令和6年度(前期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.10は、三相誘導電動機の始動法として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、三相と単相で始動の悩みが違うことを分かっているかを問うものです。三相ははじめから回転磁界ができるので、始動法は電流を抑えるための工夫です。
分相始動法は、回転磁界を作れない単相のための方法です。
正解:選択肢1(分相始動法)
| 選択肢 | 始動法 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 分相始動法 | 単相誘導電動機の始動法。不適当 |
| 2 | 全電圧始動法 | 小容量機で使う。適当 |
| 3 | リアクトル始動法 | 電圧を下げて始動する。適当 |
| 4 | スターデルタ始動法 | 中容量機の定番。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、分相始動法も実在する始動法で、名前だけでは間違いに見えないところです。どの電動機のための方法かで分かれます。
| 電動機 | 始動の悩み | 始動法 |
|---|---|---|
| 三相 | 始動電流が大きい | 全電圧、スターデルタ、リアクトル、始動補償器、二次抵抗 |
| 単相 | そのままでは回り出さない | 分相、コンデンサ、くま取りコイル、反発 |
三相は3つの巻線に位相の120度ずれた電流が流れるので、電源をつないだ瞬間から回転磁界ができます。回り出すこと自体には困りません。困るのは、始動電流が定格の6〜7倍にもなることです。だから電圧を下げて始動する方法が並びます。
単相は巻線が1つなので、そのままでは磁界が行ったり来たりするだけで回転しません。分相始動法は、主巻線とは別に抵抗の大きい補助巻線を置き、2つの巻線に位相のずれた電流を流して疑似的に回転磁界を作る方法です。回り出したら遠心力スイッチで補助巻線を切り離します。
三相の始動法を電圧の下げ方で並べると、こうなります。
| 始動法 | 始動電流 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 全電圧(直入れ) | 定格の6〜7倍 | おおむね5.5kW程度までの小容量機 |
| スターデルタ | 直入れの1/3 | 中容量機。トルクも1/3になる |
| リアクトル | 下げられる | 始動電流を段階的に調整したいとき |
| 始動補償器 | 下げられる | 単巻変圧器で電圧を下げる。大容量機 |
スターデルタ始動は、始動時にY結線にして各巻線にかかる電圧を1/√3にします。電流は1/3になりますが、トルクも1/3に落ちるので、重い負荷を付けたままでは回り出せません。
分相始動法はどの電動機のための方法か。
単相誘導電動機です。補助巻線で位相をずらし、疑似的に回転磁界を作ります。
スターデルタ始動で始動電流とトルクはどうなるか。
どちらも直入れの1/3になります。トルクも落ちるので、重い負荷では回り出せません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月