作業環境測定士 独学ノート
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放射性物質の空気中濃度の計算(正味計数率からの求め方)|作業環境測定士(問17)

編集部

正味計数率から空気中濃度って、どの数字をどこにかけるの?と迷いませんか?式は1つだけ。割るのは「効率×捕集率×空気量」と覚えれば、順算も逆算も解けます。

この記事の要点

放射性物質の空気中濃度 = 正味計数率 ÷(計数効率 × 捕集率 × 吸引空気量)。吸引空気量は流量 × 採取時間です。

「最小試料採取時間」を求める問題も、同じ式を時間について解くだけ。流量はcm³に、時間は分にそろえるのが最大のつまずきです。

放射性物質のサンプリングでは、捕集材に集めた試料を測定器で数え、その計数率から空気中の濃度を求めます。問17ではこの計算が毎回出ます。

空気中濃度 = 正味計数率 ÷(計数効率 × 捕集率 × 吸引空気量)
吸引空気量 = 流量 × 採取時間

割るのは「計数効率 × 捕集率 × 吸引空気量」。空気量は流量×時間で、単位をcm³と分にそろえます。

式の意味と単位のそろえ方

正味計数率(1秒あたりの正味のカウント、単位 s⁻¹)は、捕集材に集まった放射能を測ったものです。

これを実際の空気中濃度(Bq/cm³)に直すには、測定器が取りこぼす分(計数効率)、捕集材が取りこぼす分(捕集率)、そして吸い込んだ空気の量で割り戻します。

記号・量意味単位をそろえる
正味計数率1秒あたりの正味のカウントs⁻¹
計数効率・捕集率取りこぼしの割合%は小数に(35%→0.35)
流量1分あたりの吸引量L/min → ×1000でcm³/min
採取時間吸引した時間時間 → ×60で分

濃度の単位がBq/cm³なので、空気量もcm³でそろえます。流量がL/minなら1000倍してcm³に、採取時間が「○時間」なら60倍して分にします。

計算例1:空気中濃度を求める(順算)

例(令和7年8月 問17):正味計数率 1.2×10⁴ s⁻¹、計数効率35%、流量75 L/min、採取時間8時間、捕集率85%。

吸引空気量 = 75 × 1000 × (8×60) = 3.6×10⁷ cm³

空気中濃度 = 1.2×10⁴ ÷(0.35 × 0.85 × 3.6×10⁷)= 1.2×10⁴ ÷ 1.071×10⁷ ≒ 1.1×10⁻³ Bq/cm³

計算例2:最小試料採取時間を求める(逆算)

「濃度限度の○分の1を測れる最小の採取時間」は、目標の濃度を式に入れ、必要な空気量→時間の順に解きます。計数率は検出下限計数率を使います。

例(令和6年8月 問17):濃度限度 2.0×10⁻⁵ Bq/cm³ の10分の1(=2.0×10⁻⁶ Bq/cm³)を測りたい。検出下限計数率3.5 s⁻¹、計数効率30%、流量60 L/min、捕集率90%。

必要な空気量 = 3.5 ÷(0.30 × 0.90 × 2.0×10⁻⁶)= 3.5 ÷ 5.4×10⁻⁷ ≒ 6.48×10⁶ cm³ = 6480 L

最小採取時間 = 6480 ÷ 60 = 108分

混同しやすいところ

順算(濃度) と 逆算(最小時間)

濃度を求めるのが順算、必要な採取時間を求めるのが逆算です。式は同じで、逆算は時間について解くだけ。逆算の計数率は「検出下限計数率」を使います。

計数効率 と 捕集率

計数効率は測定器の取りこぼし、捕集率は捕集材の取りこぼしです。どちらも分母にかけます。片方を入れ忘れると答えがずれます。

過去問でどう問われたか

放射性物質の計算は、デザイン・サンプリングで毎回(問17)出ます。順算(濃度)・逆算(最小採取時間)・放射能の3パターンが入れ替わります。

年度・問主な条件求めるもの/答え
令和8年2月 問17正味3.4×10³・効率32%・90 L/min・40時間・捕集85%濃度 ≒ 5.8×10⁻⁵ Bq/cm³
令和7年8月 問17正味1.2×10⁴・効率35%・75 L/min・8時間・捕集85%濃度 ≒ 1.1×10⁻³ Bq/cm³
令和6年2月 問17正味5.2×10³・効率28%・95 L/min・168時間・捕集100%濃度 ≒ 1.9×10⁻⁵ Bq/cm³
令和7年2月 問17濃度限度7.0×10⁻⁷の1/100・下限2.4・効率28%・95 L/min・捕集100%最小採取時間 ≒ 215時間
令和6年8月 問17濃度限度2.0×10⁻⁵の1/10・下限3.5・効率30%・60 L/min・捕集90%最小採取時間 = 108分
令和5年8月 問17濃度3.6×10⁻⁵・50 L/min・120時間・捕集80%試料の放射能 ≒ 10.4 kBq

流量はcm³に(×1000)、時間は分に(×60)そろえ、計数効率と捕集率は両方とも分母にかけます。順算・逆算・放射能のどれも「濃度=正味計数率÷(効率×捕集率×空気量)」の変形です。

理解度チェック

問題:正味計数率2.0×10³ s⁻¹、計数効率40%、流量50 L/min、採取時間10時間、捕集率100%のときの空気中濃度(Bq/cm³)は。

答えを見る

空気量 = 50×1000×(10×60) = 3.0×10⁷ cm³。

濃度 = 2.0×10³ ÷(0.40×1.0×3.0×10⁷)= 2.0×10³ ÷ 1.2×10⁷ ≒ 1.7×10⁻⁴ Bq/cm³

問題:最小試料採取時間を求める逆算では、計数率は何を使うか。

答えを見る

検出下限計数率を使います。目標の濃度を式に入れ、必要な空気量を出してから流量で割り、時間にします。

まとめ

放射性物質の空気中濃度は、正味計数率を「計数効率 × 捕集率 × 吸引空気量」で割って求めます。空気量は流量×採取時間で、単位をcm³と分にそろえるのが要です。

最小試料採取時間の逆算も、放射能を求める問題も、すべて同じ式の変形です。

参考資料

  • 放射性物質のサンプリングと空気中濃度の計算(正味計数率・計数効率・捕集率・吸引空気量)。電離放射線障害防止規則・作業環境測定ガイドブックにもとづく。空気中濃度限度は核種ごとに定められる(問題で与えられる値を用いる)。
  • 過去問の計算は、安全衛生技術試験協会の公表試験問題(デザイン・サンプリング 令和5年8月〜令和8年2月の問17)にもとづく・公表正答。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。