令和5年8月の作業環境測定士試験 労働衛生関係法令 問10は、作業環境評価基準(測定結果の評価のしかた)に関する問題です。
5つの記述のうち、法令上、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、定量下限・混合物の換算・評価値の計算・B測定と管理区分・管理濃度といった評価のルールを問うものです。
引っかけの核心は、鉱物性粉じんの管理濃度は遊離けい酸含有率が高いほど大きくなると述べている点です。
管理濃度は有害性が高いほど低く(小さく)設定されるため、遊離けい酸が多いほど管理濃度は小さくなります。大小の関係が逆になっているのが、この肢の誤りです。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢5(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 測定値が定量下限の値に満たない場合は、定量下限の値を測定値とみなして管理区分を決めるので、正しい。 |
| 2 | ○(正しい) | 2種類以上の有機溶剤の混合物は、それぞれの管理濃度に相当する値を1として合算する換算値で評価するので、正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | A測定の評価値は、1作業日の測定と連続する2作業日の測定とで異なる計算式を用いるので、正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | A測定とB測定を行った場合、B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えるときは第3管理区分となるので、正しい。 |
| 5 | ×(誤り) | 鉱物性粉じんの管理濃度は、遊離けい酸含有率が高いほど小さくなる。「高いほど大きくなる」は大小が逆で誤り。 |
管理濃度は、作業環境の良し悪しを判断するためのものさしで、有害性が高い物質ほど低い値に設定されます。
鉱物性粉じんでは、肺に強い影響を与える遊離けい酸(結晶質シリカ)の含有率が高いほど有害性が増すため、その分だけ管理濃度は小さく定められます。
実際、粉じんの管理濃度は遊離けい酸含有率を変数とする式で求められ、含有率が上がると値は下がります。
選択肢5は、これを「遊離けい酸含有率が高いほど大きくなる」と逆に述べています。
有害性が高いほど厳しい(低い)基準になる、という方向を取り違えているのが誤りです。
「有害性が高い→管理濃度は小さい」という向きをそろえて覚えると間違えません。
他の4つは、定量下限の扱い、混合物の換算、評価値の計算式、B測定と第3管理区分と、評価基準の決まりを正しく述べています。
誤りは「遊離けい酸が高いほど管理濃度が大きい」という1点です。
問題:鉱物性粉じんの管理濃度は、遊離けい酸含有率が高いほど大きくなるか。
いいえ。遊離けい酸含有率が高いほど有害性が増すため、管理濃度は小さくなります。管理濃度は有害性が高いほど低く設定されます。
問題:B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えると、管理区分はどうなるか。
A測定の結果にかかわらず第3管理区分となります。B測定は発散源に近い場所での高い濃度をとらえるための測定で、1.5倍を超えると最も悪い区分に直結します。
出典
※ 最終更新:2026年6月