令和7年8月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問5は、化学物質とその水溶液の名称・性質に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、身近な無機・有機の化学物質について、「もとの物質」と「その水溶液の名称・酸性度・有害性」の対応を正しく結びつけられるかを問うものです。
塩化水素と塩酸、二酸化炭素と炭酸水、水酸化カルシウムと石灰水、ホルムアルデヒドとホルマリンといった定番の組合せが並びます。
引っかけの核心は、硫酸のもとになる物質を硫化水素とすり替えた一点にあります。硫酸は硫黄の酸化物の水溶液であって、硫化水素の水溶液ではありません。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢2(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 塩化水素は水によく溶け、その水溶液が塩酸で、皮膚腐食性や眼への重篤な損傷性があるので正しい。 |
| 2 | ×(誤り) | 硫酸は三酸化硫黄(無水硫酸)の水溶液であって、硫化水素の水溶液を硫酸とするのは誤り。硫化水素の水溶液は硫化水素水で、弱い酸性を示すにとどまる。 |
| 3 | ○(正しい) | 二酸化炭素の水溶液は炭酸水で弱酸性、また1気圧下で冷やすと液体を経ずにドライアイス(固体)になるので正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 水酸化カルシウムの飽和水溶液は石灰水で強いアルカリ性を示し、皮膚や粘膜、眼を損傷させるので正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | ホルムアルデヒドを40%程度含む水溶液がホルマリンで、重合防止のためメタノールが加えられ防腐剤などに使われるので正しい。 |
硫酸のもとになるのは硫黄の酸化物です。
三酸化硫黄(無水硫酸)が水に溶けたものが硫酸であり、強い酸性と強い脱水作用をもつため、高濃度のものが皮膚に触れると化学熱傷を生じます。
化学熱傷を生じるという後半部分は硫酸の性質として正しく、ここが正しいぶん見落としやすい作りになっています。
選択肢2が誤りなのは、その硫酸のもとを硫化水素にすり替えている点です。
硫化水素は腐卵臭をもつ気体で、その水溶液は硫化水素水と呼ばれ、弱い酸性を示すにとどまります。硫化水素水を硫酸と呼ぶことはなく、両者は名称も酸性度も別物です。
「硫化水素の水溶液=硫酸」という結びつけ自体が成り立たないため、後半の化学熱傷の記述が正しくても、文全体として誤りになります。
問題:硫化水素を水に溶かすと硫酸になり、強い酸性を示すと言ってよいか。
いいえ。硫化水素の水溶液は硫化水素水で、弱い酸性を示すにとどまります。硫酸は三酸化硫黄(無水硫酸)が水に溶けたものであり、硫化水素の水溶液ではありません。
問題:高濃度の硫酸が皮膚に触れると化学熱傷を生じる、という記述は正しいか。
正しい記述です。硫酸は強い酸性と脱水作用をもち、高濃度のものが皮膚に接触すると化学熱傷を生じます。問5の選択肢2が誤りなのは、この性質を硫化水素の水溶液に結びつけている点です。
出典
※ 最終更新:2026年6月