けんせつる
環境保全の問題、どれも正しく見えて選べない。見分けるコツある?
この記事の要点
環境保全対策とは、工事が現場の周りに与える影響を抑える手立てです。騒音・振動・粉じん・濁水が主な対象になります。
誤り肢はどれも「向きを逆にする」形で作られています。逆になっていないかだけを見ます。
2級では第一次検定のNo.52〜No.57の枠で、令和4年度から4年連続で出題されています。1級は問題BのNo.17前後です。
建設工事は、周りの生活環境に影響を与えます。試験で問われる対象は次の4つです。
| 対象 | 主な発生源 | 基本の対策 |
|---|---|---|
| 騒音・振動 | 建設機械の運転、運搬車両 | 発生源で抑える |
| 粉じん・塵埃 | 盛土箇所、運搬路 | 散水 |
| 濁水 | 切土面、盛土面 | 露出面積を小さくする |
| 地盤沈下・井戸がれ | 掘削、地下水位の低下 | 事前調査と影響の予測 |
この記事は現場での対策を扱います。届出が必要な作業の種類や規制値は騒音規制法・振動規制法の特定建設作業で、廃棄物の扱いは建設副産物で確認できます。
音や振動は、出る・伝わる・届くの順で人に達します。対策もこの3段階に分かれます。
建設工事で中心になるのは発生源対策です。低騒音・低振動の工法や機械を選ぶ、作業の方法や時間を配慮する、機械の運転で無理な負荷をかけない、といった手立てがこれにあたります。
受音点での対策は、受け取る側の建物を防音するといった形で、限定的にとどまります。相手の建物に手を入れる話なので、工事側だけで進められません。
令和7年度2級の誤り肢は、この段階をすり替えて「受音点での対策が広く行われる」としたものでした。
発生源対策の具体は次のとおりです。
「発生期間の短縮」は、令和4年度と令和5年度の2年度で「延伸」と逆にされました。期間を延ばせば影響を受ける時間が長くなります。短くするのが対策です。
伝搬経路での対策としては遮音壁があります。ただし効果は高さ・長さ・音源と受音点の位置関係で変わります。令和6年度1級では、これを「設置長さに関係なく効果がある」とした選択肢が誤りでした。
盛土箇所は、風が吹くと表面の細かい土が舞い上がります。これを塵埃といいます。
盛土箇所の風による塵埃の防止は、散水を原則とする
水をまいて土を湿らせれば、風が当たっても飛びません。発生源そのものを押さえるやり方なので、騒音の考え方と同じ筋です。
令和6年度前期2級では、これを「仮囲いの設置を原則とする」とした選択肢が誤りでした。仮囲いは風下側をさえぎるだけで、舞い上がること自体は止められません。伝わる途中で受け止める対策にあたります。
簡単に言えば、砂ぼこりは囲うより濡らすほうが早い、ということです。
建設工事の濁水は、切土面や盛土面のようにむき出しになった地表面に雨水が当たって発生します。土を含んだ水がそのまま流れ出ると、下流の水域を濁らせます。
だから対策の基本は、濁水が生まれる面を減らすことです。
切土面や盛土面の面積が、できるだけ小さくなるよう計画する
令和7年度1級では、これを「面積が大きくなるよう計画する」と逆にした選択肢が誤りでした。露出面が広いほど濁水の量が増えます。
あわせて行う対策は3つです。
3つとも先手を打つ形になっています。濁水が出てから処理するのではなく、出る前に減らす考え方です。
過去問の誤り肢を並べると、作り方が1つに見えてきます。正しい記述の向きだけを反対にする形です。
| 出題 | 正しい | 出た誤り |
|---|---|---|
| 騒音・振動の段階 | 発生源での対策が広く行われる | 受音点での対策が広く行われる |
| 塵埃の防止 | 散水を原則とする | 仮囲いの設置を原則とする |
| 濁水対策の計画 | 露出面積が小さくなるよう計画 | 露出面積が大きくなるよう計画 |
| 発生期間 | 短縮を検討する | 延伸を検討する |
| 土ぼこりの防止 | 散水やシートで覆う | 散水やシートは効果が低い |
| 運搬経路 | 選定は重要な対策 | 問題とならない |
3つとも、用語や数値は正しいまま、向きだけが反対になっています。読み飛ばすと正しく見えるのはこのためです。
見分け方は決まっています。その対策で本当に減るのかを1つずつ確かめます。露出面を大きくして濁水が減ることはありません。
混同しやすい用語
発生源対策 と 受音点対策
手を入れる場所が違います。発生源対策は音や振動を出す側、つまり建設機械や工法に手を入れます。受音点対策は受け取る側、つまり周辺の建物を防音します。建設工事で広く行われるのは発生源対策で、受音点対策は相手の建物に手を入れる話なので限定的です。この2つのすり替えが誤り肢になります。
散水 と 仮囲い
効く段階が違います。散水は土を湿らせて舞い上がること自体を止めるので、発生源での対策です。仮囲いは飛んだ土を途中でさえぎるもので、伝わる経路での対策にあたります。盛土箇所の風による塵埃の防止で原則とするのは散水です。
環境保全対策は2級のNo.52〜No.57の枠で、令和4年度から4年連続で出ています。1級は問題BのNo.17前後です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方 | 誤りの中身 |
|---|---|---|
| 令和7年度 2級(No.57) | 現場周辺の環境保全対策 | 受音点での対策が広く行われる |
| 令和7年度 1級(B No.17) | 水質汚濁対策 | 露出面積を大きくする計画 |
| 令和6年度 2級前期(No.57) | 環境保全対策 | 塵埃防止に仮囲いを原則 |
| 令和6年度 1級(B No.17) | 環境保全対策 | 遮音壁は設置長さに関係なく効果がある |
| 令和5年度 2級前期(No.52) | 環境保全対策 | 発生期間の延伸/土ぼこりにアスファルト被覆/受音点が基本 |
| 令和5年度 1級(B No.22) | 安全確保及び環境保全の留意事項 | 労働基準監督署の立会いを求める |
| 令和4年度 2級前期(No.52) | 環境保全対策 | 運搬経路は問題とならない/発生期間の延伸/散水やシートは効果が低い |
形式はすべて「適当でないものはどれか」です。正しい記述が3つ並ぶので、逆になっている1つを探します。
問題:建設工事で、受音点での対策が限定的にとどまるのはなぜか。
受音点対策は周辺の建物に手を入れるものだからです。相手の敷地や建物が対象になるため、工事側の判断だけでは進められません。これに対し発生源対策は、使う機械や工法、作業時間という工事側で決められる部分に手を入れます。だから建設工事では発生源対策が広く行われます。
問題:盛土箇所の塵埃防止で、仮囲いより散水が原則とされるのはなぜか。
散水は舞い上がること自体を止めるからです。土を湿らせれば風が当たっても飛びません。仮囲いは飛んだ土を途中でさえぎるだけで、発生そのものは止まりません。騒音でいえば散水が発生源対策、仮囲いが伝搬経路対策にあたります。
問題:濁水処理施設を「工事に先立って」設置するのはなぜか。
濁水は雨が降れば直ちに発生するためです。切土面や盛土面がむき出しになった時点で、次の雨から濁水が出ます。発生してから施設を作るのでは、その間の濁水が処理されないまま流れ出ます。放流先の水域や排水基準も、着工前に調査・予測しておきます。
法規制は騒音・振動の特定建設作業、廃棄物は建設副産物、汚染土は土壌汚染対策、計画全体は施工計画で確認できます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
正しい肢を覚えるより、逆かどうかを見る
この枠の選択肢は、細かい数値がほとんど出てきません。どれも正しそうな一般論に見えます。覚えて対応しようとすると、量が多くて追いつきません。
その対策で本当に減るのか、を1つずつ問えば足ります。露出面を広げて濁水が減ることはなく、囲いで砂ぼこりの発生が止まることもありません。