けんせつる
汚染された土を掘るとき、現場では何をするの?運ぶ途中でゴミを分けたらダメなの?
この記事の要点
土壌汚染対策とは、特定有害物質で汚染された土を掘削・運搬するときに、その汚染を区域の外へ広げないために講じる措置のことです。
汚染が外へ出る道は人・車両・風の3つです。除洗区域で着替え、出口でタイヤと車体を洗い、屋外掘削では飛散防止ネットと散水で押さえます。
そして運搬の過程で岩やコンクリートくずを分別することは認められていません。積んだ状態のまま運びます。
土木工事では、工場跡地や埋立地の掘削で汚染土壌に当たることがあります。第一次検定では、この現場での措置が問われます。
根拠は土壌汚染対策法です。この法律は、汚染された土地を都道府県知事が区域に指定し、汚染の除去や拡散の防止を求める仕組みになっています。
要措置区域等外において汚染土壌を運搬する者は、環境省令で定める汚染土壌の運搬に関する基準に従い、当該汚染土壌を運搬しなければならない。
土壌汚染対策法 第17条(運搬に関する基準)
施工側から見た軸は1つです。汚染された土を、その区域の外へ広げない。現場で行う措置は、すべてこの1点から出てきます。
簡単に言えば、汚染された土は「その場から持ち出さない」のが原則です。持ち出すときは、決められた手順で運び、決められた業者に処理してもらいます。
汚染土壌が区域の外へ出る経路は3つです。現場の措置は、この3つに1対1で対応しています。
| 経路 | 現場で講じる措置 |
|---|---|
| 人に付いて出る | 作業エリアを区分し、作業エリアと場外の間に除洗区域を設けて作業服等の着替えを行う |
| 車両に付いて出る | 車両の出口にタイヤ洗浄装置と車体の洗浄施設を備える |
| 風で舞って出る | 屋外掘削では飛散防止ネットを設置し、散水して飛散を防止する |
この3つは覚えるものではなく、導けるものです。汚染土は靴と作業服に付き、タイヤと車体に付き、乾けば風で舞います。出口をふさぐ、と考えれば措置の中身が決まります。
もう1つ、見落とされる経路があります。洗浄水です。タイヤや車体を洗った水には汚染土壌が混じっています。この洗浄水を直ちに場外へ排水するのは誤りです。せっかく車両から落とした汚染を、水にのせて外へ出すことになります。洗浄設備を置く目的そのものが失われます。
対策の目標そのものも、現場ごとに決めます。汚染状況(汚染物質・汚染濃度等)、将来的な土地の利用方法、事業者や土地所有者の意向等を考慮して、覆土・完全浄化・原位置封じ込めといった目標を設定します。すべてを掘り出して浄化するとは限りません。
ここが引っかけどころです。運搬中の汚染土壌には、両側から手を加えられません。
ふつうの建設発生土なら、運搬中に石やがれきを取り除くのは丁寧な作業ですし、まとめて積むのも効率的です。汚染土壌ではどちらも認められません。
理由は同じ1つです。分ければ、汚染が付いた岩やくずが「汚染されていないもの」として外へ出ていきます。混ぜれば、汚染されていなかった廃棄物まで汚染土壌の量に化けます。どちらも汚染の範囲が変わってしまいます。
したがって運搬中は積んだ状態のまま動かし、汚染土壌に手を加えません。掘ったときの中身のまま、処理施設へ届けます。
運搬の途中で積み替えることはあります。ここにも条件が付きます。
汚染土壌を区域の外へ搬出する者は、汚染土壌処理業者に処理を委託しなければなりません(法第18条)。自分で処分することはできません。
その汚染土壌処理業は、汚染土壌処理施設ごとに都道府県知事の許可を受けた業者だけが行えます(法第22条)。運ぶ先が決まっている、という点が建設発生土と違います。
混同しやすい用語
汚染土壌 と 建設発生土
扱いが逆になる点があります。建設発生土は再利用のために運搬中や中間で分別することがありますが、汚染土壌は運搬の過程での分別が認められていません。汚染土壌は積んだまま運び、汚染土壌処理業者に委託します。「土を分けて有効利用する」という発想をそのまま持ち込むと誤ります。
飛散防止ネット と 散水
どちらも風の経路をふさぐ措置ですが、役割が違います。飛散防止ネットは舞い上がった粉じんの移動を遮るもの、散水は舞い上がること自体を抑えるものです。ネットだけでは乾いた土が舞い、散水だけでは強風時に遮るものがありません。両方を行います。
汚染土壌の取扱いは1級の問題Bで出ます。3年度分を並べると、誤り肢がすべて同じ方向を向いていることが分かります。
| 出題年度・級(問番) | 誤りとされた記述 |
|---|---|
| 令和6年度 1級 問題B(No.18) | 運搬の過程で、汚染土壌から岩・コンクリートくずその他の物を分別する |
| 令和4年度 1級 問題B(No.18) | タイヤ洗浄装置と車体の洗浄施設を備え、洗浄水は直ちに場外に排水する |
| 平成27年度 1級 問題B(No.33) | 運搬の過程で、汚染土壌とその他無害な廃棄物と混合して運搬することができる |
分ける、水にのせて出す、混ぜる。表現は違いますが、いずれも汚染を外へ出す・範囲を変える行為です。逆に、除洗区域・タイヤ洗浄・飛散防止ネットと散水・積替え場所の囲いと表示は、毎回正しい記述として並んでいます。
問題:汚染土壌の運搬の過程で、岩やコンクリートくずを分別してはならないのはなぜか。
分別した岩やコンクリートくずにも汚染が付いているためです。それを汚染されていないものとして扱えば、そこから汚染が区域の外へ広がります。汚染土壌は積んだ状態のまま動かし、手を加えません。建設発生土のように中間で選り分ける扱いはできません。(令和6年度1級 問題B No.18)
問題:除洗区域を作業エリアと場外の「間」に設けるのはなぜか。
人に付いた汚染を場外へ出す前に落とすためです。場外側に置くと、汚染した作業服のまま区域を出てから着替えることになり、経路をふさげません。人・車両・風の3つの経路は、いずれも出口でふさぐのが原則です。
問題:汚染土壌を区域外へ搬出したあと、処理は誰に任せるか。
汚染土壌処理業者に委託します(土壌汚染対策法第18条)。汚染土壌処理業は汚染土壌処理施設ごとに都道府県知事の許可を受けた者だけが行えます(第22条)。自分で処分することはできません。
建設副産物の扱いは建設副産物と再資源化、騒音・振動の環境対策は建設工事の騒音・振動で確認できます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
正しく見える肢が誤りになる
この問題で選びにくいのは、分別が悪いことに見えないからです。がれきを取り除くのは、ふだんの現場ではむしろ丁寧な作業です。
汚染土壌では「手を加えない」が正解の方向になります。触れば触るほど汚染が広がるためです。人・車両・風の3経路をふさぐ措置と、運搬中に手を加えないこと。この2つはどちらも「外へ出さない」という同じ考え方から出ています。