令和5年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.13は、水力発電所に用いられる水車発電機に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。発電機は同期発電機とされています。
この問題は、回転子の形が回転速度で決まることを分かっているかを問うものです。引っかけの核心は、タービン発電機の形を水車発電機に付けている点にあります。
水車発電機は突極形です。
正解:選択肢4
> この論点をやさしく解説:水車発電機とは?タービン発電機との違いと回転子が突極形になる理由
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 適当 | 回転速度はタービン発電機より遅い |
| 2 | 適当 | 短絡比はタービン発電機より大きい |
| 3 | 適当 | 立軸形はスラスト軸受で軸方向の荷重を支える |
| 4 | 不適当 | 軸方向に長い円筒形はタービン発電機。水車発電機は突極形 |
最も不適当なのは選択肢4です。
回転子の形は、回転速度から決まります。順にたどると理由が分かります。
水車発電機が突極形になるまで
水車はゆっくり回る(毎分数百回転)
↓
同じ周波数を出すには極数を多くする必要がある(N=120f÷p)
↓
多くの磁極を並べるには直径を大きくする
↓
直径が大きく軸方向に短い突極形になる
タービン発電機は逆です。高速で回るので極数が少なく、細長い形になります。
| 項目 | 水車発電機 | タービン発電機 |
|---|---|---|
| 回転速度 | 遅い | 速い |
| 極数 | 多い | 少ない(2極・4極) |
| 回転子の形 | 突極形 (直径が大きく短い) |
円筒形 (軸方向に長い) |
| 短絡比 | 大きい | 小さい |
| 据付け | 立軸形が多い | 横軸形 |
タービン発電機が細長いのは、高速回転の遠心力に耐えるためでもあります。直径が大きいと遠心力で壊れます。
選択肢3のスラスト軸受は、立軸形ならではの部品です。
スラスト軸受が要る理由
立軸形は軸が縦を向いている
↓
回転子と水車の重さが軸方向にかかる
↓
これを下から支えるのがスラスト軸受
横軸形なら重さは軸に直角にかかるので、ふつうの軸受で受けられます。立軸形だけ特別な軸受が要ります。
水力発電所で立軸形が多いのは、水の流れを縦に落とす構造と合うからです。据付面積も小さくて済みます。
水車発電機が突極形になるのはなぜか。
回転が遅いので、同じ周波数を出すには極数を多くする必要があるからです。多くの磁極を並べるため直径が大きく軸方向に短い形になります。
スラスト軸受は何を支えているか。
立軸形で軸方向にかかる荷重、つまり回転子と水車の重さです。軸が縦を向いているため必要になります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月