けんせつる
速くやれば、そのぶん安くなるんじゃないの?
工程は計画どおりぴったりがいいの?
この記事の要点
工程・原価・品質は、互いに相反する関係にあります。同じ方向には動きません。
「速めるほどますます安くなる」「3者は同じような性質」はどちらも誤りです。
まず、3つがどう影響し合うのかを押さえます。
工程(はやさ)・原価(やすさ)・品質(よさ)は、すべてを同時に最大にはできません。それぞれ相反する性質があるため、調整を図りながら計画します。
3者を「同じような性質」と書く肢は誤りです。正しくは相反するです。
工程と原価の関係が、この単元でいちばん問われるところです。一直線ではなくU字型になります。
ゆっくり作業すると原価は高くなります。手待ちや無駄が多く、現場を長く開けておく費用もかかるためです。
施工を速めるにつれて原価は安くなります。無駄が減り、工期が縮まるからです。
ところが極度に速めて突貫作業になると、原価は逆に高くなります。班を増やし、大型機械を使うため人件費・機械費がかさむからです。
この原価が最も安くなる施工速度を経済速度といいます。「施工を速めるほど、ますます安くなる」とする肢は、この突貫での逆転を見落としています。グラフがU字だと分かっていれば、右下がり一直線の記述は選べません。
原価管理は、適正な利潤の確保を目的として、工事で投入・消費される資材・労務・機械や施工管理等に費やされるすべての費用を対象とする管理統制機能です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| コストコントロール | ★所定の品質を確保したうえで、予定原価に対して原価を抑え、工事原価の低減を図る |
| コストマネジメント | コストコントロールの結果得られた実施原価をフィードバックし、以降の工事に反映させて経済性向上を図る総合的な原価管理 |
出題では、コストコントロールを「品質よりも安価となることを採用し」と書いた肢が誤りになりました。品質を落として安くするのは原価管理ではありません。所定の品質を確保したうえで原価を抑えるのが原価管理です。
2つの違いは時間の向きです。コストコントロールは今の工事、コストマネジメントは次の工事へつなげる段階です。
工程管理では、実施工程を計画工程よりやや上回る程度(前倒し気味)に管理するのが望ましいとされます。「やや下回る」は誤りです。下回れば工期に遅れるためです。
そのほか出題される要点です。
混同しやすい用語
コストコントロール と コストマネジメント
時間の向きが違います。コストコントロールは今の工事で、所定の品質を確保したうえで予定原価に対して原価を抑えます。コストマネジメントは、その結果得られた実施原価をフィードバックして以降の工事に反映させる総合的な原価管理です。「品質よりも安価となることを採用」は、どちらの説明としても誤りです。
やや上回る と やや下回る
実施工程は計画工程をやや上回る程度(前倒し気味)に管理します。「やや下回る」では工期に遅れます。なお工程表が図表化するのは施工順序と時間であって、実行予算ではありません。
この単元は1級の問題Bと2級の施工管理法で出ます。引っかけは3型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和7年度 1級 問題B(No.26) | 穴埋め。「ますます安く」→ 誤り(突貫で逆転)。「同じような」→ 誤り(相反する)←①(正答2) |
| 令和7年度 1級 問題B(No.24) | 「発生原価を実行予算よりも高めに設定する」→ 誤り。実行予算以内に収める ←②(正答3) |
| 令和5年度 1級 問題B(No.24) | コストコントロールを「品質よりも安価となることを採用」→ 誤り。所定の品質を確保したうえで ←② |
| 令和7年度 2級後期(No.61) | 「工程表は施工順序と実行予算を図表化」→ 誤り。時間(日程・工期)←③(正答3) |
| 令和4年度 2級前期(No.56) | 穴埋め。実施工程は計画を「やや上回る」が正しい ←③(正答2) |
問題:施工を速めると原価はどうなるか。速めるほど安くなるか。
ある速度までは安くなりますが、そこから先は逆に高くなります。極度に速めて突貫作業になると、班を増やし大型機械を使うため人件費・機械費がかさむためです。原価が最も安くなる速度が経済速度です。「速めるほどますます安くなる」は誤りです。(令和7年度1級 問題B No.26)
問題:原価管理の目的は何か。
発生原価を実行予算以内に収めることです。発生原価と実行予算を比較して差異を分析・検討します。「発生原価を実行予算よりも高めに設定する」は目的と逆で誤りです。管理は実行予算の作成時点から始まり、P-D-C-Aサイクルを循環させます。(令和7年度1級 問題B No.24)
問題:実施工程は、計画工程に対してどう管理するのが望ましいか。
計画工程よりやや上回る程度(前倒し気味)に管理します。「やや下回る」では工期に遅れます。差が生じたら原因を追及して改善します(フォローアップ)。なお工程表が図表化するのは施工順序と時間で、実行予算ではありません。(令和4年度2級前期 No.56、令和7年度2級後期 No.61)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
この単元の中心はU字カーブです。速くすれば安くなる、という直感の続きに突貫での逆転があります。班を増やして大型機械を持ち込めば、当然お金はかかる。現場を思い浮かべれば納得できる話ですが、グラフの形を知らないと「ますます安く」を選んでしまいます。
原価管理のほうは、誤り肢が「品質を犠牲にする」か「予算を上げる」のどちらかです。どちらも管理として筋が通りません。所定の品質を確保したうえで、実行予算以内に収める。この一文が原価管理の定義そのものです。