ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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火薬類取締法とは?鉄類を表さない理由と、見張人「常時」・事故届の相手を整理

けんせつる

けんせつる

なんで床に鉄を使っちゃだめなの?

見張人って、必要なときだけでいいの?

この記事の要点

火薬類取締法とは、火薬類を安全に扱うための法律のことです。試験では火工所火薬類取扱所での扱いが問われます。

  • 鉄類を表さない……火工所の床面も、消費場所の容器の内面も。摩擦や衝撃で火花が出るため。
  • 見張人は常時配置……火工所に火薬類を存置する間。「必要に応じて」は誤り。
  • 固化したダイナマイトはもみほぐす……「もみほぐしてはならない」は誤り。
  • 喪失・盗取の届出先は警察官又は海上保安官……「都道府県知事」は誤り。

まず、この法律が何を防ごうとしているのかを押さえます。そこから条文の理由が見えます。

火薬類取締法が防ごうとしているもの

火薬類の事故は、大きく2つの原因で起きます。

  • 意図しない発火……摩擦・衝撃・静電気・火気。
  • 盗難・第三者の立入り……管理が甘いと持ち出される。

条文はこの2つを防ぐために書かれています。火花を出さないための決まりと、人を離さない・記録を残すための決まり。出題される内容も、たいていこのどちらかです。

トンネル掘削などで発破を行う工事では、火薬類取扱所(帳簿を備えて受払いを管理する場所)と火工所(薬包に電気雷管を取り付けるなどの作業を行う場所)が設けられます。この2つで何をするかが問われます。

火薬類取締法の要点(模式図) ①火花を出さない 火工所の床面に鉄類を表さない 容器は木その他の電気不良導体 内面にも鉄類を表さない 鉄=摩擦・衝撃で火花/静電気をためない ②人を離さない・記録を残す 火工所は見張人を常時配置 取扱所は帳簿・責任者 受払い・残数量をその都度記録 盗難・第三者の立入りを防ぐ
火薬類取締法で問われる2つの筋(模式図)。

なぜ鉄類を表さないのか

ここが2年で2回、しかも床面と容器内面の両方で出題された論点です。

理由は単純で、鉄は摩擦や衝撃で火花を発するからです。火薬類を扱う場所でその火花が出れば、発火の原因になります。だから鉄を表面に出しません。

  • 火工所の床面……鉄類を表さないようにする。「床面は鉄類で覆い」は誤りです。火花を発しにくい材料にします。
  • 消費場所で火薬類を収納する容器……木その他電気不良導体で作った丈夫な構造とし、内面に鉄類を表さないものとします。「内面は鉄類を表したものとする」は誤りです。

容器を電気不良導体で作るのは、もう一つ理由があります。静電気をためないためです。金属どうしが触れて火花が出ることも避けます。火花の原因を摩擦・衝撃・静電気の3方向からつぶしている、と考えると条文が覚えやすくなります。

火工所での取扱い(見張人は「常時」)

火工所は、消費場所で薬包に電気雷管を取り付けるなどの作業を行う場所です。火工所以外の場所で、薬包に雷管を取り付ける作業を行ってはいけません

ここに火薬類を置いたまま人が離れると、盗難や第三者の立入りを防げません。だから火薬類を存置する場合には見張人を常時配置します。「必要に応じて配置する」は義務を緩めており誤りです。

火薬類の規定は、常時か随時かで義務の強さが変わります。この言い換えが繰り返し狙われます。「常時」「その都度」といった語を見たら、そこが答えの分かれ目だと考えてください。

そのほか火工所には次の決まりがあります。

  • 建物を設ける場合は適当な換気の措置を講じる。
  • 周囲には適当な柵を設け、火気厳禁等と書いた警戒札を掲示する。
  • 通路・動力線・火薬庫・火気を取り扱う場所・人の出入りする建物等に対して安全で、かつ湿気の少ない場所に設ける。

消費場所で火薬類を取り扱うときは、固化したダイナマイト等はもみほぐします「もみほぐしてはならない」は逆で誤りです。固まったまま装填すると、爆発が伝わらず不発や残留を招くためです。

手続きの相手(知事の許可と事故届)

行為 相手と種類
火薬庫の設置・移転・設備の変更 都道府県知事の許可(法第12条)
火薬類の譲渡・譲受 都道府県知事の許可(法第17条)
火薬類の廃棄 都道府県知事の許可(法第27条)
★火薬類・許可証・運搬証明書の喪失・盗取 警察官又は海上保安官に届け出る(法第46条)

手続きの相手は都道府県知事の許可でそろっていて、事故届だけ相手が変わります喪失・盗取を「都道府県知事に届け出る」とするのが誤りです。盗難は犯罪なので警察へ、という筋で覚えると迷いません。

施工管理での確認ポイント

  • 火工所の床材を確認する:鉄類が表に出ていないか。
  • 容器を確認する:木その他の電気不良導体か。内面に鉄類が出ていないか。
  • 見張人の配置を記録する:火薬類を存置している間、切れ目なく配置されているか。
  • 帳簿を確認する:火薬類取扱所に帳簿と責任者があり、受払い・消費残数量がその都度記録されているか。
  • 固化の有無を確認する:ダイナマイトが固まっていないか。固化していればもみほぐす。

混同しやすい用語

常時 と 必要に応じて

火工所に火薬類を存置する場合、見張人は常時配置します。「必要に応じて配置する」は義務を緩めた誤りです。火薬類の規定は常時か随時かで義務の強さが変わるため、この言い換えが繰り返し狙われます。同じ理由で、帳簿の記録もその都度です。

知事の許可 と 警察官・海上保安官への届出

火薬庫の設置・移転・設備変更、譲渡・譲受、廃棄は都道府県知事の許可です。一方、火薬類・許可証・運搬証明書の喪失・盗取警察官又は海上保安官に届け出ます。手続きは知事、事故は警察、と分けて覚えます。

過去問でどう問われたか

火薬類は2級でほぼ毎年、1級でも出ます。引っかけは3型です。

  • 鉄類の扱いの反転……床面を「鉄類で覆う」、容器内面を「鉄類を表したものとする」。
  • 義務の強さの緩め……見張人を「必要に応じて配置する」。
  • 手続きの相手のすり替え……喪失・盗取を「都道府県知事に届け出る」。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和5年度 2級後期(No.39)火工所の「床面は鉄類で覆い」→ 誤り。鉄類を表さない ←①(正答2)
令和5年度 1級(No.55)容器の「内面は鉄類を表したものとする」→ 誤り。火薬類取扱所を「地下構造」とするのも誤り ←①(正答1)
令和4年度 2級前期(No.39)火工所の見張人を「必要に応じて配置する」→ 誤り。常時配置 ←②(正答3)
令和4年度 2級後期(No.39)固化したダイナマイト等を「もみほぐしてはならない」→ 誤り。もみほぐす(正答2)
令和5年度 2級前期(No.39)喪失・盗取の届出を「都道府県知事」→ 誤り。警察官又は海上保安官(法46条)←③(正答1)

管理人からのコメント

火薬類は条文が細かく見えますが、出題される場所は限られています。鉄類・見張人・もみほぐし・事故届。この4つで5年分がほぼ切れます。

特に鉄類は、令和5年に2級(床面)と1級(容器内面)の両方で出ました。理由が同じ「火花」なので、どちらの形で出ても対応できます。鉄を使わないのは強度の問題ではなく、火花を出さないためです。

もう一つ、「必要に応じて」という言葉が出てきたら疑ってください。火薬類の規定で義務を緩める言い換えは、ほぼ誤り肢です。

理解度チェック

問題:火工所の床面や、火薬類を収納する容器の内面に鉄類を表さないのはなぜか。

鉄は摩擦や衝撃で火花を発し、火薬類の発火の原因になるためです。床面は火花を発しにくい材料にし、容器は木その他電気不良導体で作って内面にも鉄類を表しません。容器を電気不良導体にするのは静電気をためないためでもあります。(令和5年度2級後期 No.39、令和5年度1級 No.55)

問題:火工所に火薬類を存置する場合、見張人はどう配置するか。

常時配置します。火薬類を置いたまま人が離れると、盗難や第三者の立入りを防げないためです。「必要に応じて配置する」は義務を緩めており誤りです。火薬類の規定は常時か随時かで義務の強さが変わるので、この言い換えが繰り返し出題されます。(令和4年度2級前期 No.39)

問題:火薬類や許可証を盗まれたとき、どこへ届け出るか。

警察官又は海上保安官です(法第46条)。火薬庫の設置・移転・設備変更、譲渡・譲受、廃棄はいずれも都道府県知事の許可ですが、事故届だけ相手が変わります。「都道府県知事に届け出る」は誤りです。(令和5年度2級前期 No.39)

まとめ

  • 火薬類取締法は意図しない発火盗難・立入りを防ぐための法律。条文の理由はほぼこの2つ。
  • 鉄類を表さない……火工所の床面も、容器の内面も。摩擦や衝撃で火花が出るため。容器は木その他電気不良導体
  • 見張人は常時配置(火薬類を存置する間)。「必要に応じて」は誤り。
  • 固化したダイナマイト等はもみほぐす。そのまま装填すると不発や残留を招く。
  • 火工所以外の場所で薬包に雷管を取り付けない。周囲に柵と火気厳禁の警戒札、湿気の少ない場所に設ける。
  • 火薬類取扱所は帳簿と責任者を置き、受払い・消費残数量をその都度記録する。地下構造にする定めはない
  • 手続きは都道府県知事の許可(火薬庫の設置12条・譲渡譲受17条・廃棄27条)。喪失・盗取だけ警察官又は海上保安官(46条)。

発破を行うトンネル工事はトンネルの掘削方式、そのほかの許可・届出は法規の記事一覧で確認できます。

参考資料

  • 火薬類取締法・同法施行規則
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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