令和6年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問10は、有機溶剤の性質と、それによる健康障害に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、有機溶剤を一括りにせず、引火性が高いグループと引火しにくいグループを分けて押さえているかを問うものです。
多くの有機溶剤は引火性ですが、塩素などを含むハロゲン化炭化水素は別グループで、不燃性・難燃性のものが多くなっています。
引っかけの核心は、ハロゲン化炭化水素を「特に引火性が強い」と、多数派の引火性溶剤に紛れ込ませてしまうところにあります。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢1(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ×(誤り) | 有機溶剤に引火性のものが多いのは正しいが、ハロゲン化炭化水素は不燃性・難燃性のものが多く、引火しにくい。「特に引火性が強い」は向きが逆。 |
| 2 | ○(正しい) | 二硫化炭素は、低濃度の長期ばく露で脳卒中や虚血性疾患のリスクを高め、高濃度の急性ばく露で精神障害を起こすので正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | N,N-ジメチルホルムアミドのばく露で、頭痛・めまい・肝機能障害がみられるのは正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 四塩化炭素が肝臓や腎臓に障害を起こすのは正しい(ハロゲン化炭化水素の代表的な標的臓器)。 |
| 5 | ○(正しい) | n-ヘキサンの多発性神経炎が、代謝産物の2,5-ヘキサンジオンによって起こるのは正しい。 |
有機溶剤の多くは引火性で、扱う際に火気が問題になります。
しかしハロゲン化炭化水素は、炭化水素の水素を塩素やフッ素などのハロゲンで置き換えた一群で、四塩化炭素やトリクロロエチレンなどがこれにあたります。
この仲間は不燃性・難燃性のものが多く、引火しにくいのが特徴です。
選択肢1は、有機溶剤に引火性のものが多いという正しい前半に続けて、「ハロゲン化炭化水素は特に引火性が強い」と述べています。
実際の性質はその逆で、ハロゲン化炭化水素はむしろ燃えにくいグループです。
引火性の話に紛れ込ませて引火しやすさの大小を逆にしたのが誤りで、ここが正答になります。
燃えにくいからといって安全という意味ではありません。
四塩化炭素のように肝臓・腎臓を傷める強い毒性を持つものがあり、加熱や紫外線で有毒なホスゲンを生じることもあります。
引火性が低いことと毒性が低いことは別である点に注意します。
問題:ハロゲン化炭化水素は、有機溶剤の中でも特に引火性が強いといえるか。
いいえ。逆です。有機溶剤には引火性のものが多い一方、四塩化炭素やトリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素は不燃性・難燃性のものが多く、引火しにくいグループです。
問題:四塩化炭素が引火しにくいなら、扱ううえで注意は少なくてよいか。
いいえ。引火しにくくても、肝臓や腎臓を傷める毒性があり、加熱や紫外線で有毒なホスゲンを生じることもあります。引火性の低さと毒性の低さは別に考えます。
出典
※ 最終更新:2026年6月