令和4年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.10は、架空送電線に発生するコロナ放電に関する記述として不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、多導体がコロナ放電の対策であることを分かっているかを問うものです。起きやすくなるのではなく、起きにくくするために使います。
ほかの3つは、コロナ放電の害と起きやすい条件です。
正解:選択肢3
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 適当 | コロナ損が生じるので送電効率が下がる |
| 2 | 適当 | 高周波の雑音が出てラジオ受信障害になる |
| 3 | 不適当 | 多導体はコロナを抑えるための工法 |
| 4 | 適当 | 雨天時は水滴が突起になって起きやすい |
不適当なのは選択肢3です。
コロナ放電は、電線のまわりの電界が強くなりすぎて、空気の絶縁が部分的に破れる現象です。青白く光り、ジージーという音がします。
起きるかどうかは電線の表面の電界の強さで決まります。同じ電圧でも、電線が細いほど表面に電界が集中して強くなります。
多導体は、1相を数本の細い電線に分けて少し離して吊る工法です。これで見かけ上の電線の太さが増え、表面の電界が弱まります。
つまり多導体はコロナ放電を起こしにくくするための工法です。問題文は「多導体の方が発生しやすい」として、対策と原因を入れ替えています。
多導体には、コロナを抑えるほかにも利点があります。
| 多導体の効果 | 中身 |
|---|---|
| コロナ放電の抑制 | 見かけの太さが増え、表面の電界が下がる |
| インダクタンスの減少 | 送電容量が増える |
| 静電容量の増加 | 同上(フェランチ効果には注意) |
ほかの3つを見ておきます。
選択肢1は送電効率です。コロナ放電が起きるとその分のエネルギーが失われます。これをコロナ損といい、送った電力のうち届く割合が減ります。
選択肢2は電波障害です。放電は連続ではなくパルス状に起きるので、広い周波数の雑音が出ます。近くのラジオやテレビの受信に影響します。
選択肢4は天候です。雨のとき電線に付いた水滴が下向きの突起になり、そこに電界が集中します。晴天時より雨天時のほうが低い電圧でコロナが始まります。霧や雪でも同じです。
この選択肢4と正解の選択肢3は、実は同じ理屈です。表面が尖ると起きやすく、太く滑らかにすると起きにくい。水滴は尖らせる方向、多導体は太くする方向に働きます。
多導体を使うとコロナ放電が減るのはなぜか。
1相を数本に分けることで見かけ上の電線が太くなり、表面の電界が弱まるからです。コロナが始まる電圧が高くなります。
雨天時にコロナ放電が起きやすいのはなぜか。
電線に付いた水滴が突起となり、そこに電界が集中するからです。晴天時より低い電圧でコロナが始まります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月