令和7年8月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問13は、騒音とそれによる健康障害に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、騒音の基本(同じ機械が2台で約3dB増える音の足し算、A測定だけの場合の第Ⅰ管理区分の判定値、伝音性難聴と感音性難聴の区別、急性音響外傷)を一通り問うものです。
引っかけの核心は、騒音性難聴がばく露を止めれば回復するかのように書いた点にあります。
騒音性難聴は内耳の有毛細胞が損なわれる感音性の障害で、いったん進むと元には戻りません。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢5(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 同じ大きさの音源が2台になると音のエネルギーが2倍になり、騒音レベルは約3dB上がる。音の足し算はデシベルでは単純な2倍にならない。 |
| 2 | ○(正しい) | A測定だけで第Ⅰ管理区分となるのは、80dB未満の測定値を除いた各値の算術平均が85dB未満の場合という判定値で正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | 外耳・中耳の障害が伝音性難聴、内耳の障害が感音性難聴。騒音性難聴は内耳が傷む感音性難聴に分類されるので正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 爆発音などで内耳が一度に外傷的な損傷を受けて起こる急性難聴を急性音響外傷と呼ぶので正しい。 |
| 5 | ×(誤り) | 4000Hz付近の聴力低下で始まる点は正しいが、ばく露を止めれば1か月程度で回復するとした点が誤り。感音性難聴で元には戻らない。 |
騒音性難聴は、85dBを超えるような大きな音にさらされ続けたときに、まず4000Hz付近の音から聞こえにくくなるのが特徴です(c5dip と呼ばれる聴力低下のへこみ)。
会話で使う周波数帯はしばらく保たれるため、本人が気づきにくいまま進む点でこの聴力低下の始まり方そのものは正しい記述です。
誤っているのは、その後の「ばく露を停止すると1か月程度で回復する」という部分です。
騒音性難聴は内耳のコルチ器にある有毛細胞が壊れて起こる感音性難聴で、いったん失われた有毛細胞は再生しません。
したがって、騒音から離れても聴力は元には戻らず、不可逆(治らない)の障害です。だからこそ予防(防音・聴覚保護具・ばく露時間の管理)が重要になります。
選択肢3で「騒音性難聴は感音性難聴」と整理されている通り、内耳が傷む感音性難聴は回復しないという性質と、選択肢5の「回復する」という記述は真っ向から矛盾します。ここを結びつけると誤りに気づけます。
問題:騒音性難聴は、騒音へのばく露をやめれば1か月ほどで回復するか。
回復しません。騒音性難聴は内耳の有毛細胞が壊れて起こる感音性難聴で、壊れた有毛細胞は再生しないため不可逆です。ばく露を止めても聴力は元に戻らないので、予防が何より大切です。
問題:騒音性難聴は、どの周波数帯の聴力低下から始まるか。
4000Hz付近からです。この帯域がへこむ形(c5dip)で始まり、会話で使う周波数帯はしばらく保たれるため、本人が気づきにくいまま進行します。
出典
※ 最終更新:2026年6月