けんせつる
根固工と水制工、どっちも洗掘を防ぐの?
何が違うの?
この記事の要点
根固工は、河床の洗掘を防いで基礎を守る工です。被覆工や基礎工と絶縁し、単独で沈下・屈とうできるようにします。
水制工は、流れをはねて流速を弱める工で、透過水制と不透過水制に分かれます。過去問での問われ方も押さえます。
根固工と水制工は、どちらも流れによる洗掘や侵食を防ぐ工です。守る場所と防ぎ方が違うので、分けて理解します。
根固工は河床の洗掘を防いで基礎を守る工、水制工は流れをはねて流速を弱める工です。
根固工は、流水による河床の洗掘を防ぎ、護岸の基礎工やのり覆工(被覆工)の基礎を守る工です。法面被覆工の法先などに接続して設けます。
大切なのは、単独に沈下や屈とうできるように、被覆工や基礎工と絶縁する点です。河床が洗掘されて沈下しても、根固工だけがその動きに追従してすき間を埋め、基礎が壊れるのを防ぎます。
材料には、捨石、異型コンクリートブロック、かご系(蛇かご・ふとんかご)などが使われます。どれも小さな塊を並べたもので、1枚の板ではありません。ここに意味があります。河床の変化に追随できる屈とう性のある構造が基本で、河床変化に追随しない剛な構造とするのは誤りです。異形コンクリートブロックの乱積みは、河床整正をせずに積み上げます。
ふつう構造物は、丈夫でびくともしないほうが良いはずです。ところが根固工に限っては、動けることが求められます。理由は、守る相手が「動く河床」だからです。
洪水のたびに、川底の砂利は流されて深さが変わります。根固工の下の河床が掘れたとき、
この「落ちて埋める」動きが屈とう性です。捨石も、異型ブロックも、かご系も、すべて形が変わることを前提にした構造です。「河床変化に追随しない剛な構造とする」という肢が誤りなのは、根固工の存在理由そのものを否定しているからです。
被覆工や基礎工と絶縁する(つなげない)のも同じ筋です。つないでしまうと、根固工が沈むときに基礎まで引きずり落とします。守るはずの相手を巻き込んでは意味がありません。根固工だけが単独で沈み、屈とうできるようにしておきます。
乱積みで河床整正をしないのも、同じ考え方です。きれいに平らへならしてから並べても、次の洪水で河床は変わります。整えた形は残らないので、そのまま積んで、あとは河床に合わせて動いてもらいます。
水制工は、流水や流送土砂をはねて流速を弱め、河岸(渓岸)の侵食や洗掘を防ぐ工です。川の中に突き出すように設け、瀬や淵の創出効果も期待できます。構造によって透過水制と不透過水制に分かれます。
根固工との違いは守る場所です。根固工は護岸の足元(河床)を、水制工は河岸そのものを守ります。根固工は「その場に留まって覆う」のに対し、水制工は「川の中に突き出して流れを外へ押しやる」——受け身と攻めの違いと考えると混ざりません。
| 根固工 | 水制工 | |
|---|---|---|
| 守るもの | 護岸の基礎・河床 | 河岸(渓岸) |
| やり方 | 河床を覆って洗掘を防ぐ | 流れをはねて流速を弱める |
| 置く場所 | のり覆工の法先に接続 | 川の中へ突き出す |
| 求められる性質 | 屈とう性(動けること) | 流れに耐える強さ |
透過水制と不透過水制の違いも、流れをどこまで止めるかです。透過水制は水を通しながら勢いだけを削り、土砂を落ち着かせて堆積させます。不透過水制は水をせき止めて、流れを完全に外へ向けます。じわじわ弱めるのが透過、はっきり向きを変えるのが不透過です。
透過水制は、流水が透過する構造です。水制が粗度要素となって流速を減じ、洗掘を防いだり、適切に配置すれば土砂を堆積させたりする効果があります。杭出し類・牛枠類・ポスト型などがあります。
不透過水制は、流水を透過させない構造で、越流水制と非越流水制に分かれます。水はね効果が大きい一方、水制の先端部や下流部が特に洗掘されやすいため、周辺に根固工を設けることが多くなります。
混同しやすい用語
水制工 と 護岸
どちらも河岸を守りますが、守り方が違います。護岸は、河岸の表面を覆って、流れが直接当たるのを防ぎます。水制工は、川の中に突き出して流れを岸からはね返し、流速を弱めて河岸に当たりにくくします。面で覆うのが護岸、流れを岸から遠ざけるのが水制工、と分けて覚えます。
根固工と水制工は、1級でその構造・施工・目的が問われます。引っかけは大きく3型です。
| 年度・級・No. | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和6年度 1級 No.27 | 根固工の異形コンクリートブロックの乱積みを「河床整正を行って積み上げる」=誤り(乱積みは河床整正をしない)←施工・正答:4 |
| 平成28年度 1級 No.22 | 河川護岸の根固工を「河床変化に追随しない構造」=誤り(追随する屈とう性構造が必要)←構造 |
| 平成28年度 1級 No.37 | 根固工の基礎工を「洗掘・吸い出しを受けやすい箇所では設ける必要がない」=誤り(設ける必要がある)←施工 |
| 平成25年度 1級 No.25 | 渓流保全工で水制工を「流速を増加させて渓床低下を促進する」=誤り(流速を弱めて渓岸の侵食・洗掘を防ぐ)←目的(水制工は誤り肢) |
核心は3つです。根固工は河床変化に追随する屈とう性構造(追随しない剛な構造は誤り)、乱積みは河床整正をしない、水制工は流速を弱めて河岸の侵食を防ぐ(流速を増加させるは誤り)。構造・施工・目的を逆にした記述が、誤り肢になります。
問題:根固工は、単独に沈下や屈とうできるように、被覆工や基礎工と絶縁して設ける。
〇か×か。
答え:〇
根固工は河床が洗掘・沈下しても単独で追従できるよう、被覆工や基礎工と絶縁します。これで基礎を守ります。
問題:根固工は、河床の変化に追随しない剛な構造とするのがよい。
〇か×か。
答え:×
根固工は、河床変化に追随できる屈とう性のある構造が基本です。追随しない剛な構造は適切ではありません(平成28年度 1級 No.22)。
問題:水制工は、流速を増加させて渓床低下を促進するために設ける。
〇か×か。
答え:×
水制工は流速を弱めて、渓岸(河岸)の侵食や洗掘を防ぐ工です。流速を増加させるのではありません(平成25年度 1級 No.25)。
問題:透過水制は流水を通す構造で、不透過水制は流水を通さない構造である。
〇か×か。
答え:〇
透過水制は流水が透過して流速を減じ、不透過水制は流水を通さず水はね効果が大きい構造です。
根固工と水制工は、どちらも流れによる洗掘・侵食を防ぐ工です。
河床の洗掘を防いで基礎を守るのが根固工(河床変化に追随する屈とう性構造)、流れをはねて流速を弱めるのが水制工です。
根固工の構造・施工と、水制工の目的が、過去問で繰り返し取り違えさせられます。
参考資料
※ 役割・種類は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年6月
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