令和6年8月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問10は、有機溶剤の性質と人体への影響に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、代表的な有機溶剤について毒性の特徴(ハロゲン化物の肝毒性、二硫化炭素の生殖毒性など)と物理的な性質(密度・蒸気密度・水溶性)を結びつけて確認するものです。
引っかけの核心は、トルエンの性質を述べた記述で液体としての重さ(水との比較)と、蒸気としての重さ(空気との比較)を一つの文に混ぜて、片方をすり替えている点にあります。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢4(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | ハロゲンを含む有機溶剤は、一般に肝臓への毒性が強いという記述は正しい。 |
| 2 | ○(正しい) | 1,2-ジクロロプロパンが肝臓と腎臓に障害を生じ、長期・高濃度のばく露で胆管がんに関わるという記述は正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | アセトンのように水溶性をもつ有機溶剤が皮膚や粘膜から吸収されやすいという記述は正しい。 |
| 4 | ×(誤り) | 蒸気が空気より重く低所にたまる点は正しいが、トルエンの密度を水より大きいとした部分が誤り。トルエンは水より軽く水に浮く。 |
| 5 | ○(正しい) | 二硫化炭素がヒトに対して生殖毒性を示すという記述は正しい。 |
この記述は、トルエンについて二つの「重さ」を並べています。一つは液体そのものの密度を水と比べた重さ、もう一つは気化した蒸気の密度を空気と比べた重さです。
比べる相手が違うので、正誤も別々に判断します。
蒸気のほうは正しく、トルエンの蒸気は空気より重いので、床面や地下ピットなど低いところにたまりやすい性質があります。
問題は液体のほうで、トルエンの密度(比重)は水より小さく、水に入れると上に浮きます。
それを「密度は水より大きい」と逆に述べているため、この記述全体が誤りになります。
有機溶剤の比重は、水を1としたときおおむね0.87です。
多くの有機溶剤は水より軽く水に浮きますが、ハロゲンを含むものは水より重い側に寄るものが多い、という分かれ方も合わせて押さえておくと、密度の逆転に気づきやすくなります。
問題:トルエンの液体は水より重く、容器の底にたまるか。
いいえ。トルエンの密度(比重)は水より小さく、水に入れると上に浮きます。重いのは液体ではなく蒸気で、蒸気は空気より重いため低い場所にたまります。「水より重い」とする記述は誤りです。
問題:ハロゲンを含む有機溶剤は、一般にどの臓器への毒性が強いとされるか。
肝臓です。ハロゲン化された有機溶剤は、一般に肝臓に対する毒性が強いとされます。あわせて、水より重い側に寄るものが多いという物理的性質も結びつけて覚えると整理しやすくなります。
出典
※ 最終更新:2026年6月