令和6年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問5は、化学物質等の性状及び挙動に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、有害物質の濃度分布・溶解度・蒸気密度・粒径・粉じんの溶解性といった、現場で物質がどう振る舞うかの基本をまとめて問うものです。
引っかけの核心は溶解度の温度依存です。
気体が液体に溶ける量は、液体の温度が高いほど小さくなるのに、これを「高いほど大きい」と大小を逆に書いた一文を見抜けるかどうかが分かれ目になります。
炭酸飲料を温めると気が抜ける現象が、そのまま判断材料になります。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢2(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 環境空気中の有害物質濃度が対数正規分布に従うことが多い、とするのは正しい(A測定の評価が対数正規分布を前提にするのもこのため)。 |
| 2 | ×(誤り) | 気体の液体への溶解度を「液体の温度が高いほど大きい」とするのが誤り。温度が高いほど溶解度は小さくなる(大小が逆)。 |
| 3 | ○(正しい) | 多くの有機溶剤の蒸気は空気より密度が大きく、低いところに滞留しやすい、とするのは正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | ヒュームの1次粒子は粒径が1μm以下と小さく、粒径の分散範囲も狭い、とするのは正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | 鉱物性粉じんは水への溶解度が極めて小さく、化学的に不活性なものが多い、とするのは正しい。 |
気体が液体にどれだけ溶けるか(溶解度)は、温度によって変わります。液体の温度が上がると、気体は溶けにくくなり、溶解度は小さくなります。
温まった水ほど溶けていた気体が外へ抜けていく、という向きです。
選択肢2は、この向きを「液体の温度が高いほど(溶解度が)大きい」と逆に述べています。大小の関係がさかさまなので、これが誤りです。
身近な例では、炭酸飲料を温めると二酸化炭素が抜けて気が抜ける、やかんで水を熱すると沸騰前に小さな気泡(溶けていた空気)が先に出てくる、といった現象がいずれも「温度が高いほど溶けにくい」を示しています。
なお、固体を水に溶かす場合は温度が高いほど溶けやすくなる例が多く、この向きと混同しやすい点が引っかけになっています。
溶けるのが気体か固体かで向きが逆になる、と整理しておくと取り違えを防げます。
問題:気体の液体への溶解度は、液体の温度が高くなるとどうなるか。
小さくなります。温度が上がると気体は溶けにくくなるため、溶解度は下がります。炭酸飲料を温めると気が抜けるのと同じ向きです。「高いほど大きい」と書かれていたら誤りです。
問題:多くの有機溶剤の蒸気が低いところに滞留しやすいのはなぜか。
蒸気の密度が空気より大きいためです。空気より重い蒸気は床に近い低い位置にたまりやすく、ピット内や床面付近での作業で滞留に注意が必要になります。
出典
※ 最終更新:2026年6月