ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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トンネルの掘削方式とは?地山が良ければ全断面、悪くなるほどベンチカット・導坑先進へ

けんせつる

けんせつる

全断面工法って、軟弱な地山で使うの?

掘削方式って、どう選ぶの?

この記事の要点

トンネルの掘削方式は、全断面工法・ベンチカット工法・導坑先進工法に分かれます。

地山の良否で使い分けます。発破掘削・機械掘削の違いと、過去問での問われ方を年度別に押さえます。

トンネルでは、地山の状態に合わせて断面の掘り方(掘削方式)を選びます。どの方式をどんな地山で使うかが、試験でよく問われます。

トンネルの掘削方式は、全断面工法・ベンチカット工法・導坑先進工法に分かれ、地山の良否で使い分けます。

掘削方式の種類

トンネルの山岳工法では、断面をどう分けて掘るかで、大きく次のように分かれます。

トンネルの掘削方式(全断面・ベンチカット・導坑先進)の分類ツリー 掘削方式 全断面工法 安定した地山 ベンチカット工法 上半・下半に分割 導坑先進工法 先に小さい坑道
トンネルの掘削方式。地山が安定しているほど、一度に大きく掘れる方式を選べます。

全断面工法

全断面工法は、トンネルの全断面を一度に掘る方式です。小断面のトンネルや、地質が安定した地山で採用されます。一度に全部掘るため、施工途中での地山の変化に対する順応性は低い方式です。

ベンチカット工法

ベンチカット工法は、断面を上半断面と下半断面に分けて掘り進める方式です。全断面では切羽(掘っている最前面)が安定しない場合に有効で、地山の良否に応じてベンチの長さを決めます。ベンチの長さは地山が悪いほど短くします。上半を掘ってから下半を掘るまでの距離が短いほど、早く断面を閉じて安定させられるためです。

導坑先進工法

導坑先進工法は、先に小さな坑道(導坑)を掘ってから、断面を広げていく方式です。側壁導坑先進工法は、側壁脚部の支持力が不足する場合や、土被りが小さい土砂地山で地表面の沈下を抑えたい場合などに用います。

3つは「一度にどれだけ開けるか」の順に並んでいる

3つの方式は別々のものではなく、1本の物差しの上に並んでいます。物差しの軸は一度に開ける穴の大きさです。

方式一度に開ける大きさ地山能率
全断面工法全部安定しているいちばん良い
ベンチカット工法上半/下半に2分割やや不安定中くらい
導坑先進工法小さな坑道から少しずつ悪い・土被りが小さいいちばん悪い

掘った瞬間、切羽は支えのない面になります。この面が大きいほど崩れやすく、小さいほど自分で立っていられます。地山が悪いほど、開ける面を小さく刻む——これが3方式の関係です。

だから能率と安全は逆を向きます。全断面は速いが、崩れやすい地山では使えません。導坑先進は手間がかかるが、悪い地山でも掘り進められます。どれが優れているかではなく、地山が方式を決めます

全断面工法は「順応性が低い」

全断面工法の弱点として、施工途中での地山の変化に対する順応性が低いと書かれています。これは能率の裏返しです。

全断面は、掘削機械も支保工もその断面いっぱいに合わせて用意します。掘り進んだ先で地山が悪くなったとき、断面を分けて掘る方式へ切り替えるには、機械の入れ替えから段取り直しになります。ベンチカットならベンチの長さを変えるだけで対応の幅がありますが、全断面には刻む余地がありません。

速いかわりに融通が利かない——だから、あらかじめ地質が安定していると分かっている区間や、もともと断面の小さいトンネルで選ばれます。

掘削の方法

掘る手段にも種類があります。発破掘削は、地山が岩質の場合などに用い、切羽の中心の一部を先に爆破して、新しい自由面を次の爆破に利用します。火薬を扱うため、火薬類取締法のルールに従います。機械掘削は、発破に比べて地山を緩めることや余掘りが少なく、騒音や振動の規制を受ける場所でも使いやすい方法です。

混同しやすい用語

全断面工法 と ベンチカット工法

どちらも掘削方式ですが、向いている地山が違います。全断面工法は、断面を一度に掘るため、地質が安定した地山に向きます。ベンチカット工法は、断面を上半・下半に分けるため、全断面では切羽が安定しない地山でも掘り進められます。安定した地山なら全断面、不安定なら分割、と分けて覚えます。

過去問でどう問われたか

トンネルの掘削方式は、平成25年度から令和7年度まで、2級・1級でほぼ毎年問われています。引っかけは、全断面工法の地山適性と、ベンチカット工法の掘り方です。

  • ①全断面工法の地山適性(安定した地山向きを、軟弱な地山向き・順応性が高いとする)
  • ②ベンチカット工法の掘り方(上半・下半に分けるのを、全断面を一度に掘るとする)
年度・級・No.問われ方/引っかけ
令和7年度(後期) 2級 No.29ベンチカット工法を「全断面を一度に掘削する工法」とするのは誤り(上半・下半に分けて掘る)
令和6年度(後期) 2級 No.29機械掘削を「余掘りが多い」とするのは誤り(機械掘削は余掘りが少ない。余掘りが多いのは発破掘削)
令和3年度 2級 No.24ベンチカット工法を「全断面を一度に掘削する方法」とするのは誤り(上半・下半に分け段階的に掘る)
令和2年度 1級 No.35全断面工法を「地山条件の変化に対する順応性が高い」とするのは誤り(順応性は低い)
平成25年度 2級 No.24全断面工法を「軟弱な地山に用いられる」とするのは誤り(地質が安定した良好な地山に用いる)

核心は全断面工法の地山適性です。全断面工法を「軟弱な地山に用いる」「地山変化への順応性が高い」、ベンチカット工法を「全断面を一度に掘削する」とする記述は誤りです。全断面工法は地質が安定した良好な地山向きで順応性は低く、ベンチカット工法は上半・下半に分けて掘ります。

「安定した地山なら全断面、不安定なら分割(ベンチカット・導坑先進)」と、地山の良否で使い分けると押さえやすくなります。

理解度チェック

問題:全断面工法は、トンネルの全断面を一度に掘る方式で、地質が安定した地山で採用される。

〇か×か。

答え:

全断面工法は一度に全部掘るため、地質が安定した地山に向きます。軟弱な地山には不向きです(平成25年度 2級 No.24)。

問題:ベンチカット工法は、トンネルの全断面を一度に掘削する方式である。

〇か×か。

答え:×

全断面を一度に掘るのは全断面工法です。ベンチカット工法は上半・下半に分けて掘り進めます(令和7年度 2級 No.29・令和3年度 2級 No.24)。

問題:機械掘削は、発破掘削に比べて地山を緩めることや余掘りが多い。

〇か×か。

答え:×

機械掘削は、発破掘削に比べて地山を緩めることや余掘りが少なく、騒音や振動も抑えられます(令和6年度 2級 No.29)。

まとめ

トンネルの掘削方式は、全断面工法・ベンチカット工法・導坑先進工法に分かれます。

安定した地山は全断面、不安定なら分割(ベンチカット・導坑先進)と、地山の良否で使い分けるのが要点です。

全断面工法の地山適性と、ベンチカット工法を全断面と取り違える誤りが、過去問でよく問われます。

参考資料

  • 国土交通省「トンネル標準示方書(山岳工法)」
  • 土木学会「トンネル工事」関連資料
  • 過去問の問われ方は、全国建設研修センター公表の試験問題(平成25年度〜令和7年度)にもとづきます(問題文は転載せず論点のみ記載)。

※ 工法・掘削方式は標準的な内容です。基準の改定や現場条件で変わるため、最新の資料で確認してください。

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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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