令和8年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問10は、有機溶剤による人体への影響に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、代表的な有機溶剤がそれぞれどの臓器・どの機能を標的にするかを問うものです。
脂溶性で中枢神経系に作用する性質、酢酸メチルの視神経への影響、ハロゲン化炭化水素の肝毒性、n-ヘキサンの末梢神経障害といった、溶剤ごとの主作用の対応を覚えているかが問われます。
引っかけの核心は、造血器障害(再生不良性貧血など)の代表をトルエンに割り当ててしまうところにあります。
造血器障害を起こすのはベンゼンで、トルエンとは別物です。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢3(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 有機溶剤は脂溶性が高く、脂肪に富んだ中枢神経系などに蓄積しやすいとするのは正しい。 |
| 2 | ○(正しい) | 酢酸メチルの障害として視力低下や視野狭窄を挙げるのは正しい(視神経への影響)。 |
| 3 | ×(誤り) | トルエンの障害を再生不良性貧血などの造血器障害とするのが誤り。造血器障害の代表はベンゼンで、トルエンの主作用は中枢神経の抑制。 |
| 4 | ○(正しい) | ハロゲン化炭化水素系有機溶剤は一般に肝臓に対する毒性が強いとするのは正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | n-ヘキサンの障害として多発性神経炎(末梢神経障害)を挙げるのは正しい。 |
選択肢3は、トルエンの健康障害として再生不良性貧血などの造血器障害を挙げています。これが誤りです。
再生不良性貧血や白血病といった造血器障害を起こす代表はベンゼンであり、トルエンではありません。溶剤の名前を入れ替えた取り違えになっています。
トルエンの主作用は中枢神経の抑制で、頭痛やめまい、酩酊に似た症状などが現れます。
ベンゼンとトルエンは名前も構造も近く、いずれも芳香族の有機溶剤ですが、人体への主な作用は別物です。
造血器に来るのがベンゼン、中枢神経に来るのがトルエンと、標的をはっきり分けて覚えると取り違えを防げます。
問題:再生不良性貧血などの造血器障害を起こす代表的な有機溶剤は、トルエンとベンゼンのどちらか。
ベンゼンです。ベンゼンは骨髄に作用し、再生不良性貧血や白血病などの造血器障害を起こします。トルエンの主作用は中枢神経の抑制で、造血器障害の代表ではありません。
問題:n-ヘキサンによる健康障害として代表的なものは何か。
多発性神経炎(末梢神経障害)です。手足のしびれや脱力などが現れます。視神経への影響が問われる酢酸メチルや、肝毒性が問われるハロゲン化炭化水素と混同しないようにします。
出典
※ 最終更新:2026年6月