令和5年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.14は、変電所に設置する油入変圧器の内部異常を検出するための継電器として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、継電器が「変圧器の中」を見ているか「線路の状態」を見ているかの区別を問うものです。引っかけの核心は、変圧器の保護に使う継電器をひとまとめに並べ、その中に内部を見ていないものを1つ混ぜている点にあります。
過電圧継電器は電圧の高さを見ているだけで、変圧器の中で何が起きているかは分かりません。
正解:選択肢2
> この論点をやさしく解説:保護継電方式とは?距離・過電流・差動継電器が何を測るかの違いを整理
| 選択肢 | 継電器 | 正誤 | 何を見ているか |
|---|---|---|---|
| 1 | 比率差動継電器 | 適当 | 入る電流と出る電流の差。中で漏れていれば差が出る |
| 2 | 過電圧継電器 | 不適当 | 電圧が高くなりすぎていないか。中の様子は分からない |
| 3 | 衝撃圧力継電器 | 適当 | タンク内の急な圧力上昇。アークでガスが出れば動く |
| 4 | 過電流継電器 | 適当 | 電流の大きさ。内部短絡でも電流は跳ね上がる |
最も不適当なのは選択肢2です。
油入変圧器の中で起こる異常は、巻線の短絡・地絡と、そこで生じるアークです。この2つが外にどう現れるかを追うと、どの継電器が使えるか決まります。
内部異常が外から見える形
巻線が短絡・地絡する
↓
① 入る電流と出る電流がつり合わなくなる → 比率差動継電器
② 電流そのものが大きくなる → 過電流継電器
③ 絶縁油がアークで分解してガスが出て圧力が上がる → 衝撃圧力継電器
どれも「中で起きたこと」が外に出た信号を捕まえています。一方、電圧は系統の側の都合で決まるので、変圧器の中が壊れても電圧が上がるとはかぎりません。
過電圧継電器が使われるのは、発電機の電圧上昇や、系統の異常な電圧上昇から機器を守る場面です。変圧器の内部異常の検出とは目的が違います。
| 分け方 | 継電器 |
|---|---|
| 電気で内部を見る | 比率差動継電器、過電流継電器 |
| 機械で内部を見る | 衝撃圧力継電器、ブッフホルツ継電器 |
| 内部を見ていない | 過電圧継電器、不足電圧継電器 |
比率差動継電器に「比率」が付くのは、変圧器では一次と二次で電流の大きさがそもそも違うからです。単純な差では、正常でも動いてしまいます。
「比率」が付く理由
変圧器は一次と二次で電圧も電流も違う
↓
変流器で換算しても、励磁突入電流などでズレが残る
↓
通過電流が大きいときほど動作させにくくする
↓
外部事故での誤動作を防ぎつつ、内部事故で確実に動く
衝撃圧力継電器は何を検出しているか。
タンク内の急な圧力上昇です。内部でアークが起こると絶縁油が分解してガスが発生し、圧力が跳ね上がります。
過電圧継電器が油入変圧器の内部異常検出に向かないのはなぜか。
電圧は系統の側の状態で決まるためです。変圧器の内部で短絡や地絡が起きても電圧が上がるとはかぎらず、中の異常が電圧に現れません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月