令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.23は、送配電系統におけるフェランチ現象に関する記述として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、静電容量がどちらで大きいかを分かっているかを問うものです。地中電線路のケーブルは、架空電線路より静電容量がはるかに大きくなります。
だから地中のほうが起きやすくなります。
正解:選択肢3(架空電線路のほうが発生しやすいとした記述)
> この論点をやさしく解説:配電系統の電圧調整とは?電圧を上げる機器と下げる機器の使い分け
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 静電容量が大きいほど発生しやすい | 適当。原因そのもの |
| 2 | 深夜などの軽負荷時に発生しやすい | 適当。誘導性の負荷が減る |
| 3 | 架空電線路のほうが発生しやすい | 不適当。地中電線路のほうが発生しやすい |
| 4 | 進み力率の負荷が多いと発生しやすい | 適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、架空送電線のほうが長距離で高電圧なので、こちらが起きやすいと感じるところです。効くのは長さでも電圧でもなく単位長さ当たりの静電容量です。
ケーブルは導体のすぐ外側を絶縁体が包み、その外を金属シースが囲む構造です。導体と大地に相当するシースが極めて近いので、コンデンサとしての容量が大きくなります。
| 電線路 | 導体と大地の距離 | 静電容量 |
|---|---|---|
| 架空電線路 | 数十メートル(空気) | 小さい |
| 地中電線路(ケーブル) | 数ミリメートル(絶縁体) | 大きい |
この論点は繰り返されていて、壊す場所が3か所を回ります。
| 出題 | 公表正答 | 壊した場所 |
|---|---|---|
| 平成26年度 1級 No.23 | 4 | 「遅れ力率の負荷が多いと発生しやすい」 |
| 平成29年度 1級 No.23 | 3 | 「地中よりも架空のほうが発生しやすい」 |
| 令和2年度 1級 No.23 | 1 | 空欄補充。答えは「長い・地中ケーブル」 |
| 令和7年度 1級 No.21 | 4 | 「遅れ力率の負荷が多いと発生しやすい」 |
| 令和4年度 1級 No.23 | 3 | 「地中よりも架空のほうが発生しやすい」 |
5年度を並べると、動かない事実は地中ケーブルのほうが起きやすい・進み力率で起きやすい・こう長が長いほど著しいの3つです。平成29年度の誤り肢は令和4年度と一字一句同じでした。
フェランチ現象は受電端の電圧が送電端より高くなる現象です。線路の静電容量に流れる進相電流が、線路のリアクタンスで電圧を押し上げます。
選択肢2の軽負荷時に起きやすいのは、誘導性の負荷が減って進み分が相対的に大きくなるためです。深夜のケーブル系統がいちばん条件がそろいます。
対策は分路リアクトルを接続することです。平成26年度と令和7年度の問題にも、この対策が正しい肢として置かれています。
フェランチ現象は架空電線路と地中電線路のどちらで起きやすいか。
地中電線路です。ケーブルは導体と金属シースが近く、静電容量が大きいためです。
フェランチ現象を抑制するには何を接続するか。
分路リアクトルです。線路の静電容量による進相電流を打ち消します。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月