けんせつる
バナナ曲線って、上に外れたら遅れなの?進みすぎなの?
縦軸と横軸、どっちが出来高だっけ…
この記事の要点
工程管理曲線(バナナ曲線)とは、出来高累計曲線に上方許容限界と下方許容限界の2本を描き、実施工程曲線がその間に入っているかで進捗を見る管理図のことです。
2本の限界線が両端で交わってバナナのような帯になるので、この名前で呼ばれます。押さえるのは3つです。
上が遅れ、下が進み過ぎではありません。ここを入れ替えるのが最大の引っかけです。
まず、この図が何本の線でできているのかを押さえます。
バーチャートなどで組んだ工程から、工事全体の出来高の累計を1本の曲線にします。これが出来高累計曲線です。その曲線を上下にずらして許容の幅を持たせた2本が、上方許容限界と下方許容限界です。
合わせて3本。この帯の中に実施工程曲線が入っていれば、おおむね順調と判断します。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 縦軸 | 出来高比率(工事全体を100とした累計の%) |
| 横軸 | 時間経過比率(工期を100とした経過の%) |
| 曲線の形 | 一般にS字型 |
この2つは同じものではありません。線の本数が違います。
1本なら現状の表示、3本なら管理図です。過去問では、この2語をそのまま入れ替えた肢は出ませんが、出来高累計曲線の性質(S字型・縦軸横軸)を問う形で両方が登場します。
工程管理曲線は「曲線式」の仲間です。ここも問われます。
| 分類 | 工程表 |
|---|---|
| 横線式 | バーチャート(横軸に日数)、ガントチャート(横軸に達成度) |
| 曲線式 | 出来高累計曲線、グラフ式工程表、斜線式(座標式) |
| ネットワーク式 | 作業の順序・関連と工期への影響を表す |
バーチャートは横線式です。「曲線式工程表には、バーチャート、グラフ式工程表、出来高累計曲線がある」という肢は誤りになります。斜線式(座標式)は、トンネルなど線状に長い工事に向きます。工程表そのものの違いは工程表の種類、ネットワーク式の計算はネットワーク式工程表にまとめています。
工事の出来高は、工期を通じて一定のペースでは進みません。
この「緩い→急→緩い」を累計すると、必ずS字になります。逆に言えば、直線に近い予定工程を組んだら、それは中期に人と機械を集中できない計画か、初期から全力で走る無理な計画のどちらかです。
実施工程曲線が帯から外れたとき、外れた向きで意味が正反対になります。
| 実施工程曲線の位置 | 状態 | 打つ手 |
|---|---|---|
| 上方限界を超えた | 工程の進み過ぎ | 不経済になっていないかを検討する |
| 下方限界に近づいた | 遅れの兆し | 早めに原因を調べて対策を打つ |
| 下方限界を下回った | 工程の遅れ | 突貫工事などの回復策を検討する |
進み過ぎが「良いこと」にならないのは、予定より早い分だけ人や機械を余計に投入している可能性があるからです。工程を詰めれば原価は上がります。この関係は工程・原価・品質の関係にまとめています。
もうひとつ、予定工程曲線そのものが帯から外れる場合があります。このときは工事の進み具合の問題ではなく、工程計画そのものが不合理と考えて計画を再検討します。
S字の中期は出来高がいちばん急に伸びるところで、人も機械もいちばん多く要ります。そこで中期の勾配を理想工程曲線より緩めると、人員・機械の投入がならされます。これが平準化です。
工程管理曲線は「描いて提出する書類」になりがちですが、本来は毎月プロットして傾向を見るための図です。
混同しやすい用語
出来高累計曲線 と 工程管理曲線(バナナ曲線)
出来高累計曲線は1本の曲線で、累計の出来高比率を表したものです。これに上方許容限界と下方許容限界の2本を加え、管理に使う形にしたものが工程管理曲線(バナナ曲線)です。1本が表示、3本が管理図と分けて覚えます。
出来高比率 と 工事費構成率
出来高比率は、工事全体がどこまで進んだかを比率で表すものです。工事費構成率は費用の内訳の割合を指す語で、進み具合を表す指標ではありません。令和5年度1級問題BNo.26では、この2語の取り違えが問われました。
バーチャート と 曲線式
バーチャートは横線式です。曲線式に入るのはグラフ式工程表・出来高累計曲線・斜線式などで、いずれも出来高(作業量)を軸にとります。
工程管理曲線は、1級の問題B(施工管理法の応用能力)で令和5・6・7年度と3年続けてNo.27に出ています。2級でも令和6年度前期No.61で出ました。引っかけは大きく3パターンです。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和7年度 1級 問題B(No.27) | 上方限界=不経済の検討、下方限界を下回る=突貫工事、下方限界に接近=早期対策、S形の中期を緩めて平準化。4つとも正しい ←① |
| 令和6年度 1級 問題B(No.27) | 上方限界・下方限界に対して何をするか。S字型になる理由まで含めて出題 |
| 令和5年度 1級 問題B(No.27) | 曲線の勾配、下方限界への接近、上方限界の超過、予定工程曲線が許容限界から外れる場合の4点 |
| 令和6年度 2級前期(No.61) | 縦軸=出来高比率・横軸=時間経過比率、出来高累計曲線はS字型 ←②軸 |
| 令和5年度 2級前期(No.56) | 「曲線式工程表にはバーチャートがある」→ バーチャートは横線式 ←③分類 |
| 令和6年度 2級後期(No.61) | バーチャートとネットワーク式の取り違え。出来高累計曲線・グラフ式は正しい記述 |
| 令和5年度 1級 問題B(No.26) | 出来高比率と工事費構成率の取り違え ←②軸 |
つまり上方限界=進み過ぎ・不経済、下方限界=遅れ・突貫工事。この対を覚えておけば、1級問題BのNo.27はほぼ取れます。
問題:出来高累計曲線が一般にS字型になるのはなぜか。
工事の出来高が一定のペースで進まないためです。初期は準備・仮設が中心で伸びず、中期に主要な施工が進んで大きく伸び、終期は仕上げと片付けで再び緩やかになります。この「緩い→急→緩い」を累計するとS字になります。
問題:実施工程曲線が上方限界を超えたとき、なぜ「順調」ではなく「不経済の検討」なのか。
予定より早い分だけ、人員や機械を余計に投入している可能性があるためです。工程を詰めれば原価は上がります。だから上に振れたときは、原価と品質を確認します。突貫工事を検討するのは、下方限界を下回ったときです。(令和7年度1級 問題B No.27)
問題:S形工程曲線の中期の勾配を、理想工程曲線より緩めるのはなぜか。
中期は出来高がいちばん急に伸びる時期で、人も機械も最も多く必要になるためです。中期の勾配を緩めると、その山がならされて人員・機械の投入が平準化されます。(令和7年度1級 問題B No.27)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ 許容限界の幅は工事の規模や工種によって設定が変わります。運用の詳細は工程管理の基準・便覧で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年9月
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管理人からのコメント
過去問で「下方限界に接近したとき」と「下回ったとき」がわざわざ別の肢になっているのは、この差が実務上いちばん大きいからです。近づいている段階なら増員や並行作業で戻せます。割ってから気づくと、残る手は突貫工事だけになります。毎月プロットするのは、点の位置を見るためではなく、この傾きを見るためです。
上方限界を超えたときに「良いこと」ではなく「不経済を検討する」となるのも、同じ発想です。工程を詰めれば原価は上がります。予定より早いのは、その分だけ余計に投入している可能性があるということです。