令和4年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.9は、1線地絡時の健全相の電圧上昇が最も小さい中性点接地方式を選ぶ問題です。
この問題は、中性点と大地の間に何を入れるかで電圧上昇が決まることを分かっているかを問うものです。何も入れずに直結する方式がいちばん上がりません。
4つの選択肢は、間に入れるものが重いほうから軽いほうへ並べ替えられます。
正解:選択肢2(直接接地方式)
> この論点をやさしく解説:中性点接地方式とは?直接接地・抵抗接地・非接地の違いを整理
| 選択肢 | 方式 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 非接地方式 | つながない。電圧上昇は最も大きい |
| 2 | 直接接地方式 | 大地に直結。電圧上昇が最も小さい |
| 3 | 抵抗接地方式 | 抵抗を入れる。両者の中間 |
| 4 | 消弧リアクトル接地方式 | リアクトルで地絡電流を打ち消す。電圧上昇は大きい |
正しいのは選択肢2です。
1線地絡とは、三相のうち1本が大地につながってしまう事故です。このとき残り2本(健全相)の対地電圧がどこまで上がるかが問題になります。
中性点が大地に直結されていれば、地絡しても中性点の電位は0のまま動きません。健全相の対地電圧も普段のまま、ほとんど上がりません。これが直接接地方式です。
反対に中性点をどこにもつながないと、地絡した相の電位に引きずられて中性点が動きます。健全相の対地電圧は相電圧の√3倍、つまり線間電圧まで上がります。これが非接地方式です。
4つを電圧上昇の小さい順に並べるとこうなります。
健全相の電圧上昇(小さい ← → 大きい)
直接接地 < 抵抗接地 < 消弧リアクトル接地 ≦ 非接地
中性点と大地の間に入れるものが通しにくいものになるほど、電位が動きやすくなるという並びです。
ただし、地絡電流の大きさは逆の並びになります。
地絡電流(大きい ← → 小さい)
直接接地 > 抵抗接地 > 消弧リアクトル接地 > 非接地
直接接地は電圧上昇が小さいかわりに、地絡電流が大きく流れます。機器の絶縁を軽くできる反面、遮断器の負担が重く、通信線への誘導障害も大きくなります。187kV以上の超高圧系統で使われるのはこのためです。
ほかの3つを見ておきます。
選択肢1の非接地方式は6.6kVの高圧配電線に使われています。地絡電流が小さいので1線地絡しても送電を続けやすいのが利点です。そのかわり健全相の電圧が上がるので、機器の絶縁を厚くしておく必要があります。
選択肢3の抵抗接地方式は、中性点と大地の間に抵抗を入れます。地絡電流を適度に抑えつつ、電圧上昇も抑えるという中間の性質です。22kV〜154kVの系統で使われます。
選択肢4の消弧リアクトル接地方式は、リアクトルを入れて線路の静電容量による地絡電流を打ち消します。地絡電流をほぼ0にできるのでアークが自然に消えますが、電圧上昇は非接地に近くなります。
非接地方式で1線地絡したとき、健全相の対地電圧はどこまで上がるか。
相電圧の√3倍、つまり線間電圧まで上がります。中性点が地絡相の電位に引きずられて動くためです。
直接接地方式の短所は。
地絡電流が大きくなることです。遮断器の負担が重くなり、通信線への誘導障害も大きくなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月