令和6年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.16は、架空送電線により通信線に発生する電磁誘導障害の軽減対策として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、電磁誘導が何によって起きるかを分かっているかを問うものです。誘導の強さは送電線に流れる電流の大きさで決まります。
電流が大きくなる方向の対策は、逆効果になります。
正解:選択肢4(接地抵抗値を小さくする)
> この論点をやさしく解説:電磁誘導障害とは?発生の仕組みと軽減対策の向きを整理
| 選択肢 | 対策 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 送電線をねん架する | 3相の位置を入れ替えて磁界を打ち消す。適当 |
| 2 | 高速度で遮断する | 誘導が続く時間を短くする。適当 |
| 3 | 遮へい線を設ける | 磁束を打ち消す電流を流す。適当 |
| 4 | 接地抵抗値を小さくする | 地絡電流が大きくなり誘導が増える。不適当 |
最も不適当なのは選択肢4です。
電磁誘導障害は、送電線に流れる電流がつくる磁界が、近くの通信線に電圧を誘導することで起きます。
ふだんは3相の電流が打ち消し合うのでほとんど問題になりませんが、1線地絡が起きると打ち消しが崩れて大きな零相電流が流れます。これが通信線に高い電圧を誘導し、通信機器を壊したり人を感電させたりします。
ここで、中性点の接地抵抗を小さくすると地絡電流は大きくなります。地絡したときに流れる電流は、大まかには「電圧 ÷ 接地抵抗」で決まるためです。
接地抵抗を小さく → 地絡電流が大きく → 誘導電圧が大きくなる
接地抵抗を大きく → 地絡電流が小さく → 誘導電圧が小さくなる
誘導障害を減らしたいなら、接地抵抗は大きくするのが正しい方向です。選択肢4はこれを逆に書いています。
ほかの3つは、それぞれ別の切り口から誘導を減らします。
| 対策 | 仕組み |
|---|---|
| ねん架 | 3相の電線の位置を区間ごとに入れ替え、通信線から見た距離を平均化する。3相の磁界が打ち消し合いやすくなる |
| 高速度遮断 | 誘導電圧の大きさは変えられないが、かかる時間を短くできる |
| 遮へい線 | 送電線と通信線の間に接地した電線を張る。そこに誘導電流が流れ、その磁束が元の磁束を打ち消す |
このほか、送電線と通信線を離す、通信線に遮へいケーブルを使うといった対策もあります。
選択肢4を見抜くコツは、「接地抵抗を小さくする」という言葉が別の文脈では正しい対策になることを知っておくことです。感電防止や機器の保護では接地抵抗を小さくします。しかし誘導障害では逆になります。何を目的とした話かで、同じ操作の良し悪しが変わります。
電磁誘導障害が特に問題になるのはどんなときか。
1線地絡が起きて3相の打ち消しが崩れ、大きな零相電流が流れたときです。
遮へい線はどう働くか。
送電線と通信線の間に張った接地線に誘導電流が流れ、その磁束が元の磁束を打ち消します。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月