令和5年8月の作業環境測定士試験 デザイン・サンプリング 問8は、有害物質の物性に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、溶剤や粉じんの密度・蒸気密度・水への溶け方・遊離けい酸といった基本的な物性を、ひとつずつ正しく覚えているかを問うものです。
物性は分粒装置やろ過材の選定、捕集法の判断にもつながるため、暗記が問われやすい論点です。
引っかけの核心は、テトラヒドロフランの水への溶け方を「難溶」と取り違えるところにあります。
テトラヒドロフランは水と任意の割合で混ざり合う、よく溶ける溶剤です。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢5(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | クリストバライトはシリカの結晶多形のひとつで、遊離けい酸(結晶質シリカ)に分類されるので正しい。 |
| 2 | ○(正しい) | ミストは液滴、ヒュームは蒸気が凝固した微細粒子で、ミストの粒径はヒュームの一次粒子より大きいのが一般的なので正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | 塩化ビニルは分子量が空気より大きく、蒸気密度は空気より大きいので正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | クロロホルムは塩素を含む重い溶剤で、密度は水より大きく水に沈むので正しい。 |
| 5 | ×(誤り) | テトラヒドロフランを「水に難溶」とするのが誤り。実際は水と任意の割合で混ざり合う(可溶)。 |
テトラヒドロフラン(THF)は、分子内に酸素を持つ環状エーテルの溶剤です。
この酸素が水の水素と結びつく(水素結合する)ため、水になじみやすく、水と任意の割合で混ざり合います。
一般的な有機溶剤というと「油には溶けるが水には溶けにくい」という印象がありますが、テトラヒドロフランはその例外で、水にもよく溶ける溶剤です。
選択肢5は、これを「水に難溶である」と逆に述べているため誤りです。難溶どころか、水と自由に混ざり合う物質です。
同じように水とよく混ざる溶剤にはアセトンやエタノールがあり、「酸素を含んで水になじむ溶剤=水に溶けやすい」とまとめて押さえておくと、溶解性の引っかけに惑わされにくくなります。
問題:テトラヒドロフランは水に難溶か、それとも水とよく混ざるか。
水とよく混ざります。テトラヒドロフランは分子内の酸素が水と水素結合するため、水と任意の割合で混ざり合う溶剤です。「難溶」は誤りです。
問題:クロロホルムは水に浮くか、それとも沈むか。
沈みます。クロロホルムは塩素を含む重い溶剤で密度が水より大きいため、水と混ざらずに下層に沈みます。
出典
※ 最終更新:2026年6月