作業環境測定士 独学ノート
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令和7年2月 作業環境測定士試験 労働衛生一般 問6を解説(化学物質による健康障害)

令和7年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問6は、化学物質による健康障害に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。

この問題のポイント

この問題は、アンモニア・フッ化水素・シアン化水素・エチレンオキシド・ホスゲンという代表的な有害化学物質について、それぞれの性状と人体への作用を結び付けて問うものです。

引っかけの核心は、「弱酸だから害は小さい」と酸の強さで毒性の重さを判断させるところにあります。酸としての強弱と、組織への侵襲の強さは別物です。

※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。

正解:選択肢2(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
1○(正しい)アンモニアは空気より軽い無色・刺激臭の気体で、高濃度を吸入すると肺水腫を起こすので正しい。
2×(誤り)フッ化水素酸が弱酸だから皮膚・粘膜に接触しても重篤な障害は起きない、とするのが誤り。フッ素イオンが組織深部まで浸透し、重い化学熱傷や組織壊死を起こす
3○(正しい)シアン化水素は細胞内の呼吸酵素と結合して酸素利用を妨げ、呼吸困難や呼吸麻痺を起こすので正しい。
4○(正しい)エチレンオキシドは高濃度の皮膚接触で水疱、眼に入ると角膜炎、吸入で悪心や粘膜刺激などを起こすので正しい。
5○(正しい)ホスゲンは無色の気体で、吸入すると肺胞内で加水分解されて塩酸を生じ、肺水腫などを起こすので正しい。

選択肢2のポイント(ここが誤り)

フッ化水素は無色・刺激臭の気体で、吸入すると粘膜刺激症状を起こします。その水溶液がフッ化水素酸で、酸としての電離度が小さい弱酸であることは事実です。

問題はその先で、弱酸だから皮膚や粘膜に接触しても重篤な障害は生じないと結論づけている点が誤りです。

フッ化水素酸の危険性は、水素イオン(酸としての強さ)ではなくフッ素イオンの性質から来ます。

フッ素イオンは組織のタンパク質に阻まれず皮膚や粘膜の深部まで浸透し、細胞のカルシウムやマグネシウムと結びついて細胞を壊します。

その結果、接触部位に重い化学熱傷や組織壊死を起こし、深く広がると激しい痛みが遅れて現れることもあります。

酸の強弱と組織への侵襲の強さは一致しない、という点を見落とすと引っかかります。

覚え方

  • 酸の強弱と毒性の重さは別物=弱酸でも重篤な障害は起きる
  • フッ化水素酸の核心はフッ素イオンの組織深部への浸透(化学熱傷・組織壊死)
  • 肺水腫を起こす気体=アンモニア・ホスゲン(高濃度吸入・加水分解)
  • シアン化水素=細胞の呼吸酵素を止める(窒息に近い作用)

理解度チェック

問題:フッ化水素酸は弱酸なので、皮膚や粘膜に接触しても重篤な障害は起こさないと言えるか。

答えを見る

言えません。フッ化水素酸は弱酸ですが、フッ素イオンが組織の深部まで浸透し、皮膚や粘膜に重い化学熱傷や組織壊死を起こします。酸の強弱と組織への侵襲の強さは別に考えます。

問題:ホスゲンを吸入すると、どのような仕組みで肺に障害が起こるか。

答えを見る

ホスゲンは肺胞内で加水分解されて塩酸を生じます。この塩酸が肺の組織を刺激し、肺水腫などの障害を引き起こします。アンモニアの高濃度吸入でも肺水腫が起こります。

出典

  • 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「作業環境測定士試験(労働衛生一般)令和7年2月」公表試験問題 問6・公表正答。
  • フッ化水素・フッ化水素酸の有害性は、職場のあんぜんサイト(厚生労働省)の化学物質情報など一次資料による。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。