令和7年2月の作業環境測定士試験 デザイン・サンプリング 問12は、ろ過捕集法における粒子の捕集機構に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、ろ過材が粒子を捕える仕組み(さえぎり・慣性衝突・拡散)と、それぞれが効きやすい条件を問うものです。
あわせて、最も捕集しにくい粒径や、対象物質ごとのろ紙の使い分けも問われています。
引っかけの核心は、ろ過流速と拡散作用による捕集率の関係を逆向きに述べているところにあります。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢2(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 鉛ヒュームの捕集にオープンフェース型ホルダーを用いるのは正しい。 |
| 2 | ×(誤り) | ろ過流速が遅いほど拡散作用による捕集率は減少すると述べているが、流速が遅いほど拡散作用は強まり捕集率は上昇するので逆。 |
| 3 | ○(正しい) | マゼンタの捕集にガラス繊維ろ紙を用いるのは正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 0.1µmより小さい粒子は主に拡散で捕えられ、小さいほど捕集率が上がるのは正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | マンガンの捕集に石英繊維ろ紙を用いるのは正しい。 |
微細な粒子は、空気分子にぶつかって不規則に揺れながら進みます(ブラウン運動)。この揺れがあるため、粒子はまっすぐ素通りせず、ろ材の繊維に触れて捕えられます。これが拡散作用による捕集です。
ここで効いてくるのが流速です。ろ過流速が遅いほど、粒子はろ材の繊維のそばに長くとどまり、その間に不規則な揺れで繊維へ触れる機会が増えます。
つまり流速が遅いほど拡散作用は強まり、捕集率は上昇します。
選択肢2は「流速が遅いほど拡散作用による捕集率は減少する」と、向きをそっくり逆に述べているため誤りです。
整理すると、拡散作用は「小さい粒子」「遅い流速」で強く効きます。
一方、慣性衝突は重い(大きい)粒子・速い流速で効くので、流速の効き方が逆向きになる点が混同を誘います。
選択肢4で「粒径が小さいほど拡散で捕集率が上がる」が正しいのと、流速についても同じく遅いほど有利になる、と方向をそろえて覚えると取り違えにくくなります。
問題:ガラス繊維ろ紙で微細粒子を捕集するとき、ろ過流速を遅くすると拡散作用による捕集率はどうなるか。
上昇します。流速が遅いほど粒子はろ材の近くに長くとどまり、不規則な揺れで繊維へ触れる機会が増えるためです。流速が速いほど拡散による捕集率は下がります。
問題:ろ過捕集で最も捕えにくい粒径帯は、おおよそどのあたりか。
おおむね0.1〜0.3µmの帯です。これより大きいとさえぎりや慣性衝突が効き、これより小さいと拡散が効きますが、その中間は両方とも弱くなるため捕集率の谷になります。
出典
※ 最終更新:2026年6月