けんせつる
あんなに深いのに、横の摩擦は使わないの?
ニューマチックって、水中で掘るの?
この記事の要点
ケーソン基礎とは、鉄筋コンクリートの箱(ケーソン)を沈めて支持層に届かせる基礎のことです。橋脚などの大きな荷重を支えます。
誤り肢はケーソン基礎ではなく、摩擦杭・支持杭のほうで作られます。形式ごとに「何で支えるか」を押さえるのが要点です。
まず、どうやって沈めてどこで支えるのかを押さえます。
ケーソン基礎は、鉄筋コンクリートの箱(ケーソン)を地上でつくり、中の土を掘削しながら自重で沈め、深い支持層まで届かせる基礎です。橋脚などの大きな荷重を支えるのに用います。
港湾構造物として海に浮かべて運ぶケーソンとは、同じ名前でも使い方が違います。そちらはケーソンの施工でまとめています。
ケーソン基礎の定義的な特徴がここです。鉛直荷重に対して、基礎底面地盤の鉛直地盤反力のみで抵抗させることを原則とします。深く沈めるので側面の摩擦も効きそうに見えますが、周面摩擦は当てにしません。
施工のしかたを考えると、この原則は自然です。ケーソンは沈設のときに周面の抵抗をむしろ減らそうとします(後述のジェット工法など)。滑らせて沈める構造で、完成後だけ摩擦を当てにするわけにはいきません。
試験では、この記述は正しい肢として出ます。令和5年度・令和7年度の1級で2回とも正しい肢でした。誤り肢は、ケーソン基礎ではなく他の形式のほうで作られます。だから形式ごとの対比を押さえるのが得点につながります。
| 基礎形式 | 何で支えるか |
|---|---|
| ケーソン基礎 | 鉛直荷重は基礎底面地盤の鉛直地盤反力のみ |
| 摩擦杭基礎 | 杭の周面摩擦力だけで支持。★基礎底面の支持を含めるのは支持杭の説明 |
| 支持杭基礎 | 鉛直荷重は杭のみ。水平荷重は杭に加えてフーチング根入れ部分の抵抗を見込むことがある(★鉛直と水平を入れ替えた肢が出る) |
| 直接基礎 | フーチング周面の摩擦抵抗はあまり期待できないので、鉛直荷重は基礎底面地盤の鉛直地盤反力のみ。支持層は砂層・砂礫層で十分な強度、粘性土層で圧密のおそれのない良質な層 |
| 鋼管矢板基礎 | 打込み工法又は中掘り工法による先端支持。井筒部の下端拘束を地盤に期待するため支持層への根入れが必要。圧密沈下が生じる地盤では負の周面摩擦力を考慮 |
整理すると、底面で支えるのがケーソン基礎と直接基礎、周面で支えるのが摩擦杭基礎、先端で支えるのが支持杭基礎と鋼管矢板基礎です。誤り肢は、この担当をずらして作られます。
| 種類 | 掘削の環境 | 特徴 |
|---|---|---|
| オープンケーソン | 水中で掘削(上が開いた箱) | 設備が比較的簡単。底面を直接目視できない |
| ニューマチックケーソン | 圧気でドライに掘削(作業室に圧縮空気) | 底面を目視で確認できる。高気圧作業の管理が必要 |
違いは掘る場所を水浸しのままにするか、空気で水を押し出して乾かすかです。ニューマチックは支持層を直接確かめられる代わりに、高気圧下の作業になります。
ケーソンを沈めるときは、周面の抵抗(沈設抵抗)が大きいと沈みません。そこでエアージェットや水ジェットで周面の摩擦を減らす方法があります。
ただし近接施工では極力避けます。周辺地盤を緩めるおそれが高いためです。近くに既設構造物があるときは、この方法を使わない前提で計画を立てます。
あわせて、近接施工では次の点も問われます。
混同しやすい用語
摩擦杭基礎 と 支持杭基礎
支える場所が違います。摩擦杭基礎は杭の周面摩擦力だけで鉛直荷重を支えます。支持杭基礎は硬い支持層まで杭を届かせ、鉛直荷重を杭のみで支えます(フーチング底面で分担させない)。摩擦杭の説明に「基礎底面の支持により」を混ぜるのは支持杭の説明で、誤りです。
支持杭基礎の鉛直 と 水平
担当が入れ替えられます。鉛直荷重は杭のみで抵抗させるのが原則で、水平荷重については杭に加えてフーチング根入れ部分が前面の地盤から受ける抵抗を見込むことがあります。「水平は杭のみ、鉛直は杭とフーチング」は逆です。
ケーソン基礎は1級の道路橋の基礎形式の中で出ます。引っかけは2型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和7年度 1級(No.17) | 摩擦杭基礎に「基礎底面の支持により」を含める→ 誤り。周面摩擦力だけ。ケーソン基礎は基礎底面で支持が正しい肢 ←①(正答2) |
| 令和5年度 1級(No.12) | 支持杭基礎を「水平荷重は杭のみ、鉛直荷重は杭とフーチング根入れ部分」→ 誤り。逆。ケーソン基礎は鉛直地盤反力のみが正しい肢 ←②(正答2) |
| 令和7年度 1級 問題B(No.18) | オープンケーソンのジェットによる摩擦低減を近接施工で極力避けるのは正しい肢。誤りは既製杭の打込み順序(正答4) |
問題:ケーソン基礎は、鉛直荷重を何で支えるのが原則か。
基礎底面地盤の鉛直地盤反力のみです。深く沈める構造ですが周面摩擦は当てにしません。沈設のときにむしろ周面の抵抗を減らそうとする施工法なので、考え方として一貫しています。(令和5年度1級 No.12、令和7年度1級 No.17)
問題:摩擦杭基礎と支持杭基礎は、それぞれ何で鉛直荷重を支えるか。
摩擦杭基礎は杭の周面摩擦力だけで支持します。支持杭基礎は硬い支持層まで杭を届かせ、鉛直荷重を杭のみで支えます。摩擦杭の説明に「基礎底面の支持により」を混ぜるのは支持杭の説明で誤りです。(令和7年度1級 No.17)
問題:近接施工でエアージェット・水ジェットによる摩擦低減を極力避けるのはなぜか。
周辺地盤を緩めるおそれが高いためです。沈設抵抗は減らせますが、近くに既設構造物があると、その地盤の緩みが沈下や変位につながります。同じ問題では、既製杭の打込みを既設構造物に近い地点から遠い地点へ進めるのが正しく、「遠い地点から」は誤りとして出ました。(令和7年度1級 問題B No.18)
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
この単元は、ケーソン基礎の記述はいつも正しいという特徴があります。2年とも正しい肢として出ました。狙われるのは摩擦杭と支持杭のほうです。
覚え方としては、底面・周面・先端のどれで支えるかを形式ごとに1語で結びつけるのが早いです。ケーソン基礎と直接基礎は底面、摩擦杭は周面、支持杭と鋼管矢板は先端。この対応がずれている肢を探せば見つかります。