令和6年度(前期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.15は、架空送配電線路に使用するがいしの性能を表すものとして、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、どの機器の性能値かを分かっているかを問うものです。制限電圧は避雷器の性能を表す値です。
がいしの性能ではありません。
正解:選択肢1(制限電圧)
> この論点をやさしく解説:フラッシオーバとは?逆フラッシオーバとの違いと雷害対策の使い分け
| 選択肢 | 項目 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 制限電圧 | 避雷器の性能値。不適当 |
| 2 | 機械的強度 | 電線の張力を支える。適当 |
| 3 | 油中破壊電圧 | がいし本体の絶縁耐力を見る。適当 |
| 4 | フラッシオーバ電圧 | 表面を伝う放電の限界。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、4つとも「電圧」や「強度」という、がいしにありそうな言葉で揃っているところです。制限電圧だけ、持ち主が違います。
制限電圧は、避雷器が雷サージを逃がしているあいだ、その端子間に残る電圧のことです。この値が低いほど、後ろにある機器を低い電圧で守れます。避雷器を選ぶときの中心になる値なので、がいしの話には出てきません。
| 機器 | 性能を表す主な値 |
|---|---|
| がいし | フラッシオーバ電圧(乾燥時・注水時)、油中破壊電圧、機械的強度、汚損特性 |
| 避雷器 | 制限電圧、放電開始電圧、公称放電電流、続流遮断性能 |
がいしの3つの値は、それぞれ壊れ方が違います。
| 値 | 何を見るか |
|---|---|
| フラッシオーバ電圧 | がいしの表面を伝って空気中を放電する限界。がいし自体は壊れない |
| 油中破壊電圧 | がいしを油に浸けて本体を貫いて絶縁破壊する電圧。壊れたら使えない |
| 機械的強度 | 電線の張力や風圧に耐える力 |
油に浸けるのは、表面での放電を先に起こさせないためです。空気中のままだと、本体を貫く前に表面を伝って放電してしまい、本体の絶縁耐力が測れません。油は空気より絶縁がよいので、表面放電を抑えて本体だけを見られます。
実際のがいしは、フラッシオーバ電圧が油中破壊電圧より低くなるように作られています。事故のときは表面で放電させ、がいし本体は壊さずに済ませるためです。表面の放電なら、電圧が下がれば元に戻ります。
選択肢4のフラッシオーバ電圧は、乾燥時と注水時の2つで測ります。雨に濡れると表面を電気が通りやすくなるので、注水時のほうが低い値になります。海岸近くでは塩分の付着も効くので、ひだの深いがいしを使います。
制限電圧は何の性能を表すか。
避雷器です。雷サージを逃がしているあいだ、端子間に残る電圧のことで、低いほど後ろの機器を守れます。
油中破壊電圧をなぜ油の中で測るのか。
空気中だと本体を貫く前に表面を伝って放電してしまい、本体の絶縁耐力が測れないためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月