令和4年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.15は、送電線の過電流継電器(OCR)に関する記述として最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、過電流継電器が電流の大きさだけを見ることを分かっているかを問うものです。どちら向きに流れているかは判別できません。
方向まで見るには、電圧を基準として位相を比べる必要があります。
正解:選択肢4
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| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 適当 | 入力電流が整定値以上で動作する |
| 2 | 適当 | 系統が複雑になると時限整定が難しくなる |
| 3 | 適当 | 短絡保護や過負荷保護に用いられる |
| 4 | 不適当 | 方向を判別するのは方向継電器 |
不適当なのは選択肢4です。
過電流継電器は、変流器(CT)から入ってくる電流の大きさだけを見て、決めた値を超えたら動作します。入力は電流1つです。
電流の向きを知るには、基準になる別の量が要ります。交流は行ったり来たりしているので、電流だけを見ても「どちら向きか」は決まりません。計器用変圧器(VT)から電圧を取り込み、電流との位相差を比べて初めて方向が分かります。
この機能を持つのが方向継電器で、過電流と組み合わせたものを方向過電流継電器(DOCR)といいます。名前に「方向」が付いているかどうかが分かれ目です。
| 継電器 | 入力 | 見るもの |
|---|---|---|
| 過電流継電器(OCR) | 電流だけ | 大きさが整定値を超えたか |
| 方向過電流継電器(DOCR) | 電流+電圧 | 大きさと、流れている向き |
| 地絡方向継電器(DGR) | 零相電流+零相電圧 | 地絡電流の大きさと向き |
方向を見る必要があるのは、両側から電気が入ってくる系統です。自分の受電設備の外で起きた事故に反応して切ってしまうことを防ぐために使います。高圧受電設備の地絡保護でDGRが使われるのも同じ理由です。
ほかの3つを見ておきます。
選択肢1は動作の条件です。あらかじめ決めた値を整定値といい、これを超えると動作します。
選択肢2は時限整定の難しさです。事故が起きたとき、事故点に最も近い遮断器だけを切りたいので、電源に近いものほど動作を遅らせます。これを時限協調といいます。
ところが系統が枝分かれして複雑になると、どこが上流か決めにくくなります。段数が増えると電源側の動作時間が長くなりすぎるという問題も出ます。ここが過電流継電器だけで組む保護の限界です。
選択肢3は用途です。短絡すると大きな電流が流れ、過負荷でも定格を超える電流が流れます。どちらも電流が増える現象なので、過電流継電器で捉えられます。
過電流継電器で電流の方向が分からないのはなぜか。
入力が電流だけだからです。向きを決めるには電圧という基準を取り込み、電流との位相差を比べる必要があります。
時限整定(時限協調)とは何か。
事故点に最も近い遮断器だけが動作するよう、電源に近い継電器ほど動作時間を長くすることです。系統が複雑になると設定が難しくなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月