けんせつる
床固工と帯工、どっちも渓床に造るけど何が違うの?
護岸の基礎を守るなら、床固工は上流と下流どっち?
この記事の要点
床固工とは、渓床の縦侵食を防いで河床を安定させる横断構造物のことです。渓流保全工の一部で、帯工・護岸工と組み合わせて使います。
床固工は据えた場所から「上流」の河床低下を止めます。だから工作物の基礎を守りたいときは、その工作物の「下流」に置きます。ここを上流と書くのが過去問の引っかけです。
まず、床固工と帯工がどこに置かれる構造物なのかを押さえます。
渓流保全工は、山地の渓流で縦方向・横方向の侵食を防ぎ、土砂の流れを調節する工です。流路を落ち着かせて、渓床が掘れ下がったり渓岸が崩れたりするのを止めます。主に3つの工からなります。
計画するときは、地形をならして一本の水路にするのではありません。多様な渓流空間、生態系の保全、自然の土砂調節機能の観点から、拡幅部や狭窄部等の自然の地形を活かして計画します。
護岸工では、湾曲部の外湾側は河床変動が大きいため、根固工を併用する等の検討が求められます。曲がりの外側は流れが強く当たって、河床が深掘れしやすいためです。
いちばんの違いは渓床に落差をつけるかどうかです。
| 床固工 | 帯工 | |
|---|---|---|
| 落差 | もつ | 原則として天端高を計画渓床高と同一にし、つけない |
| 目的 | 渓床の縦侵食防止と河床堆積物の再移動防止。河床を安定させる | 渓床の過度の洗掘を防ぐ |
| 置く場所 | 渓流保全工の上下流端、計画河床勾配の変化点など | 上流の床固工の埋没防止、床固工の間隔が広い区間の縦侵食防止 |
| 型式 | 一般に重力式コンクリート型式。地すべり地や軟弱地盤では枠床固工・ブロック床固工 | — |
帯工が落差をつけないのは、そこで河床を下げたいわけではないからです。床固工と床固工の間で、渓床が部分的に掘れるのを止めたいだけ。だから天端を計画渓床高に合わせて、水面を段差なく通します。
ここが試験の核心で、上流と下流の1語だけを入れ替えた肢が出ます。
床固工は渓流を横断して据える構造物で、その位置の河床の高さを固定します。河床が下がろうとする力を止められるのは、床固工より上流側だけです。下流側の河床低下には効きません。堰き止めた地点より下は、そのまま掘れ下がっていきます。
ですから、護岸などの工作物の基礎を守りたいなら、その工作物より下流に床固工を置きます。そうすれば工作物は床固工の上流側に入り、河床の高さが保たれます。
逆に上流に置いてしまうと、守りたい工作物は床固工の下流側に残されます。河床が下がって基礎が洗われ、何のために置いたのか分からなくなります。
過去問はここを狙います。床固工の目的(縦侵食の防止と河床堆積物の再移動防止)までは正しく書いておいて、設置位置の1語だけを「上流」に変えてきます。目的の部分を読んで納得すると、そのまま通してしまいます。
「帯工」という語は河川護岸でも使われますが、渓流保全工の帯工とは別のものです。護岸の帯工は縦横の2つに分かれます。
| 名称 | 設ける位置 | 目的 |
|---|---|---|
| 縦帯工 | 護岸の法肩部 | 法肩の施工を容易にし、法肩部の破損を防ぐ |
| 横帯工 | 法覆工の延長方向の一定区間ごと | 護岸の変位や破損が他に波及しないよう絶縁する |
渓流保全工の帯工が渓床の横断構造物なのに対し、護岸の縦帯工・横帯工は法面に設ける部材です。同じ「帯工」でも場所が違います。
混同しやすい用語
床固工 と 帯工
落差の有無で分かれます。床固工は落差をもち、渓床の縦侵食防止と河床堆積物の再移動防止のために設けます。帯工は原則として天端高を計画渓床高と同一にして落差をつけず、渓床の過度の洗掘を防ぎます。落差をつけるのが床固工です。
床固工 と 砂防えん堤
どちらも渓流に造る横断構造物ですが、主な目的が違います。砂防えん堤は上流に土砂をためて流出を抑えるのが主目的で、高さがあります。床固工は渓床の縦侵食を抑えて河床の勾配を安定させるのが主目的で、落差は比較的小さく抑えます。土砂をためるのがえん堤、河床を安定させるのが床固工です。
渓流保全工の帯工 と 護岸の縦帯工・横帯工
同じ語ですが場所が違います。渓流保全工の帯工は渓床に設ける横断構造物で、洗掘を防ぎます。護岸の縦帯工は法肩部、横帯工は法覆工の延長方向の一定区間ごとに設ける部材で、法肩の破損防止と、破損の波及を絶縁するのが目的です。
床固工・帯工は1級の渓流保全工、護岸の帯工は1級・2級の河川護岸で問われます。引っかけは3型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和5年度 1級(No.25) | 床固工を「護岸工等の工作物の上流に設置することにより工作物の基礎を保護する」→ 誤り。下流側に置く。目的の記述までは正しい ←①(正答4) |
| 令和7年度 1級(No.27) | 縦帯工=法肩部の破損防止、横帯工=法覆工の延長方向の一定区間ごとに絶縁、が正しい肢(誤りは寄石の粗度)(正答2) |
| 令和8年度 2級(No.21) | 横帯工=流水方向の一定区間ごとに絶縁、縦帯工=法肩部、が正しい肢(誤りは間知ブロック積工の勾配)(正答1) |
床固工の設置位置は、「床固工は据えた場所から上流を守る」の一行で決まります。この向きさえ押さえれば、上流と下流のどちらに置くかは自然に出てきます。
問題:護岸の基礎を守るために床固工を置くとき、護岸の上流と下流のどちらに置くか。理由も。
下流に置きます。床固工が河床の低下を止められるのはその位置から上流側だけだからです。護岸より下流に置けば、護岸は床固工の上流側に入って河床の高さが保たれます。上流に置くと、護岸は床固工の下流側に残されて河床が下がり、基礎が洗われます。(令和5年度1級 No.25)
問題:帯工が天端高を計画渓床高と同一にして落差をつけないのはなぜか。
帯工の目的は渓床の過度の洗掘を防ぐことであって、そこで河床を下げることではないためです。床固工と床固工の間で渓床が部分的に掘れるのを止めたいだけなので、天端を計画渓床高に合わせて水面を段差なく通します。落差をつけるのは床固工です。
問題:渓流保全工を、拡幅部や狭窄部の自然の地形を活かして計画するのはなぜか。
多様な渓流空間、生態系の保全、自然の土砂調節機能を保つためです。地形をならして一本の水路にすると、これらが失われます。侵食を止めることだけが目的ではありません。(令和5年度1級 No.25)
問題:護岸の横帯工は、何のためにどこへ設けるか。
護岸の変位や破損が他に波及しないよう絶縁するために、法覆工の延長方向の一定区間ごとに設けます。一方の縦帯工は法肩部に設け、法肩の施工を容易にし破損を防ぎます。(令和7年度1級 No.27、令和8年度2級 No.21)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
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管理人からのコメント
令和5年度1級No.25は、よくできた問題でした。床固工の目的(縦侵食の防止・河床堆積物の再移動防止)を正しく書いておいて、最後の「上流」の1語だけを入れ替えています。前半で納得してしまうと、そのまま通します。
覚え方は単純です。床固工は、そこで河床の高さを止める堰です。堰の上流には水位も河床も保たれますが、下流はそのまま下がります。守りたいものは堰の上流側に入れる。だから床固工は工作物の下流に置く。図を1回描けば忘れません。
帯工のほうは、渓流の帯工と護岸の帯工が別物である点だけ気をつけてください。渓床にあるのが渓流の帯工、法面にあるのが護岸の縦帯工・横帯工です。