けんせつる
間隙比と間隙率と飽和度、どれも似た式で見分けがつかない。
この記事の要点
土の三相とは、土が土粒子・水・空気の3つでできていることです。この3つの体積と質量から、6つの量が定義されます。
分母だけを見れば、計算せずに選択肢が1つに絞れます。
1級・2級とも第一次検定のNo.1で毎年出ます。直近7年度はすべて三相からの出題でした。
土は、粒そのものだけでできているわけではありません。粒と粒の間にすき間があり、そこに水と空気が入っています。
この土粒子・水・空気の3つを三相といいます。水と空気を合わせた部分は間隙と呼びます。
記号は体積がV、質量がmで、右下の添字で中身を表します。s が土粒子(solid)、w が水(water)、a が空気(air)、v が間隙(void)です。
空気の質量は0として扱います。だから土全体の質量mは、水の質量mwと土粒子の質量msの和になります。
三相の体積と質量を組み合わせて、6つの量が定義されます。並べると分母がすべて違います。
| 量 | 記号 | 定義式 | 分母は何か |
|---|---|---|---|
| 含水比 | w | mw/ms×100〔%〕 | 土粒子の質量 |
| 間隙比 | e | Vv/Vs | 土粒子の体積 |
| 間隙率 | n | Vv/V×100〔%〕 | 土全体の体積 |
| 飽和度 | Sr | Vw/Vv×100〔%〕 | 間隙の体積 |
| 湿潤密度 | ρt | m/V | 土全体の体積 |
| 土粒子の密度 | ρs | ms/Vs | 土粒子の体積 |
意味をたどると、分母は自然に決まります。
すき間がすべて水なら飽和度は100%、乾いていれば0%です。間隙の体積を分母に取るからこうなります。
問題では、上の図から記号を抜いた空欄の模式図が示されます。埋める順序を決めておくと迷いません。
令和6年度と令和7年度の1級では、この模式図と湿潤密度・飽和度・間隙率の式との対応が問われました。図に記号を書き込んでから選択肢を読むと、どの範囲を分母にしているかがそのまま照合できます。
三相からは乾燥密度 ρd=ms/Vも定義されます。土粒子の質量を土全体の体積で割った値で、締固めの管理に使う量です。詳しくは土の締固め試験で扱っています。
誤り肢のいちばん多い作り方がこれです。分子と分母で質量と体積が混在した式が並びます。
令和6年度後期の2級では、含水比の式として次の3つが誤り肢に出ました。
| 出た誤り | どこが違うか |
|---|---|
| w=mw/Vs×100 | 分子が質量、分母が体積で混在している |
| w=Vw/V×100 | 体積の比。含水比ではなく体積含水率にあたる |
| w=Vw/Vs×100 | 体積の比。質量の式ではない |
正しいのはw=mw/ms×100です。含水比だけが質量の比で、間隙比・間隙率・飽和度は体積の比です。
簡単に言えば、含水比は「はかりで量る話」、他の3つは「かさを比べる話」です。ここを分けておくと混ざりません。
もう1つの見分けどころです。間隙比eには×100が付きません。
間隙率・飽和度・含水比は百分率〔%〕で表しますが、間隙比は比そのものです。単位が付かない値になります。
間隙比と間隙率は名前が1字違いで、どちらも間隙の体積Vvが分子です。違うのは分母と、100を掛けるかどうかです。
| 間隙比 e | 間隙率 n | |
|---|---|---|
| 式 | Vv/Vs | Vv/V×100 |
| 分母 | 土粒子の体積 | 土全体の体積 |
| 単位 | なし(比) | % |
| 取りうる値 | 1を超えることがある | 100%を超えない |
間隙比が1を超えるのは、すき間の体積が粒の体積より大きい土があるためです。分母が全体ではないので、上限がありません。
混同しやすい用語
間隙比 と 間隙率
分母が違います。間隙比e=Vv/Vsは土粒子の体積で割った値で、単位のない比です。間隙率n=Vv/V×100は土全体の体積で割った百分率です。分子はどちらも間隙の体積Vvなので、選択肢では分母と×100の有無で見分けます。間隙比は1を超えることがありますが、間隙率は100%を超えません。
含水比 と 飽和度
比べているものが違います。含水比w=mw/ms×100は質量の比で、乾いた土に対する水の量を表します。飽和度Sr=Vw/Vv×100は体積の比で、すき間のうち水が占める割合です。含水比は100%を超えることがありますが、飽和度は水がすき間を満たした時点で100%になり、それ以上にはなりません。
土質は1級・2級とも第一次検定のNo.1で出ます。直近7年度はすべて三相からの出題でした。
| 出題年度・級(問番) | 問われた量 | 正しい式 |
|---|---|---|
| 令和8年度 2級(No.1) | 飽和度Sr | Vw/Vv×100 |
| 令和7年度 1級(No.1) | 湿潤密度と間隙率 | ρt=m/V、n=Vv/V×100 |
| 令和7年度 2級(No.1) | 間隙比e | Vv/Vs |
| 令和7年度 2級後期(No.1) | 土粒子の密度ρs | ms/Vs |
| 令和6年度 1級(No.1) | 湿潤密度と飽和度 | 模式図との対応 |
| 令和6年度 2級前期(No.1) | 土粒子の密度ρs | ms/Vs |
| 令和6年度 2級後期(No.1) | 含水比w | mw/ms×100 |
7年度で問われた量は飽和度・間隙率・間隙比・土粒子の密度・湿潤密度・含水比の6つ。この記事の表がそのまま出題範囲です。
問題:含水比の分母が、土全体の質量ではなく土粒子の質量なのはなぜか。
乾いた土に対して水がどれだけあるかを表す量だからです。分母を全体の質量にすると、水が増えたときに分母も一緒に増えてしまい、水の量の変化が値に表れにくくなります。土粒子の質量msは水の増減で変わらないので、基準として使えます。この定義から、含水比は100%を超えることがあります。
問題:間隙比だけ×100を付けないのはなぜか。また1を超えることがあるのはなぜか。
間隙比は百分率ではなく比として定義されているためです。分母が土粒子の体積Vsで、土全体ではありません。すき間の体積が粒の体積を上回る土では、値が1を超えます。分母を全体積Vにした間隙率nは、分子が全体の一部なので100%を超えません。
問題:選択肢に「w=mw/Vs×100」とあった。どこが違うか。
分子が質量mw、分母が体積Vsで混在している点です。含水比は質量どうしの比なので、正しくはw=mw/ms×100です。三相の問題では、この質量と体積の取り違えが誤り肢の代表的な作り方になっています。分子と分母の文字が m と V で揃っているかを見ます。
締固めの管理は土の締固め試験、試験の使い分けは土質試験と結果の利用、土量の計算は土量の変化率で確認できます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
分母を4つ覚えれば、毎年のNo.1が取れる
問われ方は定義式を選ばせる形だけです。計算をさせる年はありません。覚えるのはms・Vs・V・Vvのどれが分母かの4通りだけです。
分子はどれも「水」か「間隙」で共通なので、見分けの手がかりになりません。選択肢を読むときは、分母から目を入れます。