令和8年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問13は、音及び騒音に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、音と騒音の基本を広く問うものです。
音速と媒質の関係、点音源からの距離と音圧レベルの関係、騒音のA測定・B測定の管理区分、騒音性難聴の起こり方や聞こえ方の特徴が並びます。
引っかけの核心は1点で、デシベルで表した音圧レベルを、ふつうの量のように「距離が2倍だから値も半分」と扱ってしまうところにあります。
デシベルは対数で表したレベルなので、距離と単純な比例・反比例の関係にはなりません。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢2(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 音速は波長や振幅では変わらず、媒質の温度・種類で決まる。空気中では温度が高いほど速く、水中は空気中より速いので正しい。 |
| 2 | ×(誤り) | 点音源で反射物のない自由空間では、距離が2倍になると音圧レベルは約6dB低下するのであって、レベルの値が1/2になるわけではない。 |
| 3 | ○(正しい) | 騒音のA測定・B測定で、B測定の結果が85dB以上なら、A測定の結果にかかわらず第I管理区分にはならないので正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 騒音性難聴は、内耳の蝸牛にある有毛細胞が変性して起こる、元に戻らない聴力低下なので正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | 初期は4000Hz付近を中心に聴力が下がるが会話音域への影響は小さく、難聴に気づきにくいので正しい。 |
音圧レベルは、音圧そのものではなく、基準の音圧と比べた比を対数で表した「レベル」です。単位のデシベルは、この対数のものさしに付いた目盛りです。
だからレベルどうしの足し引きや距離との関係を、ふつうの量の比例・反比例のように考えると間違えます。
点音源で、音を反射する物体がない自由空間を考えると、音のエネルギーは球状に広がるため、距離が2倍になると単位面積あたりの強さは1/4になります。
これをデシベルのものさしに直すと、音圧レベルは約6dB低下するという関係になります。距離が4倍ならさらに約6dB下がって、合わせて約12dBの低下です。
選択肢2は、ここを「距離が2倍になると音圧レベルは1/2になる」と述べています。下がるのは事実でも、下がり方が違います。
実際は約6dB差し引かれるのであって、レベルの数値が半分になるわけではありません。
仮に60dBの場所で距離を2倍にしても、30dBではなく54dB前後にとどまる、というイメージです。
下がる向きは合っているのに、下がる量の表し方を取り違えさせる、という引っかけです。
問題:点音源とみなせて反射物のない自由空間で、音源からの距離が2倍になると、音圧レベルはどう変わるか。
約6dB低下します。レベルの値が半分(1/2)になるのではありません。デシベルは対数で表したレベルなので、距離が2倍ごとに一定量(約6dB)が差し引かれていく関係になります。
問題:騒音性難聴は、初期にどの周波数帯から聴力が低下し、なぜ気づきにくいのか。
初期は4000Hz付近を中心に低下します。会話に使う音域への影響は小さいため日常会話では困りにくく、難聴であることを自覚しにくいのが特徴です。内耳の蝸牛の有毛細胞の変性による、元に戻らない聴力低下です。
出典
※ 最終更新:2026年6月