令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.57は、請負契約における現場代理人に関する記述として、「公共工事標準請負契約約款」上、誤っているものを選ぶ問題です。
この問題は、現場代理人にどこまで任されているかを分かっているかを問うものです。現場の運営はできますが、お金と契約そのものには手を出せません。
約款に、行使できないものとして列挙されています。
正解:選択肢2(代金の変更・請求・受領・解除の権限を行使できる)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 定めて設置し、氏名等を発注者に通知 | 通知が要る。正しい |
| 2 | 代金の変更・請求・受領・解除の権限を行使 | 行使できない。誤り |
| 3 | 監理技術者等および専門技術者と兼ねられる | 兼務できる。正しい |
| 4 | 著しく不適当なら措置を請求できる | 発注者から受注者へ。正しい |
誤っているのは選択肢2です。
引っかけの核心は、前半の「工事現場に常駐し、その運営、取締りを行う」が条文どおり正しいので、後半まで正しく読めてしまうところです。約款はこの後半を「行使できない」と定めています。
現場代理人が行使できない権限は、次の4つです。
| 行使できない権限 | 内容 |
|---|---|
| 請負代金額の変更 | 金額を決め直すこと |
| 請負代金の請求・受領 | お金を請求し、受け取ること |
| 契約の解除 | 契約そのものをやめること |
| 現場代理人の専任解除の請求 | 自分の立場に関わる請求 |
共通するのは、会社としての意思決定に当たることです。現場代理人は現場を任された立場であって、会社を代表して契約を動かす立場ではありません。
この論点は平成27年度 1級 No.58で確定しています。そちらの選択肢4は「現場代理人は、契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを行うほか、請負代金額の変更に係る権限を行使することができる」で、公表正答も4でした。
令和5年度の選択肢2とほぼ同じ文が、別の年度でも同じく誤りと判定されています。
選択肢1の通知は、現場代理人を置いたときの手続きです。
| 相手 | 求められること | 根拠 |
|---|---|---|
| 発注者(注文者) | 書面で通知 | 承諾を得るのではなく、知らせる |
建設業法でも、現場代理人を置くときは注文者に書面で通知すると定められています。承諾を得る必要はありません。
選択肢3の兼務は、認められています。現場代理人は契約上の立場、監理技術者は技術上の立場で、役割が違うだけで同じ人が務めても差し支えありません。実際の現場でも兼ねている例が多くあります。
選択肢4は、発注者の側の権利です。現場代理人の仕事ぶりが著しく不適当なら、理由を書面で示したうえで、受注者に必要な措置を求められます。
この条項は逆向きにも用意されていて、監督員が著しく不適当な場合は受注者から発注者へ請求できます。どちらの立場でも同じ形の請求ができるという対の関係です。
現場代理人が行使できない権限を挙げよ。
請負代金額の変更、請負代金の請求および受領、契約の解除に係る権限などです。会社としての意思決定に当たるものが除かれています。
現場代理人と監理技術者は兼ねられるか。
兼ねられます。現場代理人は契約上の立場、監理技術者は技術上の立場で役割が違うだけです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月