けんせつる
曲げモーメント図って毎年出るけど、選択肢の図がどれも似てる。どこで見分けるの?
この記事の要点
曲げモーメントとは、梁を曲げようとする力の大きさです。位置ごとに値が変わるので、それを梁に沿って描いたものが曲げモーメント図です。
両端が0になっていない図と、集中荷重なのに曲がっている図は、計算せずに切れます。
1級・2級とも第一次検定のNo.3で毎年出ます。しかも直近7年度のうち5年度が「図の形」を選ばせる問題でした。
梁に荷重が載ると、梁はたわみます。このとき梁の内部には、曲げようとする力に抵抗する力が生じています。その大きさが曲げモーメントです。
値の出し方は決まっています。見たい断面から片側だけを取り出して、そこに載っている力と、力から断面までの距離を掛けて足し合わせます。
曲げモーメント M = 力 × 断面までの距離 (単位は kN・m)
単位がkN・mであることに注目してください。力(kN)と長さ(m)の積です。力そのものではないので、荷重Pと同じ単位にはなりません。
簡単に言えば、長い棒で物をこじるときの手応えと同じです。同じ力でも、支点から遠い所を押すほど大きく曲がります。
曲げモーメントを計算する前に、必ず支点反力を求めます。ここが出発点です。
単純梁は両端で支えられています。荷重が載ると、両端が上向きに押し返します。この押し返す力が反力です。
左支点からa、右支点からbの位置に集中荷重Pが載っているとき、反力は次のようになります。
RA=P×b/L RB=P×a/L
分子が反対側までの距離になります。
荷重に近い側の支点ほど、大きな反力を受け持ちます。左端に寄った荷重なら、左の反力が大きい。分子と分母を取り違えると、この向きが逆になります。
荷重が中央にあるときは a=b=L/2 なので、RA=RB=P/2 です。左右で半分ずつ受け持ちます。
ここが試験の分かれ目です。曲げモーメント図の形は、載っている荷重の種類だけで決まります。
| 荷重 | 図の形 | 最大の位置 | 最大値 |
|---|---|---|---|
| 中央に集中荷重P | 三角形(折れ線) | 荷重点 | PL/4 |
| 三分点に集中荷重Pが2つ | 台形(折れ線) | 2つの荷重の間 | PL/3 |
| 等分布荷重w | 放物線(曲線) | 中央 | wL²/8 |
集中荷重が1つで中央でないときも、形は三角形のままです。頂点が荷重点にずれるだけで、両端から荷重点まで直線で結ばれます。
集中荷重は直線、等分布荷重は曲線。この見分けだけで、選択肢の半分が消えます。
形が変わる理由は、せん断力にあります。曲げモーメントの変化の急さは、その位置のせん断力で決まるからです。
集中荷重が1つ載った単純梁では、荷重の左側も右側もせん断力が一定です。区間の中で荷重が増減しないので、変化の急さが変わりません。だから曲げモーメントは直線的に増えて、荷重点でいきなり向きを変えます。折れ線になるのはこのためです。
等分布荷重では違います。位置が右へ進むほど、それまでに載った荷重が増えていきます。せん断力が直線的に変化するので、曲げモーメントは2次曲線になります。これが放物線です。
三分点に2つ載った場合は、その中間の区間で左右の荷重が釣り合い、せん断力が0になります。変化しないので曲げモーメントは一定のまま。図の中央が水平になり、台形になります。
簡単に言えば、せん断力が一定なら曲げモーメントは直線、せん断力が変化するなら曲線、せん断力が0なら水平です。
三分点の場合を追ってみます。荷重が左右対称なので、反力はどちらもP(合計2Pを半分ずつ)です。
左の三分点で切ると、そこまでに働いているのは反力Pだけ。距離はL/3です。
M=P×(L/3)=PL/3
中央に1つの場合も同じ手順です。反力はP/2、距離はL/2なので、M=(P/2)×(L/2)=PL/4 になります。
ここで、三分点に2つ載せたほうが値が大きいことに気づきます。PL/3 と PL/4 では PL/3 のほうが大きい。荷重の総量が2Pと大きいためです。
過去7年度の誤り肢を並べると、作り方が3つに絞れます。
| 誤りの型 | 実際に出た選択肢 | どこが違うか |
|---|---|---|
| 荷重の種類を混ぜる | 中央集中荷重でM=PL/8 | wL²/8は等分布荷重の式。集中荷重には8が出てこない |
| 距離を取り違える | M=PL/2 | 反力P/2に支間L全体を掛けている。距離はL/2 |
| 図の形を変える | 曲げモーメント図を長方形で表す | 両端が0にならない。単純梁では成立しない |
3つとも計算せずに切れます。分母の8を見たら等分布荷重の式か疑う、両端が0でない図は捨てる、という2つの目で足ります。
混同しやすい用語
曲げモーメント図(BMD) と せん断力図(SFD)
描いている量が違います。曲げモーメント図は曲げようとする力の大きさ(kN・m)を、せん断力図は断面を切りずらそうとする力(kN)を表します。同じ単純梁でも、中央集中荷重ならBMDは三角形、SFDは中央で符号が変わる階段状になります。単位が違うので、選択肢の縦軸を見れば区別できます。
PL/4 と wL²/8
荷重の種類が違います。PL/4は中央に集中荷重P(単位kN)、wL²/8は等分布荷重w(単位kN/m)です。wは長さあたりの荷重なので、Lを掛けて初めて力になります。だからLが2乗で出てきます。式にLの2乗があれば等分布荷重、と見分けられます。
構造力学は1級・2級とも第一次検定のNo.3で毎年出ます。直近7年度の内訳です。
| 出題年度・級(問番) | 荷重 | 問われ方と答え |
|---|---|---|
| 令和8年度 2級(No.3) | 等分布荷重 | 図の形。放物線で中央が最大 |
| 令和7年度 1級(No.3) | 三分点に2つ | 図の形。台形で中央が一定(PL/3) |
| 令和7年度 2級(No.3) | 集中荷重1つ | 図の形。荷重点で最大の三角形 |
| 令和7年度 2級後期(No.3) | 集中荷重1つ | 図の形。荷重点で最大の三角形 |
| 令和6年度 1級(No.3) | 三分点に2つ | 最大値。M=PL/3 |
| 令和6年度 2級前期(No.3) | 集中荷重 | 記述の誤り。長方形で表すが誤り |
| 令和6年度 2級後期(No.3) | 中央に集中荷重 | 最大値。M=PL/4 |
7年度のうち5年度が図の形、2年度が最大値の式でした。荷重は集中荷重1つ・三分点に2つ・等分布荷重の3種類しか出ていません。
問題:単純梁の曲げモーメントが、両端で必ず0になるのはなぜか。
単純梁の支点が回転を止めていないためです。曲げモーメントは回転させようとする力ですが、支点は自由に回れるので、そこで曲げに抵抗する力が生じません。したがって値は0になります。端を固定した片持ち梁では、固定端が回転を止めているため、そこで最大になります。
問題:集中荷重では折れ線、等分布荷重では放物線になるのはなぜか。
せん断力の変化の仕方が違うためです。集中荷重では荷重の左右それぞれの区間でせん断力が一定なので、曲げモーメントは直線的に変化し、荷重点で折れます。等分布荷重では位置が進むほど載った荷重が増え、せん断力が直線的に変化するので、曲げモーメントは2次曲線になります。
問題:選択肢に「中央に集中荷重Pが載る単純梁の最大曲げモーメントはPL/8」とあった。どこが違うか。
等分布荷重の式を持ち込んでいる点です。分母の8が出るのはwL²/8、つまり等分布荷重のときです。中央に集中荷重が1つなら、反力P/2に距離L/2を掛けてPL/4になります。分母に8を見たら、荷重が等分布かどうかを図で確かめます。
材料の性質は鋼材の応力とひずみ、水理の計算は連続の式とベルヌーイの定理とマニングの公式で確認できます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
3つの形を覚えるだけで、毎年のNo.3が取れる
この問題は7年間、荷重の型が3つから出ていません。三角形・台形・放物線と、対応するPL/4・PL/3・wL²/8を並べて覚えれば、その場で計算しなくても選べます。
図の問題は、両端が0かどうかと、直線か曲線かの2つで決まります。選択肢を1つずつ計算する必要はありません。