電気工事施工管理技士 独学ガイド|資格のT

  1. HOME
  2. 関連分野
  3. > OSI基本参照モデル

OSI基本参照モデルとは?物理層・データリンク層・ネットワーク層の違い

T

T

7つの階層名が並ぶと、どれがどれなの?

説明文を読んでも、下のほうの層は区別がつかない…。

この記事の要点

OSI基本参照モデルとは、開放型システム間の相互接続を階層に分けて整理した、JIS X 5003が定めるモデルのことです。

出題で答えになるのは下の3層です。コネクタとケーブルなら物理層、スイッチングハブならデータリンク層、IPアドレスと経路選択ならネットワーク層

この3つは、規格の「目的」の条文にそれぞれ書き分けられています。

OSI基本参照モデルの各層は、JISが層ごとに「目的」を定めています。

だから見分けるときも、その目的に出てくる語を手がかりにします。答えになったのは物理層・データリンク層・ネットワーク層の3つで、上の4層は選択肢に並ぶだけでした。

答えになるのは下の3層だけ 第7層 アプリケーション層 第6層 プレゼンテーション層 第5層 セション層 第4層 トランスポート層 並んだだけ(答え0回) 第3層 ネットワーク層 第2層 データリンク層 第1層 物理層 1回ずつ答えになった 令和2年度 平成27年度 平成26年度 3年度で、下から順に1つずつ出てきた
1級で出題された3年度(平成26年度・平成27年度・令和2年度)の選択肢と正答から作った区分図です。層の番号と並び順はJIS X 5003の第7章によります。

3年度分の選択肢12個を数えると、次のようになります。

階層 説明文に出てきた手がかりの語 並んだ 答え
ネットワーク層 IPアドレス/論理的なアドレス/経路選択/ルーティング 2回 1回
データリンク層 直結されている機器間/送受信の制御/スイッチングハブ 3回 1回
物理層 コネクタ/ケーブル種別/電気信号/符号化方式 2回 1回
トランスポート層 (説明文に出たことがない) 2回 0回
セション層・プレゼンテーション層・アプリケーション層 (説明文に出たことがない) 各1回 0回

3年度すべての選択肢に並んだのはデータリンク層だけです。上の4層は合わせて5回並びましたが、答えになったことはありません。

物理層はコネクタとケーブルの層

規格は、物理層の目的をこう書いています。

JIS X 5003:1987「開放型システム間相互接続の基本参照モデル」 7.7.2(目的)

物理層は,データリンクエンティティ間でビットの伝送を行うための物理コネクションを活性化,維持,非活性化する機械的,電気的,機能的及び手続上の手段を提供する。物理コネクションは,物理層内でビット伝送を中継する中間の開放型システムを含む場合がある。物理媒体が物理層エンティティを相互接続する。

出題は、この「機械的・電気的」を具体的な物に置き換えて示してきます。

平成26年度 1級 No.48(答え=物理層)

データ伝送に必要な,コネクタやケーブル種別,データの電気信号や符号化方式などを規定している。

「電気信号」は、条文の「電気的」をそのまま置き換えた語です。言い換えると、「物として触れるもの、電気の信号そのものの話なら物理層」ということです。UTPケーブルの長さの制限光ファイバのコアとクラッドも、この層に属する話です。

例えば、平成26年度の選択肢には物理層・データリンク層・ネットワーク層・トランスポート層が並びましたが、コネクタとケーブルが出てくるのは物理層だけです。

データリンク層は直結された機器の間

データリンク層の目的には、物理層との関係がはっきり書かれています。

同 7.6.2(目的)

データリンク層は,ネットワークエンティティ間にデータリンクコネクションを確立,維持及び解放し,データリンクサービスデータ単位を転送するための機能的及び手続上の手段を提供する。データリンクコネクションは,一つ以上の物理コネクションの上に設定する。

データリンク層は,物理層内で発生する誤りを検出し,可能であればその誤りを訂正する。

更に,データリンク層は,ネットワーク層が物理層内のデータ回線の相互接続を制御できるようにする。

平成27年度 1級 No.48(答え=データリンク層)

ネットワーク上で直結されている機器間での通信方式を規定しており,データの送受信の制御などがこの層で行われ,スイッチングハブはこの層の制御機能を持っている。

機器名が手がかりになる唯一の年度です。スイッチングハブが出てきたらデータリンク層です。機器そのものについてはLANに使う機器で扱っています。

ネットワーク層は経路選択の層

規格の目的に、そのまま「経路選択」という語が出てきます。

同 7.5.2(目的)

ネットワーク層は,相互に通信を行う応用エンティティが存在する開放型システム間のネットワークコネクションを確立,維持及び解放するための手段と,トランスポートエンティティがネットワークコネクション上でネットワークサービスデータ単位を交換するための機能上及び手続上の手段とを提供する。

ネットワーク層は,ネットワークコネクションの確立及び動作に関係する経路選択と中継についてトランスポートエンティティが意識しないで済むようにする。

令和2年度 1級 No.42(答え=ネットワーク層)

IPアドレスなど論理的なアドレスを扱い,経路選択などルーティング機能を提供する階層。

「経路選択」は規格の条文にある語です。出題文はそこに「IPアドレス」と「ルーティング」を足した形になっています。

選択肢に並ぶ上の層

答えにはなりませんでしたが、選択肢にはトランスポート層とセション層も並びます。規格の目的は次のとおりです。

同 7.4.2(トランスポート層の目的)/7.3.2(セション層の目的)

7.4.2 トランスポートサービスは,セションエンティティ間に透過的なデータ転送を提供し,セションエンティティが信頼性及び効果対費用比の高いデータ転送を行うための詳細な手段を意識しなくてもすむようにする。

7.3.2 セション層の目的は,協同動作するプレゼンテーションエンティティが,両者の会話を構成し,同期を取り,また,データ交換を管理するために必要な手段を提供することである。

規格では「セション層」と書きます。出題の選択肢は「セッション層」表記です。

まちがえやすいポイント

3年度とも、答えは下から3つのどれかです。上の層は選択肢に並ぶだけで、答えになったことがありません。

説明文に出てくる名詞で切ってください。コネクタ・ケーブル・符号化方式なら物理層、スイッチングハブ・直結された機器ならデータリンク層、IPアドレス・経路選択ならネットワーク層です。

混同しやすい語

物理層とデータリンク層:物理層はビットを送るための機械的・電気的な手段、データリンク層はその物理コネクションの上に設定され、物理層内で発生する誤りを検出します。

データリンク層とネットワーク層:直結された機器の間がデータリンク層、経路を選ぶのがネットワーク層です。

セション層とセッション層:JIS X 5003の表記は「セション層」、出題の選択肢は「セッション層」です。同じ層を指しています。

経路選択とルーティング:規格の条文にあるのは「経路選択と中継」で、出題文は「経路選択などルーティング機能」と書いています。

過去問でどう問われたか

1級で3年度に出ています。いずれも説明文から階層名を選ばせる形で、正誤を問う形ではありません。

年度・級・問 選択肢に並んだ階層 答えになった層
平成26年度 1級 学科試験 No.48 物理層/データリンク層/ネットワーク層/トランスポート層 物理層
平成27年度 1級 学科試験 No.48 物理層/データリンク層/プレゼンテーション層/アプリケーション層 データリンク層
令和2年度 1級 学科試験 No.42 トランスポート層/ネットワーク層/データリンク層/セッション層 ネットワーク層

3年度で答えが重複していません。下の3層を1つずつ順番に出してきています。

コネクタなら物理、ハブならデータリンク、IPならネットワーク。この3対応で3年度すべてが切れます。

問題を解くときは、次の順に見ます。

  • 物の名前を探す:コネクタ・ケーブルが出てくれば物理層です。
  • 機器名を探す:スイッチングハブが出てくればデータリンク層です。
  • アドレスの種類を読む:IPアドレスなど論理的なアドレスならネットワーク層です。
  • 「経路」の語を探す:経路選択・ルーティングはネットワーク層の言葉です。

理解度チェック

Q.

IPアドレスなど論理的なアドレスを扱い、経路選択を提供するのは何層か?

ネットワーク層です。JIS X 5003:1987の7.5.2も「経路選択と中継」と書いています。

Q.

スイッチングハブが制御機能を持つのは何層か?

データリンク層です。平成27年度の正答肢に「スイッチングハブはこの層の制御機能を持っている」と書かれています。

Q.

コネクタやケーブル種別、電気信号や符号化方式を規定するのは何層か?

物理層です。規格は「機械的,電気的,機能的及び手続上の手段」と書いています(7.7.2)。

まとめ

  • 物理層=機械的、電気的、機能的及び手続上の手段(7.7.2)。出題ではコネクタ・ケーブル種別・符号化方式。
  • データリンク層=物理コネクションの上に設定され、物理層内で発生する誤りを検出する(7.6.2)。出題では直結された機器間とスイッチングハブ。
  • ネットワーク層=経路選択と中継(7.5.2)。出題ではIPアドレスとルーティング。
  • トランスポート層=セションエンティティ間に透過的なデータ転送を提供(7.4.2)。
  • セション層=会話を構成し、同期を取り、データ交換を管理する(7.3.2)。規格の表記は「セション層」。
  • 3年度とも説明文から階層名を選ばせる形で、答えは下の3層が1つずつ。

参考資料

  • 日本産業規格 JIS X 5003:1987「開放型システム間相互接続の基本参照モデル」 7.3.2(セション層の目的)・7.4.2(トランスポート層の目的)・7.5.2(ネットワーク層の目的)・7.6.2(データリンク層の目的)・7.7.2(物理層の目的)
  • ITU-T Rec. X.200 (1994 E) 7.5.2 Purpose(ネットワーク層)・7.6.2 Purpose(データリンク層)・7.7.2 Purpose(物理層)=JIS X 5003の対応国際勧告(ITU-T
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成26年度・平成27年度・令和2年度
T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

試験機関が公開している問題と正答肢、日本産業規格や法令などの一次資料をもとに、出題された論点を整理しています。

Topへ >>