ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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型枠・支保工とは?側圧が大きくなる条件と、力の小さい部分から外す理由

けんせつる

けんせつる

側圧って、暑い日と寒い日でどっちが大きいの?

型枠は、外しやすいところから外していいの?

この記事の要点

型枠とはコンクリートを所定の形に固める仮設の枠、支保工とはそれを支える仮設のことです。固まるまで形と位置を保ちます。

  • 側圧……単位重量・打上がり速度・スランプは大きいほど側圧が大きい温度だけは高いほど小さい。
  • 取りはずし……「外しやすい場所から」ではなく力(応力)の小さい部分から。鉛直部材を先に。
  • 支柱の継手……突合せ継手差込み継手重ね継手は認められていません

まず、型枠が受ける力から押さえます。

型枠に作用する側圧

側圧とは、まだ固まっていないコンクリートが型枠を外へ押す圧力です。液体に近いほど強く押します。次の4条件で決まります。

条件 側圧 理由
単位重量が大きい 大きい 重いほど型枠を押す力が増す
打上がり速度が速い 大きい 固まる前の液体状の部分が高く積み上がる
スランプが大きい 大きい 軟らかいほど液圧に近づく
温度が高い 小さい 凝結が早く進み、液体状の性質を早く失う

3つは「大きいほど大きい」なのに、温度だけが逆です。ここが令和6年度1級の誤り肢でした。「温度が高いほど側圧は大きく作用する」と書かれると、他の3つと同じ向きに見えて通してしまいます。

理屈はこうです。温度が高いほどセメントの水和反応による凝結(固まり始め)が早く進みます。固まり始めたコンクリートは液体状の性質を失い、型枠を押す力が弱まります。だから夏より冬のほうが側圧は大きい。寒い日ほど型枠に気をつける、と覚えると現場の感覚とも合います。

型枠の取りはずし順序(模式図) スラブ・梁(水平部材) ①側型枠 (力が小さい) ②底型枠 +支保工 (荷重を支える)
型枠の取りはずし順序(模式図)。形状は実物どおりではありません。

取りはずしは「力の小さい部分から」

型枠・支保工は、コンクリートが自分の重さや施工中の荷重に耐えられる強度に達してから取りはずします。早すぎると変形やひび割れの原因になります。

順序にも決まりがあります。「取り外しやすい場所から外す」は誤りです。正しくは比較的荷重を受けない部分、つまり力(応力)の小さい部分から先に外します。

  • 先に外す……柱・壁などの鉛直部材の側型枠。コンクリートの重さを支えていない。
  • 後で外す……スラブ・梁などの水平部材の底型枠と支保工。荷重を直接支えている。

そのほか型枠には次の決まりがあります。

  • 型枠内面には剥離剤を塗布することを原則とする……コンクリートの付着を防ぎ、取り外しを容易にする。
  • コンクリートのかどには、特に指定がなくても面取りができる構造とする……かどの欠けを防ぐため。

型枠支保工の安全(労働安全衛生規則)

支保工が倒れると重大災害になるため、法令で細かく定められています。出題される要点は5つです。

項目 定め
組立図 組立図を作成し、その組立図により組み立てる(仕様書ではない)
支柱の継手 突合せ継手又は差込み継手。★重ね継手は認められていない。鋼材はボルト・クランプ等の金具で緊結する
材料 著しい損傷・変形・腐食がある材料は使用してはならない(★「補修して使用」は誤り)
点検 コンクリート打設作業ではその日の作業を開始する前に点検し、不備は作業前に補修する
作業主任者 型枠支保工の組立て等作業主任者作業を直接指揮する

重ね継手が認められない理由は構造にあります。重ね継手は2本の支柱を横に添わせて重ねるため、上下の軸が一直線になりません。荷重が偏って加わり、細長い支柱ではそれが座屈のきっかけになります。突合せ継手なら端面どうしを真上と真下で突き合わせるので、荷重が軸に沿ってまっすぐ伝わります。

支柱の沈下・滑動を防止するため、必要に応じて敷板・敷角の使用、コンクリート基礎の打設、根がらみの取付け等の措置を行います。

施工管理での確認ポイント

  • 気温と側圧を結びつける:冬期は側圧が大きい。打上がり速度を上げすぎない。
  • 組立図どおりか確認する:現場の組み方が図面と違っていないか。
  • 支柱の継手を確認する:重ね継手になっていないか。金具で緊結されているか。
  • 脚部を確認する:敷板・根がらみで沈下と滑動が止められているか。
  • 打設前の点検を記録する:その日の作業開始前に点検したか。

混同しやすい用語

温度 と ほかの3条件(側圧)

向きが1つだけ逆です。単位重量・打上がり速度・スランプは大きい(速い)ほど側圧が大きくなります。温度だけは高いほど側圧が小さくなります。温度が高いと凝結が早く進んで液体状の性質を失うためです。「温度が高いほど側圧は大きい」は誤りです。

突合せ継手・差込み継手 と 重ね継手

支柱の継手は突合せ継手差込み継手に限られます。重ね継手は認められていません。重ねると上下の軸がずれて荷重が偏り、座屈の原因になるためです。鉄筋の継手には重ね継手がありますが、型枠支保工の支柱では使えません。

過去問でどう問われたか

型枠・支保工は1級・2級ともに出ます。引っかけは3型です。

  • 温度と側圧の向き……「温度が高いほど側圧は大きく作用する」。
  • 取りはずしの基準……「取り外しやすい場所から外す」。
  • 法令の条件のすり替え……重ね継手を認める、損傷材を「補修して使用」とする。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和6年度 1級(No.16)「温度が高いほど側圧は大きく作用する」→ 誤り。凝結が早く進み小さくなる ←①(正答1)
令和5年度 2級後期(No.8)「型枠は、取り外しやすい場所から外していくことを原則とする」→ 誤り。力の小さい部分から ←②(正答3)
令和7年度 1級 問題B(No.10)「支柱の継手は重ね継手又は差込み継手とし」→ 誤り。突合せ継手又は差込み継手 ←③(正答3)
令和5年度 2級前期(No.58)「著しい損傷、変形又は腐食がある材料は補修して使用しなければならない」→ 誤り。使用してはならない ←③(正答3)
令和6年度 2級前期(No.63)組立図の作成・その日の作業開始前の点検・作業主任者の職務の組合せ(正答3)

管理人からのコメント

側圧は4条件のうち温度だけが逆という形になっていて、そこを狙われます。ほかの3つと並べて「どれも大きいほど大きい」と読ませておいて、温度で引っかける作りです。冬のほうが側圧は大きいと一言で覚えておけば外しません。

取りはずしの「外しやすい場所から」も、現場の感覚としては通ってしまいそうな言い方です。でも基準は力の小さいところから。柱や壁の側型枠はコンクリートの重さを支えていないので先に外せます。スラブの底を支えている支保工を先に外したら落ちます。

理解度チェック

問題:コンクリートの温度が高いと、型枠に作用する側圧はどうなるか。理由も。

小さくなります。温度が高いほどセメントの水和反応による凝結が早く進み、コンクリートが液体状の性質を早く失うためです。単位重量・打上がり速度・スランプは大きい(速い)ほど側圧が大きくなるのに対し、温度だけが逆です。(令和6年度1級 No.16)

問題:型枠を外す順序の基準は何か。具体的にどちらを先に外すか。

基準は力(応力)の小さい部分からです。柱・壁などの鉛直部材の側型枠を先に外し、スラブ・梁などの水平部材の底型枠と支保工を後で外します。「取り外しやすい場所から」は誤りです。(令和5年度2級後期 No.8)

問題:型枠支保工の支柱に重ね継手を使えないのはなぜか。

重ね継手は2本の支柱を横に添わせて重ねるため、上下の軸が一直線にならず、荷重が偏って加わるからです。細長い支柱ではこの偏りが座屈のきっかけになります。認められているのは突合せ継手差込み継手で、どちらも荷重が軸に沿ってまっすぐ伝わります。(令和7年度1級 問題B No.10)

まとめ

  • 型枠はコンクリートを所定の形に固める仮設の枠、支保工はそれを支える仮設。
  • 側圧=単位重量・打上がり速度・スランプが大きいほど大きい。温度だけは高いほど小さい(凝結が早く進むため)。
  • 取りはずし=必要な強度に達してから、力の小さい部分から。鉛直部材の側型枠が先、水平部材の底型枠と支保工が後。
  • 型枠内面には剥離剤を塗布するのが原則。かどは指定がなくても面取りできる構造にする。
  • 支柱の継手は突合せ継手又は差込み継手重ね継手は不可(軸がずれて座屈する)。
  • 組立図を作成しそれにより組み立てる。損傷・変形・腐食のある材料は使用しない。打設作業ではその日の作業開始前に点検する。

コンクリートの軟らかさはスランプ、打込みの手順はコンクリートの打込みで確認できます。

参考資料

  • 労働安全衛生規則(型枠支保工の規定)
  • 土木学会「コンクリート標準示方書(施工編)」
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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