ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT
  1. HOME > 河川・砂防 > 浚渫船

浚渫船とは?ポンプは大量浚渫と埋立、グラブは狭い場所と構造物の前面に使う

けんせつる

けんせつる

狭い場所の浚渫って、どの船を使うの?

グラブとポンプ、どう使い分けるの?

この記事の要点

浚渫は、水底の土砂を掘り取る工事です。浚渫船には、ポンプ・グラブ・バックホウ・ドラグサクションがあり、場所と土質で使い分けます。

グラブは狭い場所・構造物前面、ポンプは大量浚渫・埋立。違いと過去問での問われ方も押さえます。

浚渫は、港湾や航路の水深を確保するために、水底の土砂を掘る工事です。浚渫船の種類ごとの向き・不向きが、試験でよく問われます。

浚渫船は、大量浚渫・埋立に向くポンプ浚渫船、狭い場所や構造物前面に使えるグラブ浚渫船、小規模のバックホウ浚渫船、航路の維持浚渫に使うドラグサクション浚渫船があります。

浚渫船の種類と使い分け

浚渫船は、土砂をどう掘って運ぶかで分かれます。掘る場所の広さ・水深・土質に合わせて選びます。

浚渫船(ポンプ・グラブ・バックホウ・ドラグサクション)の分類ツリー 浚渫船 ポンプ 大量・埋立 グラブ 狭い場所・前面 バックホウ 小規模 ドラグ サクション 維持浚渫
浚渫船の分類。掘る場所の広さ・水深・土質で使い分けます。
浚渫船特徴向いている場所
ポンプ浚渫船土砂を水とともに吸い上げ、管で運ぶ。大量に掘れる大量浚渫・埋立、軟泥。水底面の凹凸が大きく、構造物の築造箇所には不向き
グラブ浚渫船バケットでつかむ。浚渫深度はロープの長さで調節構造物前面・狭い場所・中小規模。底面の平坦な仕上げは不得手
バックホウ浚渫船台船にバックホウを載せる小規模、硬めの土
ドラグサクション浚渫船自航式で、走りながら土砂を吸い上げる航路の維持浚渫

掘り方が違えば、得意な場所も決まる

4種類を丸暗記するより、どうやって土砂を取るかを見れば、向き・不向きが自分で出せます。

ポンプ浚渫船は、水と一緒に土砂を吸い上げて管で送ります。掃除機で吸うようなやり方なので、大量に、速く掘れます。吸った土砂は水に混ざったまま管で運べるので、そのまま埋立地へ送れます。これが「大量浚渫・埋立に向く」理由です。

反面、吸い込む力で掘るので掘った跡が凹凸になります。狙った深さで平らに仕上げるのは苦手です。だから構造物を築くための床掘りには向きません。硬い土は吸えないので、軟らかい泥が相手になります。

グラブ浚渫船は、バケットでつかんで持ち上げます。クレーンでつまむやり方なので、狙った場所だけを掘れます。岸壁のすぐ前や、船が入れない狭い場所でも作業できるのはこのためです。浚渫の深さはロープを繰り出す長さで決めるので、水深が変わっても対応できます。

ただし、つかんだ跡はバケットの形に穴が残ります。何度も掘って重ねていくため、底面を平らに仕上げるのは不得手で、能率もポンプに及びません。

 ポンプ浚渫船グラブ浚渫船
掘り方吸い上げるつかみ上げる
大量に速く中小規模
狭い場所不向き使える
硬い土不向き(軟泥向き)ある程度いける
運搬管でそのまま送れる土運船に積む

バックホウ浚渫船は、台船に陸上のバックホウを載せたものです。陸の機械をそのまま浮かべた形なので、小規模で、硬めの土にも対応できます。ドラグサクション浚渫船は自分で航行しながら吸い上げるので、船を停めずに掘れます。航路は船が行き交うため長く占有できません。走りながら少しずつ掘る維持浚渫に向くのは、この性質からです。

浚渫の施工と事前調査

浚渫の法(のり)勾配は、浚渫船の種類によって差があります(差はない、ではありません)。掘り残しを防ぐため、計画より少し深く広く掘る余掘りをとります。

余掘りが要るのは、水の中の作業は目で見て確かめられないからです。陸の掘削なら、掘りすぎも掘り残しもその場で分かります。水底では、船の上から測って掘るしかありません。波で船が揺れ、潮位も変わります

ここで計画どおりぴったりに掘ろうとすると、必ずどこかに掘り残しが出ます。航路や泊地に掘り残しがあれば、船底が当たります。それなら少し深めに掘っておくほうが安全です。掘りすぎは費用の問題で済むが、掘り残しは船を傷つける——だから余掘りをとります。

法勾配が浚渫船の種類で変わるのも同じ筋です。吸い上げるポンプと、つかみ上げるグラブでは、掘ったあとに残る斜面の形が違います。「船の種類によらず同じ」とする肢は、掘り方の違いを見ていないことになります。

事前調査では、水深を測る深浅測量を行い、出来形は音響測深機などで確認します。浚渫中に機雷などの危険物を発見したときは、ただちに港長などに報告します(撤去してから報告、ではありません)。なお、しゅんせつに伴って生じる土砂は建設発生土であり、廃棄物処理法の産業廃棄物ではありません。

混同しやすい用語

ポンプ浚渫船 と グラブ浚渫船

どちらも代表的な浚渫船ですが、向く場所が違います。ポンプ浚渫船は、土砂を吸い上げて大量に掘るのが得意で、大量浚渫や埋立に使います。グラブ浚渫船は、バケットでつかむので、構造物前面や狭い場所の浚渫に使えます。大量はポンプ、狭い場所はグラブ、と整理できます。

過去問でどう問われたか

浚渫船は、2級・1級で浚渫船の種類と適用が繰り返し問われます。引っかけの中心は、ポンプとグラブの向き・不向きの取り違えです。

グラブ浚渫船は狭い場所・構造物前面に使え、ポンプ浚渫船は凹凸が大きく構造物築造箇所には不向きです。これを逆にしたり、施工勾配に差はないとしたりするのが、誤り肢の定番です。

年度・級・No.問われ方/引っかけ
平成22年度 1級 No.40浚渫の事前調査。機雷などの危険物を発見したら、ただちに港長などに報告する(撤去してから報告は誤り)
平成24年度 1級 No.40「浚渫船の違いによる施工勾配に差はない」とするのは誤り(種類によって差がある)
平成25年度 2級 No.26グラブ浚渫船は構造物前面・狭い場所の浚渫に使える(使えない・底面の平坦仕上げが容易は誤り)←
平成27年度 1級 No.40ポンプ浚渫船を「水底面の凹凸が小さく構造物の築造箇所向き」とするのは誤り(凹凸が大きく不向き)
平成27年度 1級(建設副産物)しゅんせつ土砂を「廃棄物処理法の安定型産業廃棄物」とするのは誤り(建設発生土で廃棄物ではない)

理解度チェック

問題:グラブ浚渫船は、岸壁など構造物前面の浚渫や、狭い場所の浚渫に使用できる。

〇か×か。

答え:

グラブ浚渫船はバケットでつかむので、構造物前面や狭い場所に使えます。ただし底面の平坦な仕上げは不得手です。

問題:ポンプ浚渫船は、掘削後の水底面の凹凸が小さいため、構造物の築造箇所の浚渫に向いている。

〇か×か。

答え:×

ポンプ浚渫船は大量浚渫・埋立に向きますが、水底面の凹凸が大きく、構造物の築造箇所には不向きです。

問題:浚渫中に機雷などの危険物を発見したときは、これを撤去してから港長などに報告する。

〇か×か。

答え:×

危険物を発見したときは、ただちに港長などに報告します。自分で撤去してから報告するのではありません。

まとめ

浚渫は水底の土砂を掘る工事で、浚渫船を場所と土質で使い分けます。

グラブは狭い場所・構造物前面、ポンプは大量浚渫・埋立(構造物築造箇所には不向き)が要点です。

ポンプとグラブの使い分けが、過去問でよく問われます。港湾の構造物は防波堤の型式ケーソンの施工でまとめています。

参考資料

  • 国土交通省「港湾工事共通仕様書」関連資料
  • 港湾の浚渫工事の標準的な施工方法

※ 浚渫船の適用や施工は標準的な内容に基づきます。現場条件や基準で変わるため、最新の仕様書・資料で確認してください。

T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

受験ガイド

分野から探す

過去問解説

このサイトについて

Topへ >>

  1. HOME > 河川・砂防 > 浚渫船