令和7年8月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問14は、酸素欠乏症と硫化水素中毒に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、酸素欠乏(空気中の酸素濃度が18%未満の状態)の基本と、硫化水素ガスの性質・中毒症状をまとめて問うものです。
酸素は空気中に容積で約21%含まれ、硫化水素は空気より重く、低い場所や窪地に溜まりやすいことが押さえどころです。
引っかけの核心は、高所で低くなるのは酸素の「割合(%)」だと取り違えるところにあります。標高で下がるのは気圧(酸素分圧)であって、容積割合ではありません。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢1(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ×(誤り) | 標高が高くなると酸素の割合(約21%)が低くなる、とするのが誤り。割合は一定で、下がるのは気圧(酸素分圧)。 |
| 2 | ○(正しい) | 貧血や喫煙習慣がある作業者は酸素の運搬能力が落ちているため、酸素欠乏空気を吸うと発作や意識障害を起こしやすく、正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | 硫化水素は空気より重く、火山性ガスが滞留する窪地などの低い場所に溜まりやすいので、正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 硫化水素はシアン化物と同様に細胞内の酵素を阻害し、意識消失や呼吸麻痺を起こすので、正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | 比較的低濃度のばく露では、眼のかゆみや異物感、角膜・結膜の炎症など眼の障害が主体となり、正しい。 |
空気中の酸素は、容積でみると標高にかかわらず約21%で一定です。平地でも高い山の上でも、空気を構成する気体の混合比そのものは変わりません。
だから「標高が高いほど酸素の割合が下がる」という言い方が成り立ちません。
高所で実際に下がるのは、酸素の割合ではなく気圧です。気圧が下がれば、同じ約21%でも酸素の分圧(酸素分圧)が小さくなり、一呼吸で取り込める酸素の量が減ります。
高所で息苦しくなる原因はこちらです。選択肢1は、本来「気圧(酸素分圧)が低くなる」とすべきところを「割合が低くなる」とすり替えている点が誤りです。
なお、酸素欠乏症は空気中の酸素濃度が18%未満の状態でのばく露によって起こる障害を指します。
高所での低酸素は気圧低下によるもので、酸素濃度18%未満を要件とする酸素欠乏とは原因の筋道が別である点も、あわせて整理しておくとよいです。
問題:標高が高い場所では、空気中の酸素の容積割合(約21%)は低くなるか。
いいえ。割合は標高にかかわらず約21%で一定です。高所で低くなるのは気圧で、それにより酸素分圧が下がり、一呼吸で取り込める酸素量が減ります。
問題:硫化水素ガスは空気より重いか軽いか。作業上どこに注意するか。
空気より重いガスです。窪地やピット、坑などの低い場所に溜まりやすいため、火山性ガスが滞留するような窪地での作業では硫化水素中毒のおそれがあります。
出典
※ 最終更新:2026年6月