令和7年2月の作業環境測定士試験 デザイン・サンプリング 問5は、有害物質の極性に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、有機溶剤などの有害物質が極性物質か・無極性物質か、そして2つの物質を比べたときにどちらの極性が大きいかを判断できるかを問うものです。
固体捕集法で活性炭を選ぶかシリカゲルを選ぶかは、この極性の大小で決まるので、捕集剤の選定にも直結する基本です。
引っかけの核心は、対称な分子構造で無極性に近い四塩化炭素を、極性をもつクロロホルムより極性が大きいと逆に並べるところにあります。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢4(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 二硫化炭素を無極性物質とするのは正しい。直線形で対称な分子構造のため極性が打ち消し合う。 |
| 2 | ○(正しい) | アセトンを極性物質とするのは正しい。カルボニル基をもち電荷の偏りがある。 |
| 3 | ○(正しい) | メタノールを極性物質とするのは正しい。水酸基をもち電荷の偏りが大きい。 |
| 4 | ×(誤り) | 四塩化炭素をクロロホルムより極性が大きいとするのが誤り。四塩化炭素は対称で無極性に近く、クロロホルムより極性は小さい。 |
| 5 | ○(正しい) | 酢酸エチルをベンゼンより極性が大きいとするのは正しい。ベンゼンは無極性に近く、酢酸エチルはエステル結合で電荷の偏りをもつ。 |
分子が極性をもつかどうかは、結合に電荷の偏りがあるかと、その偏りが分子全体で打ち消し合わずに残るかで決まります。
同じ向きの偏りが対称にそろうと、分子全体では打ち消し合って極性が小さくなります。
四塩化炭素は、炭素のまわりに4つの塩素が対称に配置された分子です。塩素の偏りが四方向で打ち消し合うため、分子全体としては無極性に近くなります。
一方クロロホルムは、塩素3つと水素1つで構造が非対称なので、偏りが打ち消し合わずに残り、分子全体として極性をもちます。
したがって極性の大小はクロロホルムのほうが大きく、四塩化炭素のほうが小さい関係です。
それを「四塩化炭素のほうがクロロホルムより極性が大きい」と大小を逆に並べるのが、この肢の誤りです。
塩素を多く含む=極性が大きい、と数だけで判断すると引っかかります。決め手は塩素の数ではなく、分子の形が対称か非対称かです。
問題:四塩化炭素とクロロホルムでは、どちらの極性が大きいか。
クロロホルムのほうが大きいです。四塩化炭素は塩素が対称に配置されて偏りが打ち消し合い無極性に近く、クロロホルムは非対称で偏りが残るため極性をもちます。
問題:固体捕集法で、無極性物質と極性物質はそれぞれどの吸着剤で捕集するか。
無極性物質は活性炭、極性物質はシリカゲルで捕集します。シリカゲル管は活性炭管に比べて極性の大きいガス状物質の捕集に適しています。
出典
※ 最終更新:2026年6月