令和5年8月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問12は、振動障害に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、チェーンソーなどの振動工具で起こる手腕の振動障害と、フォークリフトなどで起こる全身振動障害の基本を問うものです。
あわせて、日振動ばく露量の求め方や特殊健康診断、予防の進め方といった定番の知識も並んでいます。
引っかけの核心は1点だけで、振動障害の症状を「末梢循環障害」と「末梢神経障害」のどちらに分類するかです。
手のしびれと、レイノー現象(白指)を、それぞれ正しい側に置けるかが問われています。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢1(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ×(誤り) | 振動工具による障害として手のしびれとレイノー現象を挙げる点は正しいが、しびれを末梢循環障害、レイノー現象を末梢神経障害とした分類が逆になっている。 |
| 2 | ○(正しい) | 日振動ばく露量を、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値と1日のばく露時間から求めるのは正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | 限界値を超えないようばく露時間を抑え、低振動の工具を選ぶという予防の進め方は正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 振動工具の作業者への特殊健康診断を年2回行い、うち1回を冬季に充てるのは正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | 建設機械などの運転で全身が低周波の振動を受け、腰痛や頚部痛などの脊柱障害を起こすという記述は正しい。 |
振動工具による手腕振動障害の症状は、大きく2つの系統に分けられます。
一つは血流が悪くなって起こる末梢循環障害、もう一つは神経の働きが乱れて起こる末梢神経障害です。
このうちレイノー現象(白指)は、寒さなどで指先の血管が縮んで血流が途絶え、指が白くなる症状です。血流の問題なので末梢循環障害に入ります。
一方、手のしびれや感覚の鈍りは神経の働きの異常なので末梢神経障害に入ります。
選択肢1は、この対応を手のしびれを末梢循環障害、レイノー現象を末梢神経障害として、血流の症状と神経の症状を入れ替えて書いています。
症状名そのものは正しく挙がっているため見落としやすく、分類の対応だけがすり替わっているのが誤りです。
正しくは、しびれが末梢神経障害、レイノー現象(白指)が末梢循環障害になります。
問題:振動工具によるレイノー現象(白指)は、末梢循環障害と末梢神経障害のどちらに分類されるか。
末梢循環障害です。寒さなどで指先の血管が縮み、血流が途絶えて指が白くなる症状なので、血流の障害として末梢循環障害に入ります。手のしびれのほうが末梢神経障害です。
問題:フォークリフトや建設機械の運転で全身が低周波の振動を受けると、どのような障害が問題になるか。
全身振動による障害が問題になります。不快感のほか、腰痛や頚部痛などの脊柱障害を起こすことがあります。手腕振動障害(レイノー現象など)は振動工具を握る作業で起こるもので、全身振動とは区別します。
出典
※ 最終更新:2026年6月