けんせつる
支持層に届いたって、どうやって分かるの?
工法ごとに見るものが違うの?
この記事の要点
杭の支持力とは、杭先端が硬い地盤に伝える先端支持力と、杭側面と土との間にはたらく周面摩擦力の合計のことです。
回転杭工法では、支持層に入ると回転トルクは「増加」します。「減少していることにより確認する」は誤りです。
まず、杭が何で支えているかを押さえます。
杭の支持力は2つの合計です。
どちらが主かで名前が変わります。先端支持力が主のものを支持杭、周面摩擦力が主のものを摩擦杭といいます。基礎形式の比較では、支持杭は鉛直荷重を杭のみで支え、摩擦杭は周面摩擦力だけで支持する形式として整理されます。
施工中に、杭が支持層へ届いたかを確かめるのが打止め管理です。地中は見えないので、あらかじめ打ち込んだ試験杭のデータと比べて判断します。
同じ深さで同じ手ごたえなら、同じ層にいると考えられる。これがすべての工法に共通する考え方です。絶対値ではなく、試験杭との対比で決めます。
杭の入れ方が違えば、手ごたえの現れ方も違います。工法ごとに見る指標が決まっています。
| 工法 | 確認する指標 |
|---|---|
| 打撃工法 | 打止め時の一打当りの貫入量及びリバウンド量等が試験杭と同程度であることを確認 |
| 中掘り杭工法 (セメントミルク噴出攪拌方式) |
支持層付近で掘削速度を極力一定に保ち、掘削抵抗値を測定・記録して確認 |
| プレボーリング杭工法 | 積分電流値の変化。試験杭と異なる場合は、駆動電流値の変化・採取された土の状態・事前の土質調査結果・他の杭の施工状況等で確認 |
| ★回転杭工法 | 回転トルクとN値の変化を対比し、支持層上部よりも回転トルクが増加していることで確認 |
中掘り杭工法で掘削速度を一定に保つのには理由があります。速度がばらつくと抵抗値も変わってしまい、杭ごとに比べられなくなるからです。比較で判断する以上、条件をそろえる必要があります。
ここが令和5年度1級の誤り肢になったところです。「支持層上部よりも回転トルクが減少していることにより確認する」と書かれていました。増減が逆です。
回転杭工法は、先端に羽根を付けた鋼管杭を回転させながら地中に押し込む工法です。土が硬くなれば、回転させるための抵抗は当然大きくなります。だから支持層に届いたしるしは回転トルクの増加です。
逆に回転トルクが下がっていく場合は、硬い層を突き抜けて下の軟らかい層に入っている疑いを持ちます。増加が「到達」、減少が「行きすぎ」の合図です。
判断は試験杭との対比で行います。試験杭で回転トルクとN値の対応を記録しておき、支持層上部より値が増えている深さを打止めの目安にします。
打込み杭工法で鋼管杭を施工するときの要点も出題されます。3つとも「大きく・取り付ける」が正解で、誤り肢は逆に書かれます。
| 場面 | 正しい対応 |
|---|---|
| 偏打の恐れがある | 杭頭の破損を防ぐため、板厚を厚くする(★「薄く」は誤り) |
| 硬質地盤への打込み | 先端の破損を防ぐため、鋼管の先端外側に補強バンドを取り付ける(★「取り外す」は誤り) |
| 杭頭部に座屈の恐れ | 打撃力を小さくするか、鋼管杭の断面積を大きくする(★「小さく」は誤り) |
いずれも壊れそうなときは丈夫にするという当たり前の話です。誤り肢は、それを逆に書いて「弱くする」形にしています。
混同しやすい用語
回転トルクの増加 と 減少
回転杭工法で支持層に届いたしるしは回転トルクの増加です。土が硬くなれば回すのに大きな力が要るためです。「支持層上部よりも回転トルクが減少していることにより確認する」は誤りで、減少は硬い層を突き抜けた疑いを示します。
貫入量・リバウンド量 と 掘削抵抗値・電流値
工法によって見る指標が違います。叩いて入れる打撃工法は一打当りの貫入量とリバウンド量、掘って入れる中掘り杭工法は掘削抵抗値、プレボーリング杭工法は積分電流値、回して入れる回転杭工法は回転トルクです。どれも試験杭との対比で判断する点は共通です。
杭の打止め管理は1級で出ます。引っかけは2型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和5年度 1級(No.13) | 回転杭工法で「回転トルクが減少していることにより確認する」→ 誤り。増加 ←①(正答4)。打撃・中掘り・プレボーリングの指標は正しい肢 |
| 令和6年度 1級(No.18) | 板厚を「薄く」、補強バンドを「取り外す」、断面積を「小さく」→ すべて誤り。正しいのは打止め管理を試験杭と同程度で確認する肢 ←②(正答2) |
| 令和7年度 1級(No.17) | 摩擦杭基礎は周面摩擦力だけで支持。支持杭の説明を混ぜるのは誤り(正答2) |
| 令和6年度 1級(No.17) | 支持杭基礎は支持層への根入れを少なくとも杭径程度確保するのが基本(正しい肢) |
問題:回転杭工法で支持層に届いたことを、回転トルクのどんな変化で確認するか。
支持層上部よりも回転トルクが増加していることで確認します。土が硬くなれば回すための抵抗が大きくなるためです。「減少していることにより確認する」は誤りで、減少は硬い層を突き抜けた疑いを示します。判断は試験杭で記録した回転トルクとN値の対応との対比で行います。(令和5年度1級 No.13)
問題:中掘り杭工法で、支持層付近の掘削速度を極力一定に保つのはなぜか。
速度がばらつくと掘削抵抗値も変わってしまい、杭ごとに比べられなくなるためです。打止め管理は試験杭との対比で判断するので、比べる条件をそろえる必要があります。掘削抵抗値は測定して記録します。(令和5年度1級 No.13)
問題:偏打の恐れがあるとき、杭頭部に座屈の恐れがあるとき、それぞれどうするか。
偏打の恐れがあるときは杭頭の破損を防ぐため板厚を厚くします。座屈の恐れがあるときは打撃力を小さくするか、鋼管杭の断面積を大きくします。硬質地盤へ打ち込むときは先端外側に補強バンドを取り付けます。3つとも「薄く・小さく・取り外す」と逆に書いた肢が誤りです。(令和6年度1級 No.18)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
打止め管理は工法ごとに指標が違うので覚えることが多く見えますが、入れ方を思い浮かべれば出てきます。叩いて入れるなら「1回で何cm入ったか」、掘って入れるなら「掘る抵抗」、回して入れるなら「回す力」。手ごたえの形が指標になっているだけです。
令和6年度の鋼管杭は、3つの誤り肢がすべて「弱くする」方向に書かれていました。壊れそうな場面で薄くする、外す、細くする。読んでいて違和感があれば、それが答えです。