けんせつる
図心って重心のこと?一次モーメントと二次モーメントの区別がつかない。
この記事の要点
図心とは、図形の重心にあたる点です。厚さと密度が均一なら、図心と重心は同じ位置になります。
0になるのは一次モーメントです。二次モーメントは図心軸で最小になりますが、0にはなりません。
1級・2級とも第一次検定のNo.4で出ます。令和6年度は1級・2級前期・2級後期の3つとも図心が出題されました。
図心とは、その図形の重心にあたる点です。板を1点で支えたときに水平に釣り合う位置、と考えると分かります。
厚さと密度が均一な板なら、図心と重心は同じ位置になります。図心は形だけで決まる点で、重さの分布が一様であれば重心と一致するためです。
単純な形の図心は、計算しなくても分かります。
| 図形 | 図心の位置 |
|---|---|
| 長方形 | 対角線の交点(縦横それぞれの中央) |
| 三角形 | 各辺の中点と向かい合う頂点を結んだ線の交点(底辺から高さの1/3) |
| 円 | 中心 |
試験で問われるのは、これらを組み合わせた逆T型やL型の断面です。単純な形に分割してから求めます。
断面一次モーメントとは、面積に軸までの距離を掛けた値です。図形が分かれているときは、それぞれについて計算して足します。
断面一次モーメント S = Σ(面積A × 軸までの距離y)
力のモーメントが力×距離だったのと同じ形です。力の代わりに面積を置いた量なので、面積モーメントとも呼ばれます。
距離は、その部分の図心から軸までを取ります。長方形なら中央までの高さです。端までの距離ではありません。
図心の位置は、断面一次モーメントを全断面積で割って求めます。
図心の高さ y₀ = 断面一次モーメントの合計 ÷ 全断面積 = ΣA・y / ΣA
手順は3つです。
令和6年度後期の2級では、この手順で逆T型断面の図心の高さを求めさせ、答えはh=3aでした。
簡単に言えば、面積の大きい部分に引き寄せられた位置が図心です。だから面積で重みをつけて平均を取っています。
基準軸はどこに取っても構いません。軸を変えれば各部分の距離yも断面一次モーメントも変わりますが、割り算をした後に出てくる図心の位置は同じになります。図心は図形そのものの性質だからです。
計算しやすいのは、断面の下端に軸を置く取り方です。すべての距離がプラスになり、符号を考えずに済みます。試験の問題図も、この置き方で示されています。
図心のいちばん大切な性質がこれです。図心を通る軸に関する断面一次モーメントは0になります。
理由は、軸の両側で面積モーメントが打ち消し合うからです。図心を通る軸を境に、片側はプラスの距離、反対側はマイナスの距離になります。図心はちょうど両側が釣り合う位置なので、合計すると0です。
この性質から、図心は次のように言い換えられます。
x軸・y軸に関する断面一次モーメントがともに0になる、直交する2軸の交点
令和6年度前期の2級では、この言い換えの中で「断面二次モーメントが0」とした選択肢が誤りでした。0になるのは一次モーメントです。
名前が似ているので、区別を押さえます。掛ける距離が1乗か2乗かの違いです。
| 断面一次モーメント | 断面二次モーメント | |
|---|---|---|
| 式 | Σ(A × y) | Σ(A × y²) |
| 図心軸での値 | 0 | 最小(0にはならない) |
| 符号 | 軸の反対側はマイナス | 2乗なので常にプラス |
| 単位 | 長さの3乗(cm³) | 長さの4乗(cm⁴) |
| 何に使うか | 図心の位置を求める | 曲げにくさを表す |
単位にも次数の差が出ます。面積(長さの2乗)に距離を1回掛ければ3乗、2回掛ければ4乗です。選択肢に単位が示されていれば、それだけでどちらの量かが分かります。
二次モーメントが0にならないのは、距離を2乗しているためです。2乗すればマイナスが消えるので、打ち消し合いが起きません。図心軸のときにいちばん小さくなるだけで、値は残ります。
断面二次モーメントは、梁の曲げにくさを表す量です。同じ断面積でも、材料を図心から遠くに配置するほど大きくなります。H形鋼のフランジが上下に離れているのはこのためです。
混同しやすい用語
断面一次モーメント と 断面二次モーメント
距離の次数が違います。一次は面積×距離、二次は面積×距離の2乗です。図心を通る軸では、一次モーメントは0になりますが、二次モーメントは最小になるだけで0にはなりません。2乗によって符号がすべてプラスになり、打ち消し合いが起きないためです。試験ではこの入れ替えが誤り肢として出ます。
図心 と 重心
決まり方が違います。図心は図形の形だけで決まる点、重心は重さの分布で決まる点です。厚さと密度が均一なら両者は一致します。異なる材料を組み合わせた断面では、形の中心と重さの中心がずれるため、一致しません。試験の断面図は均一として扱うので、同じ位置になります。
構造力学は1級・2級とも第一次検定のNo.4で出ます。令和6年度は3つとも図心でした。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方 | 答え・要点 |
|---|---|---|
| 令和6年度 1級(No.4) | 図心と断面一次モーメントの記述 | 図心軸での値は0。それ以外の値とした肢が誤り |
| 令和6年度 2級前期(No.4) | 図心Gの記述の誤り | 断面二次モーメントが0としたのが誤り |
| 令和6年度 2級後期(No.4) | 逆T型断面の図心の高さ | h=3a(分割して合計÷全断面積) |
| 令和7年度 1級(No.4) | 引張応力度の式 | 断面の性質を使う同じ枠の出題 |
問われ方は性質を記述で問う形と逆T型で計算させる形の2つです。記述で問われるのは、ほぼ「図心軸で0になるのはどちらか」の一点です。
問題:図心を通る軸に関する断面一次モーメントが0になるのはなぜか。
軸の両側で面積モーメントが打ち消し合うためです。図心を通る軸を境に、片側の距離はプラス、反対側はマイナスになります。図心は両側がちょうど釣り合う位置なので、面積×距離を全体で合計すると0になります。この性質が、図心を探す手がかりになっています。
問題:断面二次モーメントが、図心軸でも0にならないのはなぜか。
距離を2乗しているためです。2乗するとマイナスが消えてすべてプラスになるので、軸の両側で打ち消し合いが起きません。図心を通る軸のときに最小にはなりますが、値は残ります。0になるのは一次モーメントのほうです。
問題:逆T型断面の図心の高さを求める手順を3つに分けて説明せよ。
①長方形に分割する(下のフランジと縦のウェブ)。②各部分について面積×その部分の図心の高さを計算し、合計する(断面一次モーメント)。③その合計を全断面積で割る。式にすると y₀=(A₁y₁+A₂y₂)/(A₁+A₂)です。距離は各長方形の中央まで取ります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
「0になる」を見たら、一次か二次かだけ確かめる
この枠の記述問題は、図心の定義そのものを聞いているように見えて、実際に判定するのは一次か二次かだけです。他の肢は正しい説明が並んでいます。
図心を通る軸で0になるのは一次モーメント。二次モーメントは最小になるだけ。この1行を覚えていれば、記述の年は読むだけで終わります。