編集部
単位作業場所、どこまでを一つにするか迷いませんか?「作業が違えば分ける」「人が一人なら一つにまとめる」と覚えていると、過去問の引っかけに引っかかります。範囲を決める基準で整理しましょう。
この記事の要点
単位作業場所の範囲は、労働者の行動範囲・有害物質の分布・気流で決めます。人数や作業時間は範囲を決める要素ではありません。
作業環境測定士のデザイン・サンプリングでは、ほぼ毎回(問2)この設定が問われます。下で令和5〜8年の問われ方を年度別に並べ、引っかけの型を押さえます。
作業環境測定は、作業場の全部をまとめて測るのではなく、有害物質の状態が似た区域に区切って測ります。この区切った区域が単位作業場所です。
単位作業場所とは、労働者の作業中の行動範囲と有害物質の分布をもとに、濃度がほぼ均一になるよう区切った、作業環境測定のための区域のことです。
ポイントは、何を基準に範囲を決めるかです。基準は労働者の行動範囲と有害物質の分布、そして分布に影響する気流です。
働く人の数や作業時間は、測定点の数や測定時間には関係しますが、単位作業場所の範囲そのものを決める基準ではありません。
単位作業場所は、労働者の行動範囲と有害物質の分布をもとに、作業場を区切った一つの区域です。
区域内では濃度がほぼ均一か、変動してもランダムになるように範囲を決めます。
時間帯などによって濃度が決まった向きに変わるときは、その時間帯を別の単位作業場所にします。
範囲を決めるときに気流は考慮します。働く人の数や作業時間は、範囲を決める要素ではありません。
「労働者が動く範囲の中で、有害物質が分布し、濃度がほぼ均一になる区域」で線を引く、と覚えると、後で出てくる引っかけに気づけます。
同じ区域を分けるか、離れた作業を一つにまとめるかは、作業の種類ではなく有害物質の分布が続いているか・分かれているかと行動範囲で判断します。
混同しやすい考え方
「作業が違う」→ 必ず分ける?
分けるかどうかは作業の種類ではなく、有害物質の分布で決めます。同じ区域・同じ時間に別の作業が行われていても、分布が一続きなら一つの単位作業場所として設定できます。
「作業者が一人」→ まとめてよい?
人数は範囲の基準ではありません。壁で仕切られて分布が分かれている場所は、一人で行き来していても別々の単位作業場所にします。
デザイン・サンプリングでは、単位作業場所の設定が令和5年から令和8年まで毎回、問2で問われています。
いずれも「誤っているものを選ぶ」形式で、引っかけは大きく3つの型に分かれます。
| 実施回(問) | 正答 | 問われ方(引っかけの核心) |
|---|---|---|
| 令和8年2月 問2 | ③ | 「範囲を決める際には、作業場内の気流の影響を考慮しなくてもよい」=誤り。気流は考慮する。 |
| 令和7年8月 問2 | ② | 同一区域・同一時間の塗料調合と塗装は「作業が異なるので異なる単位作業場所としなければならない」=誤り。一つの単位作業場所として設定できる。 |
| 令和7年2月 問2 | ⑤ | 壁で仕切られた吹付け塗装場所と塗料調合場所を「作業者1名なので合わせて一つの単位作業場所とした」=誤り。分布が分断されるので別々にする。 |
| 令和6年8月 問2 | ② | 測定点が多く1作業日で終わらないので「測定を2作業日に分けて行う」=誤り。2作業日にわたる測定は範囲を同一にして全測定点を繰り返すのが原則で、点を1日目・2日目に分けて一部ずつ測ってはいけない。 |
| 令和6年2月 問2 | ③ | 「面積20 m²以下の作業場については単位作業場所を設定できない」=誤り。狭くても設定する。 |
| 令和5年8月 問2 | ① | 「設定に当たって人数や作業時間などを考慮する必要がある」=誤り。範囲の設定に人数・作業時間は要らない。 |
範囲を決める基準は「労働者の行動範囲・有害物質の分布・気流」で、人数や作業時間は基準ではありません。作業の種類が違うだけで機械的に分けたり、壁で分かれた場所を一人作業だからまとめたりするのは誤りです。
同じ「人数・作業時間」でも、令和5年は「考慮する必要がある(誤り)」、令和7年8月・令和8年2月は「考慮する必要はない(正しい)」と、正誤を反転させて出してきます。
基準そのものが分かっていれば、どちらの向きでも判断できます。
問題:単位作業場所の範囲を決める際には、作業場内の気流の影響を考慮しなくてもよい。(令和8年2月 問2)
〇か×か。
答え:×
気流は有害物質の分布に影響するため、範囲を決める際に考慮します。
問題:単位作業場所の設定に当たっては、作業場で働く労働者の人数や作業時間を考慮する必要がある。(令和5年8月 問2)
〇か×か。
答え:×
範囲を決める基準は行動範囲・有害物質の分布・気流です。人数や作業時間は測定点の数や測定時間には関わりますが、範囲の設定基準ではありません。
問題:壁で仕切られた塗料調合場所と吹付け塗装場所を、作業者が一人で両方を行うので、合わせて一つの単位作業場所とした。(令和7年2月 問2)
〇か×か。
答え:×
壁で仕切られると有害物質の分布が分断されるため、別々の単位作業場所にします。作業者が一人であることは範囲の基準になりません。
単位作業場所は、労働者の行動範囲と有害物質の分布をもとに、濃度がほぼ均一になるよう区切った区域です。
範囲を決める基準は行動範囲・分布・気流で、人数や作業時間は基準ではありません。
分けるか・まとめるかは作業の種類ではなく分布の連続/分断で判断します。この基準で見れば、令和5〜8年の問2のように正誤を反転させた引っかけにも対応できます。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月