作業環境測定士 独学ノート
ホーム 労働衛生一般 関係法令 デザイン・サンプリング 分析概論 過去問
HOME > 過去問解説 > デザイン・サンプリング > 令和6年2月 問18

令和6年2月 作業環境測定士試験 デザイン・サンプリング 問18を解説(正規分布・対数正規分布)

令和6年2月の作業環境測定士試験 デザイン・サンプリング 問18は、正規分布・対数正規分布と環境空気中の有害物質の濃度分布に関する問題です。

5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。

この問題のポイント

この問題は、作業環境測定で扱う統計分布の基本を確かめるものです。

有害物質の濃度は対数正規分布で近似され、正規分布では平均と標準偏差を μ・σ、対数正規分布では幾何平均値と幾何標準偏差で分布の中心とばらつきを表します。

引っかけの核心は、幾何平均値(濃度などの次元を持つ)と幾何標準偏差(比の量で無次元)の「次元」を同じだと思わせるところにあります。

※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。

正解:選択肢4(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
1○(正しい)環境空気中の有害物質の濃度分布は、対数正規分布で近似されるとするのは正しい。
2○(正しい)正規分布の平均を μ、標準偏差を σ とすると、95%上限値は μ+1.645σ で正しい。
3○(正しい)正規分布の平均と標準偏差は、どちらも測定値と同じ単位なので同じ次元を持つとするのは正しい。
4×(誤り)幾何平均値と幾何標準偏差を「同じ次元」とするのが誤り。幾何標準偏差は比の量で無次元なので、濃度の次元を持つ幾何平均値とは次元が異なる。
5○(正しい)対数正規分布の幾何標準偏差の値は、1以上になるとするのは正しい。

選択肢4のポイント(ここが誤り)

正規分布では、平均 μ も標準偏差 σ も測定したものと同じ単位(たとえば濃度なら同じ濃度の単位)で表されます。

だから選択肢3のように、平均と標準偏差は同じ次元を持ちます。この感覚をそのまま対数正規分布に持ち込ませるのが、この問題の仕掛けです。

対数正規分布では、分布の中心を表す幾何平均値と、ばらつきを表す幾何標準偏差の役割が、正規分布の μ・σ とは性質が違います。

幾何平均値は濃度などそのものの大きさを表すので、測定値と同じ次元を持ちます。

一方、幾何標準偏差は「何倍ばらついているか」という比の量であり、単位どうしが打ち消し合うため無次元になります。

したがって、幾何平均値と幾何標準偏差を「同じ次元を持つ」とした選択肢4が誤りです。

幾何標準偏差は無次元なので、選択肢5のように「1以上」という純粋な数値で語られ、これは正しい記述になります。

次元が違うからこそ、幾何標準偏差は単位の付かない倍率として扱われる、という関係を押さえてください。

覚え方

  • 正規分布=平均 μ・標準偏差 σ、どちらも測定値と同じ次元
  • 幾何標準偏差=比(倍率)の量なので無次元/幾何平均値は濃度の次元を持つ=両者は次元が違う
  • 幾何標準偏差の値は 1以上(ばらつきゼロで1)
  • 有害物質の濃度分布は対数正規分布/正規分布の95%上限値は μ+1.645σ

理解度チェック

問題:対数正規分布の幾何平均値と幾何標準偏差は、同じ次元を持つといえるか。

答えを見る

いいえ。幾何平均値は濃度などそのものの大きさを表すので次元を持ちますが、幾何標準偏差は何倍ばらつくかという比の量で無次元です。両者の次元は異なります。

問題:正規分布の平均 μ と標準偏差 σ の次元は、同じか違うか。

答えを見る

同じです。μ も σ も測定したものと同じ単位で表されるため、同じ次元を持ちます。これは対数正規分布の幾何平均値・幾何標準偏差の関係とは異なる点です。

出典

  • 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「作業環境測定士試験(デザイン・サンプリング)令和6年2月」公表試験問題 問18・公表正答。
  • 作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)。第一評価値・第二評価値の算定に用いる幾何平均値・幾何標準偏差の扱いは、同告示およびe-Gov法令検索による。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。