500m離した | 適当 |
最も不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、1Aという値が接地抵抗計で扱う電流としてはありふれていて、大きすぎも小さすぎもしないように見えるところです。普通のD種接地なら1Aでも測れます。
メッシュ接地は変電所の敷地一面に網目状の導体を埋めたもので、接地抵抗はきわめて小さくなります。
電圧降下法は、電流を流したときに出る電圧を測って、電圧÷電流で抵抗を出す方法です。抵抗が小さければ、出てくる電圧も小さくなります。
接地抵抗が0.1Ωのとき
電流1A → 電圧 0.1Ω × 1A = 0.1V
電流20A → 電圧 0.1Ω × 20A = 2V
0.1Vでは、選択肢1が言うとおり誘起電圧に埋もれて読めません。変電所の敷地には送電線や母線があり、それらが作る電圧が測定線に乗ります。信号を誘導のノイズより大きくするために、電流を上げます。
令和元年度 No.60の選択肢4は「電流回路の接地電流値は、20A以上とした」で、これが正しい肢でした。同じ問題の選択肢2「電流回路は直流によるものとした」が誤りで、正解はそちらです。
令和4年度は交流を正しい肢に直し、代わりに電流値を1Aにして壊しています。同じ論点で、年度ごとに壊す場所を移す作りです。
選択肢4の500mは、メッシュ接地の電位が及ばないところまで補助接地極を離すためです。近すぎると、測っている電圧に自分の接地の影響が混じります。敷地が広いほど遠くへ離す必要があります。
メッシュ接地の抵抗測定で、大きな電流を流すのはなぜか。
接地抵抗がきわめて小さく、電流が小さいと出てくる電圧も小さくなるからです。誘起電圧に埋もれて読めなくなります。
電圧回路用の補助接地極を大きく離すのはなぜか。
近いと、測っている電圧にメッシュ接地自身の電位が混じるからです。電位が及ばないところまで離します。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月