令和7年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.17は、電力系統の安定度を向上させるための対策に関する問題です。この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
この問題は、安定度の基本(送電できる電力を決めるもの・電圧とリアクタンスの効き方)を問うものです。なかでも引っかけの核心はリアクタンスを大きくするか小さくするかで、選択肢3だけが他と逆を向いていることに気づけるかが分かれ目になります。
※ 問題文そのものは、建設業振興基金が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢3(最も不適当な記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 並列回線を増やすと合成リアクタンスが下がり、送電できる電力が増える |
| 2 | ○(正しい) | 中間開閉所を置くと、事故時に切り離す区間を短くでき安定度が保たれる |
| 3 | ×(誤り) | 採用するのは低リアクタンスの変圧器。高リアクタンスは安定度を下げる |
| 4 | ○(正しい) | 系統電圧を高めると、同じ設備でも送電できる電力が増える |
選択肢3の「高リアクタンスの変圧器を採用する」という記述が誤りで、安定度を上げるにはリアクタンスの小さい変圧器を選びます。
この問題は、送電できる電力の式を1つ思い出すと4肢がまとめて片づきます。送電端と受電端をつないだとき、送れる電力は送電端電圧と受電端電圧の積を、間のリアクタンスで割った値に比例します。
この形を見れば、増やす手は2つしかありません。電圧を高くするか、リアクタンスを小さくするかです。選択肢1の並列回線を増やす、選択肢4の系統電圧を高めるは、どちらもこの向きに沿っています。選択肢2の中間開閉所も、事故のときに切り離す区間を短くして系統をつなぎ止める対策です。
選択肢3だけが逆を向いています。リアクタンスを大きくすると送れる電力は減り、系統は事故のときに脱調しやすくなります。安定度を上げたいなら選ぶのは低リアクタンスの変圧器です。
電力系統の安定度を上げるために、変圧器のリアクタンスはどうするか。
小さくします。送電できる電力は電圧の積をリアクタンスで割った値に比例するため、リアクタンスが小さいほど余裕が増えます。高リアクタンスの変圧器は逆向きの対策です。
送電線の並列回線数を増やすと、安定度はなぜ良くなるか。
回線を並列にすると合成リアクタンスが下がるためです。リアクタンスが下がれば送電できる電力が増え、系統の余裕が大きくなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月